ある日突然訪れる「雇い止め」の仰天理由 by 荻野進介@プレジデント・オンライン
先週に引き続き、プレジデント・オンラインで荻野進介さんが拙著『日本の雇用終了』『日本の雇用紛争』から様々な紛争事例を取り上げて紹介しつつ、日本の中小企業の実態をあからさまに示しています。
https://president.jp/articles/-/28563
日本では7割の人が中小企業で働いている。だが中小企業は大企業に比べて「雇用トラブル」が起こりがちだ。一体どんな理由で解雇されるのか、その不当性を訴えたい場合はどうすればいいのか。不当解雇の実態とその対処方法を紹介しよう――。(後編、全2回)
ということで、縷々いろんな事例を紹介していくのですが、最後のところで荻野さんなりの感想を交えてこう提言しています。
・・・さて、主に中小企業における日本の非円満退職の事例を多数見てきました。働く人たちはここから何を学ぶべきなのでしょうか。
ポイントは大きく2つあります。一つは、厚生労働省の地方組織である労働局によるあっせんの存在と仕組みをしっかり理解することです。あっせんとは、紛争当事者たる企業と労働者の間に弁護士、大学教授などの専門家が入り、双方の主張を確かめた上で話し合いを促進することによって紛争の解決を図ることをいいます。民事訴訟に比べ手続きは簡単な上、無料でできます。こうした制度はいざという場合、使わない手はありません。
先の2冊には、あっせん事例が金銭で解決した場合(多くは解雇した会社が労働者に支払う)、その具体的金額が記されています。低い場合は3万円などという例もありますが、高いものでは100万円というケースがあります。
100万円の事例では、当人が「あっせんでの和解が望めないとなれば、裁判に持ち込みます」と会社に言ったことが奏功し、そこまでの金額になったそうです。濱口氏いわく、「解決金額は当事者の態度(気迫)によって左右される」そうですから、理不尽な解雇をされた場合、泣き寝入りせず、戦うべきです。
もう一つは、労働者はある程度、労働法を理解しておくべきだということです。労働法とは、経営側に比べて弱い立場にある労働者を守るため、前者に課されたルールなのですから、法律に無知なのは実にもったいないことです。
政府は来る人工知能(AI)社会に向け、文系理系問わず、全大学生にAIの初級教育を受けさせる方針を固めたそうですが、初歩的労働法の学習も必須にしたらどうでしょう。
« 『月刊連合』5月号 | トップページ | 西口想『なぜオフィスでラブなのか』 »
コメント