労働基準監督官という仕事@『経営法曹』200号
経営法曹会議から『経営法曹』200号をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
今号は創刊200号記念特集号ということで、経団連労働法フォーラム北海道大会の記録は均等均衡と上限規制について大変詳しいところまで議論がされていてなかなか面白いのですが、ここでは元銚子労働基準監督署長の八木直樹さんによる「労働基準監督官という仕事」というタイトルの座談会を紹介しておきます。
やや一般的な労働基準監督業務の説明から、後半は御自分が経験してきたあれこれのケースが語られます。
第1話 無責任な大人が奪った少年の夢
第2話 冬の栃木は寒い
第3話 労災隠しが次々と
第4話 障害者と雇用
第5話 キャバクラ嬢
第6話 200人以上の不法就労者
第7話 国内最大の人材派遣会社もあっけなく
第8話 労災裁判で見たもの
第9話 タンクを叩く音は10分で消えた
第10話 技能実習生
あと意見交換の中で、司会から
・・・改善基準告示は法的拘束力が無いのだから、告示違反について是正勧告を出すのは不適切で、是正勧告は無視してもいいのではないかという議論があります・・・これを実行した結果、他の場面で非常に厳しい対応をされるのではないかということを懸念して、「まあ、いいや、しょうがない。書いておけ」ということがあります。実際、ここで逆らうと、あそこで逆に痛い目に遭うというようなことはほんとにないのでしょうか。
と問われて、
そういった意味では何か逆恨みというか、恨みを買うということはないと思います
と言いつつ、
・・・先生が言われたように、確かに改善基準告示自体は法的な拘束力はありませんが、実はあれに関して通達が出ていて、その中に自動車運転者向けのモデル36協定というのがあります。そのモデル36協定の中を読んでいくと、改善基準に違反するような時間外労働は行いませんという文言が入っている関係で、改善基準違反は即、労働基準法32条違反になってしまうように通達で回しています。
と返すと、
・・・私の顧客はその部分を就業規則から削っておりまして・・・
と、なにやら狐と狸の知恵比べの様相が・・・。
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