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2019年4月 5日 (金)

産業医科大学事件高裁判決@『労働経済判例速報』2370号

最近の『労働経済判例速報』2370号に載っている学校法人産業医科大学事件の福岡高裁判決はなかなか興味深いものがあります。

まずもって近年の労契法20条事案のほとんどは手当にかかるもので。手当ってのはあるかないかなので、それに説明がつくかつかないかってのはある意味わかりやすいんですが、本件は基本給自体を争ったものです。正社員の基本給は年功給、非正規の基本給は上がらない(物価に応じて上がるだけ)というほとんどすべての日本企業で見られる現象それ自体が争点になった事案という意味で興味深い。

本件、原告の非正規は職務内容も、また職務や配置の変更範囲も正社員と違っています。なので、法の枠組みの第一段階ではむしろはじかれる方。これまたほとんどすべての企業で見られることでしょう。ところが、本判決は、そうはいっても、正社員も若いころは非正規と似たような仕事してるじゃん、という。これまた(裁判所みたいな、始めから資格で職務内容が異なるような職場を除けば)ほとんどすべての日本の企業で見られる現象です。ジョブ型じゃない日本では、若いころの正社員の仕事なんて、非正規と大して変わらないレベル、なんてこともけっこうありますね。

そして、本件の原告、非正規として30年以上勤続してきている。これはさすがに一般的とは言えないかも知れませんが、実は結構見られることのようにも思います。正社員も非正規も、実態としては長期勤続してしまっている。建前としては、正社員は長期勤続を前提に年功型の賃金、非正規は臨時就労を前提にそのつどの価格で、なんだけど、実態は非正規も正社員以上に長くなっている。だけど、上がらない。

という状況下で、本判決はそれを「その他の事情」だというややトリッキーなやり口で、労契法20条違反に認定しているんですね、ふむ。労働法学的には結構突っ込みどころのある判決だと思いますが、それ以上に、日本型雇用システムの建て前と本音の微妙な構造を明るみに引きずり出している感があって、なかなか面白いです。

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