フォト
2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ

« 求人不受理規定は2017年職安法改正 | トップページ | 土田道夫『労働法概説 <第4版> 』 »

2019年4月 8日 (月)

労働組合書記局アルバイトの労働者性

コミュニティユニオンの一つであるプレカリアートユニオンで内部紛争が発生し、書記局アルバイトと呼ばれる組合員の労働者性が問題になっているようです。

https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2019/04/06/220805

https://dmu.or.jp/?p=364

分派活動だとか名誉毀損だとかいった紛争それ自体には特に言及するつもりはありませんが、上記二つのネット上の文章を読んだ限りなので、恐らくその裏にあるであろうもろもろの事情は一切抜きにしても、労組事務局で事務作業に従事している組合員の当該労働組合との関係における労働者性というのは、労働法的にもなかなか興味深い論点を提起しているように思われます。

通常、労働組合には3種類の人がいます。組合員、組合役員、組合職員です。ざっくりいえば組合員は顧客、組合役員は経営者、組合職員は労働者で、組合員が組合役員を選び、組合役員が組合職員を雇う。組合職員は通常「書記」と呼ばれ、組合から給料をもらう労働者であることは間違いない。ただまあ、労働者ではあるけれども、労働基準法に厳格に従っていたら組合活動なんてできないので、それは他人様の話というのが一般的なようです。

ところがこのプレカリアートユニオンでは、組合員が書記局で事務作業をし、書記局アルバイトと呼んでいたようですが、それが労働法上の労働者であるかどうかで揉めてしまったようです。

一方では、

当組合では、組合が取り組む争議があった場合、たとえば残業代計算のための入力作業などを、手の空いている組合員に手伝ってもらうことがしばしばありました。こういった作業は、組合活動として、それぞれの組合員がお互いに助け合いということで行ってきたことで、無償のものでした。しかし、当組合としては、手伝ってくれている組合員に対して、わずかではありますが行動費を支払っていこうと執行委員会で取り決めをし、それ以降、組合員には行動費を支払ってきました。

 この手伝ってくれる組合員を、「書記局アルバイト」と呼んではいましたが、実態は上記のとおりで、雇用ではありませんでした。前田組合員もその手伝いをしてくれていた組合員の一人です。

と主張し、他方は、

しかし、実際には、「書記局アルバイト」はPUの組織に組み入れられ、一体となって業務に従事しているものであり、その名称から理解できるとおり、PUとの間では、労働契約関係に立つものです。実際に従事してきた業務も、月給制の専従者と何ら変わるところがありませんでした。

団体交渉申入書記載のとおり、DMU前田は、PU関口氏から「バイトしませんか」と勧誘されてPUに入職しており、過去3ヶ月の平均賃金は17万8000円、平均労働時間は120時間にも及びます。

また、作業の場所も、秘密書類の持ち出しが禁じられていることから、PU事務所内が原則とされており、この事務所内には、「産休・育休取得は義務」「夜8時以降労働禁止」といった貼り紙さえ存在します。

また、賃金についても、所要時間ではなく、労働日と労働時間を申告することで支払われます。さらに、最近採用された書記局アルバイト(例えば、盗聴行為をおこなったデイズジャパン出身の根本美樹氏)については、タイムカードで勤怠管理をしています。

とすれば、その名称から当然に理解されるように、「書記局アルバイト」とPUの関係は雇用の関係に立つものです。

と主張しています。

プレカリアートユニオンに対して、DMUからは3月13日に不当労働行為の救済申立を行い、3月18日には東京地方裁判所に提訴をしています。

とのことなので、そのうちに法的な判断が下される可能性もあります。そしたら是非評釈してみたいですね。

 

 

 

« 求人不受理規定は2017年職安法改正 | トップページ | 土田道夫『労働法概説 <第4版> 』 »

コメント

“組合員は顧客、組合役員は経営者、組合職員は労働者で、組合員が組合役員を選び、組合役員が組合職員を雇う。”

組合員は、株主ではないでしょうか?「株主=顧客」というのが、組合というものの一般的な特徴かもしれませんが。

すみません。補足です

組合員(労働者)は、組合の顧客(ゲスト)ではなくて、組合の主権者だと思うのです。
そして、役員は主権者たる労働者の代理人(エージェント)ではないでしょうか。

5月24日、東京地方裁判所が、元組合員の宮城史門(前田史門)氏が、プレカリアートユニオンに対して拠出金の返還などを請求していた訴訟において、プレカリアートユニオン側の勝利判決を言い渡しました。原告の宮城氏の主張をすべて退け、「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」とする判決です。代理人は、東京法律事務所の井上幸夫弁護士、平井康太弁護士です。

宮城氏が、プレカリアートユニオンにアルバイトとして雇用されていたという主張を前提として、プレカリアートユニオンに違法に懲戒解雇されたなどと主張していることについては、「録音反訳や計算シートへの入力の報酬として『行動費』を支払っていたとの事実は認められるものの、原告はこれらの作業を任意の日や時間に行っていたものであって、被告の指揮命令下でこれらの作業を行っていたとは認められないこと、源泉徴収等はされておらず、『行動費』が賃金として支払われたと認めるに足りる客観的な証拠は存しないことなどからすると、『行動費』は準委任契約に基づく報酬(手間賃)等として支払われていたと見るのが自然」、として「直ちに原告が被告のアルバイトとして雇用されていたということはできない。」「被告に違法に懲戒解雇されたとの原告の上記主張は、その前提を欠き、採用することができない」と判断しました。
さらに、宮城氏の元雇用主である2社との間で和解をした際に、プレカリアートユニオンが解決金から拠出金を得たことなどについて、宮城氏が弁護士法72条に違反するいわゆる非弁行為だと主張していることについて、「労働組合である被告が組合員のために組合員の雇用主と団体交渉等を行って和解を成立させることは、みだりに他人の法律事務に介入する行為ということはできないし、これによって組合員その他の関係者の利益を損ねたり、法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げるものとはいえないから、弁護士法72条所定の『法律事務を取り扱』うことには当たらないものというべきであり、原告の上記主張は採用することができない。」、つまり非弁ではないと判断しました。

https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2022/05/30/160342

こんにちは、この事件の原告(申立人)の者です。
本件を取り上げていただき大変光栄で、ありがとうございます。

本件ですが、きのう12月16日、東京都労働委員会で結審となり、命令言渡しは半年後程度ということとなりました。
命令は、内容にかかわらず都労委ウェブサイトで公表されると思いますので、ぜひまた取り上げてください。

個人的には、会社員経験に乏しい(≒労働者ではない)、元々は自分も権力の側に立ちたかったのに、結果的に就活に失敗したから社会運動に傾倒した後出しじゃんけんの左翼活動家や、一度や二度ではなく常習的に会社を解雇等され、職場と職安を往復しているような者(組合員)、つまり、社会において、多数の人や企業による集成的判断として「この人とは関わりたくない」と判断されるに至った者が、自らを省みて変わろうとすることなく、街宣車等の暴力的な手段で「力」を行使し、企業に金品を要求することそれ自体に問題があると当初から考えていました。
(実際、どのユニオンの街宣活動などの写真をネットで見ても、いかにもブヨブヨした汚らしい人ばかりであり、異様です。)

それは、人間は社会的動物で、他の人間と力尽くで者を取り合って生きるべきではなく、むしろ他社との関係の中においてのみ、人間は完全に人間らしくあり得るのであり、力尽くで者を取り合うような社会は、人間を孤立させ人間性を否定し、動物への退化を強いる社会であるからです。

そこで、そのようなユニオンという存在に対して、じゃあ(日頃他社に要求しているように)君たちは”アルバイト”に対し労働法を守るのかと問いかけてみたら、やっぱり全然そうではなかったというのが今回の件です。

私は、昔から法律が好きですから、これ以外にも総会決議不存在確認訴訟を起こすなどしていますし、会計帳簿を見せないのがおかしいとかきちんと言えますが、一般的な労働者の知識水準はもっと低いものであり、例えばアルバイトに残業代を払わず、会計帳簿を組合員に公開しない中で600万円前後もの報酬を、会社員経験がない執行委員長がひこしめている、という実態に疑問を感じ得ないわけです。
そして、そのような無知こそが、ブラックユニオンの体制維持に一役買っているのであり、いわば識字率が低い国では言論活動ができないから革命が起こりにくいみたいな話によく似ているのです。確か、史実でもポルポトはこれを狙って知識人を虐殺しましたよね。

4年越しの命令という事で、私も26歳になってしまいましたが、今年は行政書士を合格見込で、来年は社会保険労務士を受ける予定です。
きっとユニオン関係者さまからは未来永劫反感を買い続けることでしょうが、私なりの立場で労働法に携わり続けていくことになると思いますので、引き続きどうぞご笑覧の程よろしくお願い申し上げます。

というわけで、紛争当事者双方の方がこのコメント欄に登場いただいたことになります。
労働委員会の命令なりなんなりがでたら、興味深いこの事案をまた取り上げることになると思います。

ううむ。コメントを見て一つ言えることは、「一人でも入れます、だれでも入れます」と無責任なことを言って誰彼構わず組合へ加入させてしまうことがいかにリスクのある行為か、ということがはっきりしたということですね。おかしな人間を入れてしまうとこのように不毛な争いを続けざるを得なくなります。これは管理職ユニオンでもよく起きたことです。困っている人を助けたい、とか、そういう高尚な理想が背景にあることは分かりますが、やはり世の中いろいろな人がいるわけでしてそう簡単な話ではないですね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 求人不受理規定は2017年職安法改正 | トップページ | 土田道夫『労働法概説 <第4版> 』 »