フォト
2023年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』 | トップページ | 『DIO』346号 »

2019年4月15日 (月)

リベラルフェミニズムと社会主義の落差とそれへの無感覚

端的に言って、二つの全く異なる立場からの議論が混在しているために、そのどちらに対する賛意/敵意なのかが言ってる本人もよくわからないままわけわかめ状態になっているという、ここ十数年よく見られる現象の一つと言うことなのでしょう。

欧米ではエリート女は(差別されているとはいえ)エリート男と同じ範疇に属し、少なくともノンエリート男よりも下に蔑まれるなどということはないけれども、旧来型日本的雇用システムにおいては、高卒男と大卒男はまとめて(一生懸命頑張れば昇進する可能性がある)エリートを夢見られる存在であったのに対して、女は高卒であれ大卒であれそこから排除されるものであり、それゆえ過去の東大女子学生たちはそこに入り込もうと必死で頑張ってきたんだよ、という厳然たる歴史的事実を、その後輩諸君にきちんと教えておくことは、確かに重要なことでありましょう。

一方で、これは世界のどの社会でも多かれ少なかれ厳然と存在する階級による教育格差に対して、灘や開成を出た男たちであれ、桜蔭や双葉を出た女たちであれ(若き日の上野千鶴子氏自身も含めて)、自分が賢くて優れているからエリートになれたんだとうかつにも思いこみがちな高学歴の若者に、その「能力」なるものがいかに家族環境を始めとした社会の枠組みによって作り上げられてきているのかという、とかく目に入りにくい社会の仕組みの厳しさと自分たちがいかに恵まれているかを思い知らせるということも、これまた極めて重要なことでありましょう。

若干残念なのは、この二つの議論はいずれも極めて重要であり、その理路をきちんと伝えることが必要であることは間違いないのですが、その立ち位置が相当程度に乖離しており、両者まとめて議論を展開すると、ノンエリート男なんかよりもエリート女をもっと出世させろと主張しているのか、エリートだと思って威張るなバカ、と言っているのか、頭の整理が出来ない人になればなるほど混乱した反応を導き出してしまうということなんでしょうね。

 

« 本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』 | トップページ | 『DIO』346号 »

コメント

いや、“両者まとめて議論を展開”したのかと思いきや、“階級による教育格差”には、ほとんど触れていないんですよ。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

“階級による教育格差”にほとんど触れず、“女は高卒であれ大卒であれそこから排除される”という話を長々としていますので、“ノンエリート男なんかよりもエリート女をもっと出世”させるのが公正であると主張しているようにしか、読めないと思います。
まあ、それが公正であるという価値観は構わないのですが、後段の「恵まれない環境」云々に繋げるのは、適切ではありませんね。

上野氏の発言でなければここまで混乱しないでしょう。そもそも十二分にメディア受けを狙った発言だったはずです。上野氏のことだから。そもそも上野氏はマルフェミを自称していたかと。私には入学式を政治的利用したようにみえますし、少なくとも新入生への配慮が足りなかったことは間違いないものと思われます。

> 格差レジームを切り口に人類史を一刀両断する
> バラモン左翼という言葉も、この文脈で出てきたものである
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-e7dad0.html

「弱者っぽい属性を持った強者」(例えば、女性管理職)を増やす、という具体的な要求が、一体、どうやったら
 
 弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想
 
から出て来るのか、本当に分からないんですけどね。

>「弱者っぽい属性を持った強者」(例えば、女性管理職)を増やす、という具体的な要求が、一体、どうやったら
 
 >弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想
 
>から出て来るのか、本当に分からないんですけどね。


意味分からない揚げ足取りですね
能力があっても属性差別で出世させないのが正しいと言うのか?
憲法でも能力区別は認められているから無能男より有能女を豊かにすべきなのは当然でしょ

1:「強者として遇されるに真に相応しい者」を強者として遇せよ
2:弱さを認め、支え合い、弱者が弱者のままで尊重されるべきだ

どっちも別に、おかしなことを言っている訳ではないのだけども、
両極端で「両取り不可能」な訳ですが、そのときどきで(主に高学
歴女性に)都合の良い方を選択してるのが受けてるんでしょうな。

「可愛くても、妊娠・出産に優位な体を持っているとは限らない」とかはどんどん言っていけばいいと思いますけどね。「広島、長崎出身だからと言って、健康上の問題がある訳ではない」とかいった認識を広める以外の方法で結婚差別を防止しようなんてのは、文革と変わらんでしょう。

この方とそのシンパの方々が「リベラルゆえ」に性差別に反対しているのでは全くないのは自明です。

かと言って、格差是正のために有資産者から無資産者に再分配しましょうと言う訳でもない。じゃあ、何なんだって話になるのは当然です。

合コン、出会い系アプリ、アイドル育成などではなくて、

 可愛いことは、その仕事(アイドル業とかではない)ができることとは無関係
 その仕事の採用で、ルックスが採用判断の要素の一つになっていたのなら差別

とか、言うのであれば首肯するしかないが。

> 「広島、長崎出身だからと言って、健康上の問題がある訳ではない」とかいった認識を広める以外の方法で結婚差別を防止

こっ、これは?
 
> 数年で男女の教育格差はさらに広がり、1人の男性が学位を取得する間に、2人の女性が学位を取得することになる
> 大学は、男性ではなく女性の場所になりつつある
> 大学の費用が高騰している
> 贅沢な体験を提供することに重きを置いている
https://www.businessinsider.jp/post-243085
 
> 時代の変化がそれを求めたからです。
> 東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。
> あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。
> これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。
> 東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。
> 大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

家庭教育における偏向を指摘するのは良いとして、社民であれば

 家庭教育の役割(例えば、親権)の縮小と共に、
 (男女に無差別的な)公的職業訓練の充実

という方向に行くわけですけど、リベラルの場合は、私的な合理
性に訴えるべきでしょう。件の方は、そのどちらでもない何だか
奇怪なもののような気もしなくもないのですけれど。

> 労働組合を労働者の利益団体だとはかけらも思わず、政治団体か思想団体か宗教団体かと取り違える人々は尽きることがないようです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2022/01/post-78d128.html

フェミニズムというのは、(単に性差別に反対するものでなく?)

   女性の利益の拡大に資することを目的とするもの

であるというなら、それはそれで全然いいと思うんですけれどね。
東大名誉教授先生の発言からは、そのようなものには思えません。
宗教団体に近いもののように見えますわね。「女性の利益」に注目
した場合、

   でも、あなたたちの具体的提言って、
   特定の方向にかなり偏った女性たちの
   利益拡大なのでは?

って話になってしまうでしょうから、それに対して、場当たり的な
理論武装を講じているうちにこうなった、ということでしょうかね

今や、「グッチの顧客層」と「フェミニズムの支持層」が重なっている訳ですね(知ってたけど)。

GUCCIのグローバルキャンペーン「CHIME FOR CHANGE」がジェンダー平等を目指したプロジェクトを開催。上野千鶴子と伊藤詩織を迎えたスペシャルセッションも!
https://www.vogue.co.jp/change/article/chime-for-change-gucci-gender-canvas-2022

> 大学は、男性ではなく女性の場所になりつつある
> 大学の費用が高騰している
> 贅沢な体験を提供することに重きを置いている
https://www.businessinsider.jp/post-243085

時代から、(事実認識が)取り残されていることは明らか、かと

> 女性の条件としての「男性の容姿」は、全項目中もっとも増加幅が大きく、およそ14ポイントも増えています。同時に、興味深いのは男性の条件としての「女性の経済力」の増加です。その増加幅は17ポイントもあります。つまり、女性は男性の容姿を求めるようになり、男性は女性の経済力を求めるようになったわけです。まるで今までの男女の条件が逆転したかのようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/625473

まあ、「男女共に、そこそこに働く」をスタンダードモデルにする方向が
良いようには思うのですけどね

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』 | トップページ | 『DIO』346号 »