本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』
昨晩、都内某所で、小宮文人先生の古稀と退職をお祝いするパーティがあり、そこで法律文化社の小西さんより本書をお渡しいただきました。
https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04007-7
法学部生向けの標準的テキストであり、かつ全学部生のワークルール入門にも対応。法制度の意義・要件・効果の正確な分析を前提に、重要判例の事実・判旨を明示的に取り上げ、理解を深める工夫をした。「働き方改革」など昨今の動向やこれからの課題にも言及。
本書は、小宮先生が本久さんらと一緒にやってきた労働判例研究会のメンバーによる基礎レベルのテキストですが、本久さんによる「はしがき」には、労働法のありように対する興味深いアプローチの片鱗がちらりと顔を出しています。
・・・本書を貫く精神を一言でいうと、執筆陣と同じく、マルチチュードということになる。労働法の対象である労働者は、もはや階級としても国民としても一体性を持つものではない。これを多様性(diversity)という観点から眺めることには抵抗がある。そんな高尚なものではないからだ。むしろ、多数ないし群(multitude)として、内部に種々の差異と格差を抱えながらも、働いて生きている者どもという点では、同様にしか見えない人々、経済の動静に落ち葉のように翻弄される、この私でもあり君でもあるが決して我々といった一体感など持ちようもない群衆こそが、現在の労働者の原像に相応しい。・・・
執筆陣は以下の通りで、
本久 洋一(國學院大學法学部教授)
小宮 文人(元専修大学法科大学院教授)
國武 英生(小樽商科大学商学部教授)
中川 純(東京経済大学現代法学部教授)
斉藤 善久(神戸大学大学院国際協力研究科准教授)
高橋 賢司(立正大学法学部准教授)
戸谷 義治(琉球大学法文学部准教授)
小山 敬晴(大分大学経済学部准教授)
南 健悟(日本大学法学部准教授)
古賀 修平(宮崎産業経営大学法学部講師)
大石 玄(富山県立大学教養教育センター准教授)
淺野 高宏(弁護士、北海学園大学法学部教授)
北岡 大介(社会保険労務士)
新谷 眞人(日本大学法学部教授)
辻村 昌昭(淑徳大学名誉教授)
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