フォト
2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 2019年3月 | トップページ | 2019年5月 »

2019年4月

2019年4月30日 (火)

天皇皇后両陛下@高尾みころも霊堂

96958a9f889de6e6e2ebe5e6e5e2e0e1e2e6e0e2 本日天皇陛下が退位され、平成が終わるということでマスコミは改元一色ですが、その中に一点、天皇皇后両陛下の真の意味での労働問題へのご関心を示す記事がありました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44097470T20C19A4CR8000/

天皇、皇后両陛下は23日、労働災害で亡くなった人々を慰霊するため、高尾みころも霊堂(東京都八王子市)を訪問された。霊堂最上階の11階に上がり、約26万人の御霊(みたま)を祭る拝殿で供花された。
その後、労災による年間死亡者数の推移の説明を受けた天皇陛下は「ずいぶん少なくなりましたね」と感想を述べ、死亡者を減らすには「どういう努力が必要ですか」と質問されていた。
これに先立ち、両陛下は昭和天皇の武蔵野陵(同市)を参拝し、30日に控える陛下の退位を報告された。退位に関連した儀式の一つである「昭和天皇山陵に親謁の儀」で、残すは30日当日の儀式のみとなった。

退位を目前にして、労災で亡くなった労働者の慰霊に来られる両陛下の姿には、労働問題を政争の具としか考えない人々とは異なる真の意味での労働問題へのご関心の深さを感じます。

実は、本ブログでも何回か紹介してきましたが、両陛下は今までも繰り返し高尾みころも霊堂を訪問されています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-bd5c.html (両陛下、産業殉職者をご慰霊)

およそ「霊を慰める」という感覚自体がすぐれて宗教的なものである以上、こういう宗教的な施設であることはなんら不思議ではないわけで、これをもって政教分離という憲法の原則を踏みにじる許し難い暴挙だなどと非難する方はあまりおられないと思います。
そういえば、むかし本ブログで、EUとも労働とも全然関係ない雑件として、こういうエントリを書いたことがありましたが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_5ca4.html(法政策としての靖国問題)

>・・・今頃は厚生労働省社会・援護局所管の独立行政法人靖国慰霊堂という風になっていたと思われますが、その道を選ばなかった。

もちろん、靖国神社が今のような道をあえて選んできたのはそれなりの理由のあることですから、よそからとやかく言うことではありませんが、その結果、産業殉職者は天皇皇后両陛下に慰霊していただけるのに対し、戦争による殉職者はそうしていただけない状態になっているわけで、そのことの利害得失はよく考えてみる値打ちはあるように思われます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-ba94.html (本日は国際労働者祈念日)

しかし、この日本では、労災で命を落とした労働者たちに心からの慰霊をされる方がいらっしゃいます。天皇陛下です。

 

 

2019年4月29日 (月)

中小企業なら普通"理不尽な解雇"のヤバさ by 荻野進介@プレジデント・オンライン

プレジデント・オンラインに、荻野進介さんの「中小企業なら普通"理不尽な解雇"のヤバさ 労働者も経営者も法律を知らない」という記事が載っています。

https://president.jp/articles/-/28542

日本には「労働基準法」を筆頭とした労働法がある。だが法律の意味を、従業員も、会社側も、正しく理解していないことが多いため、解雇などをめぐってさまざまなトラブルが起きている。日本の雇用の7割を占める中小企業で起きている「非円満退職」の実態を紹介しよう――。(前編、全2回)

というわけで、この連載、拙著『日本の雇用終了』『日本の雇用紛争』から様々な紛争事例を取り上げて紹介しつつ、日本の中小企業の実態を浮き彫りにしていきます。

荻野さんと言えば、海老原嗣生さんと一緒に『人事の成り立ち』(白桃書房)を書かれたこの分野のライターです。

・・・同書に掲載されている膨大な事例を見ていくと、最近よく言われている「日本では解雇が厳しく制限されている」「解雇規制の緩和で経営の自由度を高めるとともに、労働者側にとっても転職が活発になるような社会にすべきだ」といった論調が的を外れていることがよくわかります。
以上の事例のように、有休取得といった労働者に当然認められている権利を主張しただけで解雇されたり、仕事上のささいなミスが命取りになったり、実態はよくわからない「経営不振」というだけで、容易にクビにされているのが日本の雇用の現実です。
日本の会社のほとんどは中小企業です。そういう意味では、労働局に持ち込まれるあっせん事例は、裁判に比べて日本の標準的な労働紛争が多くを占めているのです。

なお、元になった本はこれらです。

112050118 日本の雇用終了(労働政策研究・研修機構)

日本の雇用終了事案の実態とは・・・。労働局あっせん事案を詳細に分析し、今日の職場で発生している紛争の全体像を示す。判例研究と経済理論と告発ジャーナリズムの隙間を埋める一冊。

A1aee1592b14d7fde8e4c099a6b7d436 日本の雇用紛争(労働政策研究・研修機構)

本書は、2015年5月に公表した労働政策研究報告書No.174『労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析』をそのまま第2部として収録するとともに、その研究で用いた労働局あっせん事案の内容分析を第3部とし、併せて法政策の推移を第1部として一冊の書物にしたものである。

 

2019年4月27日 (土)

牧久『暴君』

51mrkcjbmtl_sx342_bo1204203200_ 本屋で見つけて直ちに手に取り、買って帰って直ちに読み始め、一気に読んで、今読み終わったところです。いやぁ、凄い。スターリンや毛沢東の一生を描いた本を読み終えた時と同じような、深いため息とともに、様々な思いが脳裏を駆け巡ります。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09388665

なぜ直ちに手に取ったかといえば、この著者による国鉄分割民営化に至る波乱万丈の物語を一昨年に読んでおり、この著者による松崎明伝であれば、読みごたえがあるはずだと思ったからですが、その期待以上の内容でした。

暴君に支配された「平成JR秘史」
2018年春、JR東労組から3万3000人の組合員が一挙に脱退した。同労組の組合員はあっという間に3分の1に激減し、崩壊の危機に追い込まれてしまった。いったい、何が起こったのかーー。
かつての動労、JR東労組委員長にして革マル派の実質的な指導者と見られる労働運動家・松崎明の死から8年。JR東日本が、「JRの妖怪」と呼ばれたこの男の"呪縛"から、ようやく「解放される日」を迎えたのか。
この作品は国鉄民営化に「コペルニクス的転換」といわれる方針転換により全面的に協力し、JR発足後は組合にシンパを浸透させて巨大な影響力を持った男・松崎明の評伝であり、複雑怪奇な平成裏面史の封印を解く画期的ノンフィクションである。

タイトルの「暴君」という言葉は、376ページのこの一節から来ています。

・・・かつて「反スターリン」をかかげた松崎が、JR東日本の❝暴君❞スターリンと化していたのである。

これはほんとに実感します。国鉄がJRになってから、JR東日本の経営陣をも威伏して非合法的な側面も駆使しつつ絶対権力を行使するその姿は、まさに「反スタ」の帰結はスターリン主義そのものであったという彼の人生そのものの皮肉を浮き彫りにしていますね。

そして、314ページにある、この子分たちによるあからさまな個人崇拝の言葉。スターリンや毛沢東もこのような阿諛追従の重層構造の中にいたのだろうなと思わされます。しかしこれは21世紀の日本の大企業の労働組合の中の姿なのです。

「将来にわたって盤石なJR東労組を松崎顧問と共につくること、これがJR東労組の基本的な組織戦略である。我々は松崎前顧問を組織外の人だと思っていない。JR東労組の育ての親であり、紛れもなくJR東労組の重鎮である。今でも労働運動の第一線で闘っていること、卓越した洞察力と的確な判断、そして陰に陽に実践的なアドバイスをしてくれる松崎前顧問は『余人をもって代え難い存在』である。この評価を否定し『ぶら下がり』というなら、それは明らかに見解の相違であって、そのように思っている者とは、闘うしかないことを明らかにしておく」

なお、本ブログで前著『昭和解体』の感想を書いたエントリは:

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-e4f8.html

ちなみに、松崎明が黒田寛一らと創設し、動労、JR総連の政治部隊であり続けた革共同革マル派については、その昔「完膚なきまでに」批判をいただいたことがありました。

http://www.jrcl.org/liber/l1704.htm

・・・第一が、「労働者を死ぬまでこき使うことの提言」である。今日、「労働を中心とする福祉型社会」を主張する「連合」労働貴族。彼らが「高齢者対策」の名のもとに主張する「継続雇用ではない雇用の創出」とか「引退年齢の引上げと段階的な引退」とかは労働者にとっては〝死ぬまで働け!〟ということだ。その犯罪性を、「連合」イデオローグの正村公宏と濱口桂一郎の〝論説〟をとりあげて、完膚無きまでに批判する。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに序章の一部がここで試し読みできます。

https://shogakukan.tameshiyo.me/9784093886659

 

 

 

 

2019年4月26日 (金)

森戸英幸『プレップ労働法 <第6版>』

450512 森戸英幸さんの『プレップ労働法 <第6版>』(弘文堂)をお送りいただきました。働き方改革法が施行され、続々と教科書が出されつつありますが、おちゃらけ系テキストの極北に位置する森戸さんの『プレップ』も、『リアップ』だの『枯れップ』だのになることなく、無事第6版にこぎつけたようです。

https://www.koubundou.co.jp/book/b450512.html

 労働法をこれから学び始める学生や仕事の上で、手っ取り早く知識が必要な方に向けて、1冊で労働法全体が見渡せ、その仕組みをしっかりと理解出来る入門書の傑作、最新版!
 2018年に改正された働き方改革推進法をフォローし、最新の最高裁判例等の重要判例を補う。より分かり易くシンプルに、さらにパワーアップした大好評の1冊!

こういうおちゃらけ系は好き嫌いがはっきりするかもしれませんね。

課長 「キミらはバイトなんだからさ、正社員との違いがあって当然だろ」

バイト 「ハイ・・・・・・でも、ボーナスがないとかならともかく、バイトだから休憩なしってのはおかしくないですか」

課長 「安心しなさい、その代わり正社員は残業しても手当なしだから」

 

 

 

『ビジネス・レーバー・トレンド』2019年5月号

201905 JILPTの一般向け月刊誌『ビジネス・レーバー・トレンド』2019年5月号が刊行されました。特集は高齢者雇用の環境整備で、去る1月23日に開催したOECDとの労働政策フォーラムの様子が載っています。

https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2019/05/index.html

労働政策フォーラム
高齢者の多様な就労のあり方―― OECD 高齢者就労レビューの報告を踏まえ
【基調講演】日本の雇用システムと高齢者雇用の問題点濱口 桂一郎 JILPT 研究所長
【報告】生涯を通じたより良い働き方に向けて:日本 ―OECDの概要と評価・提言(日本語版)Mark Keese OECD雇用労働社会問題局スキル・就業課長
【研究報告】高齢者の多様な活躍に関する取組――地方自治体等の事例中山 明広 JILPT統括研究員
【事例報告①】買物支援から雇用支援への拡大――行政と連動したシニア雇用促進眞野 義昭 株式会社セブン-イレブン・ジャパン人事本部人事部総括マネージャー
【事例報告②】大和ハウス工業株式会社の高齢者雇用の取り組み菊岡 大輔 大和ハウス工業株式会社東京本社人事部長
【事例報告③】一人でも多くの高齢者に働く場と生きがいを緒形 憲 株式会社高齢社代表取締役社長パネルディスカッション今後の高齢者の働き方に求めること

OECDのキースさんの本題の報告の前の前座としてわたくしが基調講演なるものをしています。

基調講演

日本の雇用システムと高齢者雇用の問題点

労働政策研究・研修機構研究所長 濱口 桂一郎

 私からは、この後のKeese氏の報告が理解しやすいよう、まず、日本の高齢者雇用政策についてお話するとともに、その前提となる日本の雇用システムについてもご説明します。

日本の高齢者雇用政策を考える上で重要なのは、日本の雇用システムが年齢に基づいているという点です。ただし、昔からそのようなシステムだったわけではなく、明治期には日本の労働市場は非常に流動的でした。その後、大正期から昭和初期にかけて、大企業において、定期採用制、定期昇給制、定年退職制が導入され、年齢に基づく雇用システムが整備されていきました。

 戦時体制下における日本型雇用システムの強化

とりわけ強化が進んだのが、戦時体制下です。当時の政府が各企業に対し、年齢に基づく賃金制度を法的に強制したのが1つの出発点と言えます。この規制はホワイトカラーとブルーカラー双方に対して行われました。また、戦後の高齢者雇用に大きく影響を与えた公的年金制度が作られたのもこの時代です。労働者年金保険法は1941年に制定され、1944年には現在の厚生年金保険法になりました。

日本が戦争に敗れた後、戦時体制下に出来た雇用システムは廃止されました。ところが、廃止されたことで、以前の状態に戻ったわけではなく、終戦直後、労働組合運動が激化する中で、むしろ組合主導で、年齢に基づく雇用システムが再確立されます。1946年には年齢と扶養家族で賃金を決定する「電産型賃金体系」が確立されました。

ちなみに労働基準法第4条の「男女同一賃金」は、「同一価値労働同一賃金」を否定しています。「年齢差別を認めないのであれば定期昇給は不可能となり、日本の賃金制度を破壊することになる」というのがその理由です。

その後、195060年代にかけては、政府や経営側(日経連)は、年功制を否定し、同一労働同一賃金に基づく職務給を導入すべきだと主張していました。1960年に池田内閣によって決定された「国民所得倍増計画」にも「終身雇用、年功序列制の廃止と企業を超えた労働市場の形成」が謳われています。1967年には、政府は、同一の価値の労働に対しては性別による区別を行うことなく、同等の報酬を与えなければならないことを定めたILO100号条約を批准しています。また、同年に策定された「雇用対策基本計画」では、「職業能力と職種に基づく近代的労働市場の形成を目指す」ことが主張されています。

しかし、1970年代以降は、むしろ、日本型雇用を維持・促進する政策に転換しています。その一番の導因が年金制度です。1941年に成立した労働者年金保険法では55歳から養老年金が支給されていましたが、1954年の厚生年金保険法改正では、支給開始年齢を段階的に引き上げ、1974年には60歳にすることが定められました。

 60歳定年制の義務化

これに対して、労働組合側は、支給開始年齢を引き上げるのであれば、定年も60歳まで延長すべきと要求します。その後、色々な経緯があるのですが、大きなエポックとなるのが、1986年の高年齢者雇用安定法の改正です。この改正では、60歳定年の努力義務とこれに従わない企業に対する行政措置が規定されました。さらに1994年の改正では、60歳定年制の導入がすべての企業に義務づけられました。

以降は、定年の引き上げではなく、継続雇用を中心とした政策が進められていきます。公的年金の支給開始年齢の引き上げに対応するかたちで、高齢者の雇用政策も進められていきます。

1994年には厚生年金(基礎年金部分)の支給開始年齢を段階的に65歳まで引き上げることになったのを受け、同年の高年齢者雇用安定法の改正では、60歳定年は維持しつつも、65歳までの継続雇用の努力義務と行政措置規定が定められました。さらに、再雇用後の賃金低下を補填する高年齢者雇用継続給付制度も設けられました。

2000年には厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を65歳まで引き上げることが決まりました。この段階では、継続雇用の対象者について、労使協定で例外を設けることが認められていたのですが、2012年の改正では、例外を認めないことになりました。

ここまで説明してきた定年延長や継続雇用は、基本的に内部労働市場型、つまり、企業の中で雇用を維持することを前提とした政策ですが、一方、外部労働市場にも着目した政策も行われてきました。これについても、様々なフェイズがあるのですが、雇い入れという局面に目を向けると、年齢を理由とした差別を禁止する、あるいは抑制するという考え方があります。

この新たな考え方が生まれたのは、1990年代末のことです。2001年の雇用対策法の改正では、募集・採用時における年齢制限禁止の努力義務が規定されました。ただし、この時点ではかなりの例外が認められていました。

2004年の改正では、募集・採用時に年齢制限をする場合は、その理由を明示することが義務づけられました。さらに2007年には、新規学卒者の募集・採用時など必要最小限の例外を除き、年齢制限が原則、禁止となりました。しかし、日本企業の雇用・賃金慣行には年齢に基づくシステムが今もなお残っている状況です。

 近年の高齢者雇用政策

ここからは、近年における高齢者雇用に関する政策を紹介します。

2018年3月には前年に策定された「働き方改革実行計画」に基づき、「年齢にかかわりない多様な選考・採用機会の拡大に向けて、転職者の受け入れ促進のための指針」が策定されました。同年6月には、官邸に置かれた「人生100年時代構想会議」により「人づくり革命基本構想」を策定し、その中で65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた環境整備を行うべきことを唱道しています。さらに同年10月には、「未来投資会議」が70歳までの就業機会の確保を提唱、2019年夏までに具体的な方針を決定し、おそらく来年の国会には法案を提出することを打ち出しています。

しかし、70歳まで継続雇用を延長するとなると、早晩、「60歳定年プラス継続雇用」による対応の限界が露呈してくると思われます。果たして、定年後、70歳までの10年間を長い職業人生のいわば、アペンディックス(添え物)にしてしまってよいのでしょうか。

近年、定年後の再雇用時の賃金引き下げを、非正規社員に対する差別として訴えるケースが増えてきました。いわば、半世紀以上もの歴史をもつ、「年齢に基づく雇用システム」が持続可能なものなのか、今、まさに問われる時代に入りつつあります。

 当面、可能な高齢者雇用就業対策

一方で、「年齢に基づかない雇用システム」なるものが、これからの日本で実現可能かとの疑問も生じます。この点については、明確な答えを出せるわけではありませんが、当面、どのような高齢者雇用就業対策が可能かについて、簡単に説明します。

恐らく、当面は若年期における年齢に基づく雇用システムを前提としつつ、中高年期以降は年功的処遇を削減するという対応にならざるを得ないと思います。この場合、40代から60代を経て、70歳まで一気通貫の処遇とすることで、「定年プラス継続雇用」というやや不自然なスタイルを脱却することになるのではないでしょうか。その際、これまでは内部労働市場に重点を置いた政策を行ってきましたが、今後はこれに加えて、外部労働市場にも着目する必要があります。

現在の高年齢者雇用安定法には、離職が予定されている中高年齢の従業員が希望する場合は、本人の再就職の援助に関し、必要な措置を行うよう努めることが義務づけられていますが、将来的には、この再就職援助措置を雇用確保措置と一体化して、義務化することが考えられます。あるいは、今後、デジタル型非雇用就業(個人請負等)による就業が拡大する可能性もあります。いずれにせよ、これらが恐らく当面の高齢者雇用就業対策ということになるでしょう。

中長期的には、若年期も含め、年齢に基づく雇用システムの見直しが課題になると思われます。ただ、これは教育システムの制度的な補完関係がネックとなっています。若者についていえば、新卒一括採用がなくなれば、何もできない若者を採用してくれるという、世界に冠たるシステムがなくなることを意味し、混乱が生じる恐れがあります。

したがって、当面は、中高年期から高齢期にかけての対応が基本的スタンスになるのではないでしょうか。

以上を頭の片隅において、次のKeese氏の報告をお聞きいただければと思います。

 

 

 

2019年4月25日 (木)

水島治郎他編『政治学入門』

439638 永井史男・水島治郎・品田裕編著『政治学入門』(ミネルヴァ書房)を、編者の一人の水島治郎さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.minervashobo.co.jp/book/b439638.html

政治はどのように捉えればいいのか。本書では、初めて政治学に触れる大学生が、入学から卒業に至るまでに様々な「政治」を経験するというストーリーとともに、政治学の世界を分かりやすく紹介する。また、「合理的個人」という視座では説明が付かない政治の現象も視野に収めた、包括的な内容を目指す。大学新入生はもちろん、どの学部の学生にとっても、最初に紐解くべき入門書であり、社会人になってからも役立つ道しるべ。

タイトル通り、大学1年生向けの政治学の入門書ですが、結構深い内容も盛り込まれています。特に、お送りいただいた水島治郎さんの担当された第9章は、福祉国家論から最近のトピックまでを簡潔にまとめています。

第9章 支え合う仕組みを考えよう——福祉国家とその変容(水島治郎)
 1 福祉国家とその三類型
 2 グローバリゼーションと福祉国家の変容
 3 福祉国家のゆくえ——社会的包摂と地域社会
 コラム 9 一世紀を経ても残る「労働者宮殿」

その中では、日本型雇用システムが企業「メンバー」である正社員に福祉を提供してきたことが福祉国家の在り方に大きな影響を与えてきたことを、とりわけ住宅福祉の不在という側面から説明しており、そこでさりげにオランダの「労働者宮殿」という労働者住宅の話をコラムで持ち出すという仕掛けになっています。

 

 

 

『日本労働研究雑誌』2019年5月号

706_05 『日本労働研究雑誌』2019年5月号が刊行されました。

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.html

特集は、働き方改革シリーズ3「その他の実行計画」で、次のようなラインナップです。

提言 法規制と労使自治のRebalancing 菅野和夫(東京大学名誉教授)

解題 働き方改革シリーズ3「その他の実行計画」編集委員会

論文 雇用によらない働き方をめぐる法的問題 鎌田耕一(東洋大学名誉教授)

「就職氷河期世代」の現在─移行研究からの検討 堀有喜衣(JILPT主任研究員)

働く質を高めるための基礎条件─事例研究からの示唆 小野浩(一橋大学教授)

「同一労働同一賃金」は企業の競争力向上につながるのか?─待遇の説明義務に着目して 中村天江(リクルートワークス研究所主任研究員)

スウェーデンにおける再就職支援 福島淑彦(早稲田大学教授)

どれも読み応えのある論文で、特に堀有喜衣さんのは、ちょうど先日経済財政諮問会議が就職氷河期世代対策を打ち上げたところだけに、この問題をちゃんと考える上での重要なデータが入っていて、この分野の人には必読です。

本稿は、景気回復の中で取り残されているとされ、「働き方改革実行計画」で支援の対象とされている「就職氷河期世代」の現状を平成29年度『就業構造基本調査』(総務省統計局)の二次分析を通じて明らかにした。中年期を迎えてもなお「就職氷河期世代」のフリーターやニートは一定規模で存在している。さらに労働市場に入った時の雇用状況を示す新卒正社員率に基づき世代を「バブル後期」「就職氷河期前期」「就職氷河期後期」「回復期」「リーマンショック期」「アベノミクス期」に分類して性別・学歴別に分析したところ、大卒男女、高卒男性については「就職氷河期後期」の新卒正社員率が最も低く、その後すぐに「就職氷河期前期」の水準にまで回復したが、高卒女性については近年の景気回復まで低位にとどまっていた。また初職が正社員でなかった場合、現在無業状態にあったり、現職が正社員でない割合が高くなっており、年齢を重ねても初職時の状況が中年期まで持続的な影響を及ぼしていることが観察された。「就職氷河期世代」は若者に対する支援の必要性を高度成長期以降の日本社会に初めて認識させた存在であったが、今後も安定した雇用が前提となっている日本社会のありようにゆらぎをもたらしていくものと考えられる。

ですが、ここでは巻頭の菅野提言を熟読玩味していただきたいと思います。

・・・・法規制の追加に伴う問題は,常に,それが所期のとおり機能するかである。今回の働き方改革関連法の第1 の目玉・時間外労働の上限規制では,長時間労働を批判する世論のバックアップが何よりの援軍であり,これを背景として監督行政が強気の姿勢を続けることができよう。しかしながら,そのキャパシティは限られている。何より重要なのは,三六協定の当事者である労使が改正法の趣旨と内容を十分に理解し,協定を適正に締結し運用することである。しかしながら,JILPTの最新の調査でも,過半数組合がある事業場は1割に達せず,過半数代表者がいる事業場も4 割台前半にとどまる。しかも過半数代表者の選出手続の多くは適正さが疑わしく,三六協定の適正化について楽観論はとりにくい。この見通しもあってか,今回は過半数代表者の選出について使用者の意向を反映したものとならないように規則改正がなされ,また,その活動への便宜供与の配慮義務も規定された。既存の規定も合わせれば,過半数代表者に関する規制がずいぶん整ってきた感があるが,やはり法律にしないとインパクトに欠ける憾みがある。
もう1 つの目玉である「日本版同一労働同一賃金」の方は,最高裁二判決と指針が出て,諸手当については規範内容がかなり明確化したが,肝心の基本給,賞与,退職金についてはいまだ曖昧模糊としている。法の趣旨に則した好事例を労使で作り出して,そこから是正のモデルをいくつも提示してほしいものである。司法判断はそれらを参考にして行わないと,適切なものとはなりにくい。
要するに,両者を通じて,今回の法改正を機能させる一番の推進力は労使関係のはずであるが,今回の改正では,この点の手当がほとんどなされておらず,それが喫緊の課題と思われる。総じて,今回の労働法制改革は,労使関係の推進力を利用する姿勢なしに行われ,法規制が労使関係システムとの関係で肥大化しすぎている感がある。両者のRebalancing が今後の基本課題である。

そう、まさにここで言われている点、やたら細かな法規制を導入しようとするわりに、それをエンフォースするための集団的労使関係システムの活用に対する奇妙なまでの消極性こそが、(細かな点を全部除いても)今回の働き方改革を特徴付けている最大の問題点だと思います。

 

 

 

『Japan Labor Issues』5月号

Jli JILPTの英文誌『Japan Labor Issues』5月号がアップされました。

https://www.jil.go.jp/english/jli/documents/2019/014-00.pdf

Trends
Key Topic: How Have Japanese Policies Changed in Accepting Foreign Workers? Keiichiro Hamaguchi

Research
Article:The Current State of the Japanese-style Employment System for High School Graduates: Based on Case Studies of 1997, 2007, and 2017 Yukie Hori

Judgments and Orders
Worker Status of the Commercial Agent: The Bellco Case Keiichiro Hamaguchi

Series:Japan’s Employment System and Public Policy 2017-2022
Combining Work and Family Care in Japan (Part I): Why do Women Leave Jobs at the Stage of Childbirth? Shingou Ikeda

というわけで、今号では、私は二本の記事を書いています。一つ目は入管法改正を機に日本の外国人労働政策について概説したもの。二つ目は判例評釈で、例のベルコ事件を取り上げました。

あとは堀有喜衣さんと池田心豪さんの論文です。

 

 

2019年4月23日 (火)

経団連と大学の共同提言

昨日やたらニュースが駆け巡りましたが、肝心の文書がアップされたのは昨夜になってからで、それまでは新聞やテレビの報道だけであれやこれやと騒ぐ人が多かったのでしょう。『中間取りまとめと共同提言』というのはこちら:

http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037_honbun.pdf

3つの分科会の中間取りまとめはこちらです。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037_bunkakai.pdf

これからはSociety5.0だ、いわゆる第4次産業革命だ、それにふさわしい人材育成が必要だというのは私もそう思います。

一方、これまでの日本型雇用システム、メンバーシップ型の人事管理が(若年期というよりもとりわけ中高年齢以後のフェーズにおいて)さまざまな矛盾をもたらし、その転換が求められているという点も、私はそう思います。Society5.0云々は別にして、日本社会の在り方としての問題としては。

ただ、どうもよくわからないのは、20世紀前半に確立してこれまで長く継続してきたこれまでの欧米型雇用システム、ジョブ型の人事管理が、なぜこの段階で、Society5.0にふさわしいものであるかのような議論になってしまうのか。いや日本的なメンバーシップ型も欧米のジョブ型も、どちらもSociety4.0というか第2次産業革命というか、旧来の産業社会に適合したシステムだったのであって、違う筋の話が混じり込んでしまっている感があります。

日本独自の文脈で言えば、かつて20世紀第4四半期に過度の成功体験を持ったが故に、とりわけ中高年期における矛盾を見ないふりをしてここまで来たことのツケが回ってきているのは確かなので、ある種の(正確さは欠くけれどもインパクトのある)スローガンとして、「メンバーシップ型からジョブ型へ」というのを振りかざすことに一定の意義があるだろうとは思います。しかし、そういう議論自体がいわば日本独自のガラパゴス的議論であることを冷静に認識しておくことも必要でしょう。

それに対して、世界史的次元で言えば、第4次産業革命といわれるイノベーションの中で、20世紀に確立したジョブ型システム自体の耐用年数がそろそろ切れかけてきているのかも知れないという認識が必要な気がします。

 

2019年4月21日 (日)

アンダーエンプロイメント・インシュランス

Euau EUの行政府の欧州委員会が『EU労働市場へのデジタル転換のインパクト』(The impact of digital transformation on EU labour markets)という報告書を公表しています。

https://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=89&newsId=9344&furtherNews=yes

いくつも興味深い示唆がされていますが、なかでも注目すべきはこの一節ではないかなと思います。

We recommend moving away from social protection that hinges on a person's em-ployment status and towards social protection that is neutral with regards to the technology and forms of employment and self-employment. This could involve portable benefits attached to the worker rather than to the job, ‘underemployment insurance’ or so-cial insurance that addresses fluctuating and episodic income, and universal (as opposed to means-tested) benefits offset with steeper tax progressions.

我々は人の就業上の地位に懸かる社会保障から、テクノロジーや就業形態や自営業に関して中立的な社会保障に向けて移行することを勧告する。これは職務(ジョブ)よりも労働者にくっついたポータブルな給付、「アンダーエンプロイメント・インシュランス」または変動的で間歇的な収入に対応する社会保険、急激な税額の変動を緩和する(資産調査型ではなく)普遍的な給付でありうる。

この「アンダーエンプロイメント・インシュランス」という概念は、エンプロイメントとアンエンプロイメントとが二値的にきれいに分かれる雇用労働者を前提にした失業保険(アンエンプロイメント・インシュランス)ではカバーできない領域に対する一つの考え方ですね。

 

 

 

 

2019年4月19日 (金)

ヤニス・バルファキス『黒い匣』

453574 ヤニス・バルファキス『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)を訳者の皆様からお送りいただきました。訳者は朴勝俊、山崎一郎、加志村拓、青木嵩、長谷川羽衣子、松尾匡の方々です。そう、あの松尾さんも訳者に加わっているんですね。

http://www.akashi.co.jp/book/b453574.html

この終わりなき悪夢の物語は2015年、債務の束縛に抵抗して立ち上がったギリシャの人びとの、半年間の反乱の実録である。おぞましく行使される欧州の権力。だが希望は傷つくことなく残っている。これは普遍的な、そしてまさに日本にとっての物語なのだ。

著者のバルファキスはギリシャのシリザ政権の財務相としてEU,ECB,IMFのいわゆるトロイカと闘った人ですが、この分厚い600ページ近い本はその戦いの記録です。

著者による日本語版への序文と松尾さんによる訳者解説が意を尽くしているので、そのリンクを張っておきます。

http://www.akashi.co.jp/files/books/4821/4821_j-introduction.pdf (序文)

・・・2015年1月25日、ギリシャの有権者たちは、国の荒廃につながるおぞましい不況を終わらせ、尊厳を踏みにじられた状況にピリオドを打つために、私たちの政権を選択した。本書で私は、この反乱の物語をありのままに綴った。私が財務大臣に選ばれるまでの経緯から、ギリシャ経済の機能を麻痺させ人道上の危機を深刻化させている緊縮策を終わらせるために、ギリシャの債務の再編を実現するために、私がどのように身を砕いていたのかに至るまで、すべてを余すところなく、ゾッとするほどの詳細さをもって記述した。・・・

政治家の回想録は山のようにありますが、一国の財政の責任者だった人がまだ血のにじむ直近の時期のことをここまで微に入り細をうがってあからさまに書き記したものは珍しいのではないでしょうか。

http://www.akashi.co.jp/files/books/4821/4821_explanation.pdf (松尾解説)

こちらでは例によって、日本のねじれ現象を指摘しています。

Yanisvaroufakis さて、このバルファキス氏、本ブログで紹介している「Social Europe」の常連寄稿者でもあります。

https://www.socialeurope.eu/author/yanis-varoufakis

松尾解説で紹介されている「ヨーロッパを救うニュー・ディール」はこれですが、

https://www.socialeurope.eu/new-deal-save-europe

その後もいくつもエッセイがアップされています。

ちなみに、バルファキス氏の批判に対する反論として書かれたピケティらの文章を、本ブログで紹介したことがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-a196.html (ヨーロッパを民主化する-税金で?それとも借金で?)

 

Thomaspiketty1166x166 例によって、「ソーシャル・ヨーロッパ」から本日付の最新の記事を。今回は「Democratising Europe: by taxation or by debt?」(ヨーロッパを民主化する-税金で?それとも借金で?)。筆者は7人連名ですが、顔写真はトマ・ピケティです。

 

https://www.socialeurope.eu/democratising-europe

 

これは、昨年12月の「欧州民主化宣言」(Manifesto For The Democratization Of Europe)の続きのような記事で、ヤニ・ヴァロファキスによる批判に対する反論になっています。

 

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-2595.html (ソーシャル・ヨーロッパにピケティ登場)

 

The main criticism by Varoufakis seems to be the following: why do you want to create yet more new taxes when one can create money? Our budget is indeed financed by taxation, whereas his plan is financed by public debt.・・・

ヴァロファキスによる主たる批判は次のようなものだ。お金を作り出せるときになぜもっと新たな税金を作り出そうとするのか?我々の提案が税金で賄われるのに対して、彼のプランは公的債務で賄われる。

 

To act as if everything could be settled by the issuance of a debt and to deem as negligible the question of fiscal justice and the democratic legitimacy of decisions concerning political economy, while restricting oneself to the eurozone, do not seem very convincing to us. ・・・

債券を発行することで万事が解決するかのようにふるまい、財政的正義と政治経済に関する意思決定の民主的正統性の問題を無視してもいいものとみなすことは、我々を納得させるものではない。

 

ヨーロッパでも、(ピケティら)税金で財政拡大すべき派と借金で賄えばいい派の対立があるようです。

 

 

 

特定技能外国人労働者の受入れ@『労基旬報』2019年4月25日号

『労基旬報』2019年4月25日号に「特定技能外国人労働者の受入れ」を寄稿しました。

 2018年12月8日に入国管理法等の改正案が成立し、去る今年4月1日に施行されました。これにより「特定技能1号」「特定技能2号」という新たな在留資格が創設されました。これは、これまで専門技術的分野に限ってきた外国人材の受入れを技能労働者層に大きく拡大する法律です。今回はここに至る日本の外国人労働政策の流れを振り返ってみたいと思います。
 そもそも日本では1960,70年代に、外国人労働者を受入れないという旨の閣議決定を繰り返していました。外国人労働者の受入れが政策課題として議論され始めたのは1980年代後半のいわゆるバブル経済期で、労働省は1988年に雇用許可制(使用者が外国人を雇入れる場合に事前に雇用許可を取得することを義務づける制度)を提案しました。これに対して出入国管理行政を所管する法務省が猛烈に反発し、雇用許可制は実現しませんでした。しかし、法務省は1989年に入国管理法を改正し、ブラジルやペルーなどの南米諸国に移住した日系人の二世・三世に対して、就労に一切制限のない定住者という在留資格を与えることで、企業側が要求していた外国人労働力の導入に(サイドドアから)対応したのです。また、同改正は「研修」という在留資格により事実上の労働力を労働者ではないという名目で導入することを可能にしました。
 1993年に成立した研修・技能実習制度は、労働者ではないとみなされる「研修生」の時期と、労働者であると認められる「技能実習生」の時期を結合した制度で、法務省と労働省の妥協の産物です。当初の制度設計では、2年間のうち初めの3分の1が労働者ではない「研修」で、残りの3分の2が労働者である「技能実習」とされ、後に3年間のうちそれぞれ初めの1年間と残りの2年間とされましたが、その実態は研修と技能実習とでほとんど変わりがなく、オンザジョブトレーニングで作業する労働者そのものでした。やがて累次の裁判例によって研修生の労働者性が認められ、入国管理法の改正が求められるに至ります。
 政府部内でも規制改革会議や経済財政諮問会議、厚生労働省が制度の見直しを求め、2009年の入国管理法の改正により、3年間通じた「技能実習」という在留資格を設け、座学以外は雇用関係による就労と位置付け、全面的に労働法を適用することとしました。同時に、それまで事実上認められていた団体監理型という一種のブローカー方式の労働力需給調整システムが法律上に明記されました。
 その後も技能実習制度に対しては法令違反や不正行為が後を絶たず、その適正化が強く求められました。一方、企業側は技能実習生を利用できる期間の延長を求めました。そこで、法務省と厚生労働省が合同で学識者による検討会を開催し、その報告書に基づいて2016年に技能実習法が成立しました。これにより、3年間の技能実習が終わって一旦帰国した者がさらに2年間技能実習できることとなり、計5年間実習生として就労できることになりました。一方、多くの問題が指摘されていた監理団体(需給調整のブローカー)に許可制を導入し、場合によっては許可を取り消すこととするとともに、実習実施機関(企業や農家など)を届出制とし、個々の技能実習計画を認定制とするなど、制度の厳格化を図りました。
 しかし、法律上は労働者として認められているとはいえ、特定の企業や農家で技能実習するという条件の下で就労が認められていることから、技能実習生が別の企業に転職することは原則として認められていません。そのため、特に地方の低賃金企業や農家から脱走して、都市部の高賃金企業で闇就労する者が後を絶ちませんでした。また、依然として技能実習生に対するセクハラなどの人権侵害行為も指摘されました。
 以上のような外国人労働者政策を抜本的に変更する政策が、2018年2月の経済財政諮問会議において、安倍晋三首相から提起されました。中小企業での人手不足が深刻化していることを背景に、在留資格の上限を定め、家族の帯同を基本的に認めないという条件の下で、多様な業種における技能労働力として外国人労働者を受入れるという方針です。官邸のタスクフォースで議論が進められ、6月の「骨太の方針」に制度の大枠が示されました。さらに法務省で検討が進められ、11月に法案が国会に提出され、12月に成立し、2019年4月に施行されました。
 新たに設けられた「特定技能」という在留資格は2つに分かれます。「特定技能1号」は特段の訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる技能水準の者であり、業所管官庁が定める試験で確認しますが、上記技能実習2号修了者は試験が免除されるので、実際には当面、技能実習生から特定技能1号に移行する者が主となると思われます。特定技能1号の在留期間は5年で家族の帯同は認められません。技能実習期間と併せれば計10年間単身で就労することとなります。
 これに対し「特定技能2号」は熟練した技能であり、自らの判断により高度に専門・技術的な業務を遂行でき、あるいは監督者として業務を統括しつつ遂行できる水準とされています。こちらは在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同も認められるので、より移民政策の性格が強いと言えます。
 外国人労働者の導入に対しては、労働市場に対するマイナスの影響を懸念する国内労働者の不安を払拭する必要があります。そこで、法律上対象業種は「人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業分野」とされ、業所管官庁と協議して法務大臣が指定するとされています。しかし、2018年2月の経済財政諮問会議の時点では5業種程度が例示されていただけですが、法制定後に閣議決定された基本方針では14業種に膨れあがっており、事実上様々な業界の人手不足の悲鳴をほぼ聴き入れた形となっています。
基本方針に定める受入れ業種:1介護業、2ビルクリーニング業、3素形材産業、4産業機械製造業、5電気・電子情報関連産業、6建設業、7造船・舶用工業、8自動車整備業、9航空業、10宿泊業、11農業、12漁業、13飲食料品製造業、14外食業。
 さらに、受入れ分野における人手不足の状況について継続的に把握し、人手不足でなくなった(言い換えれば、労働力過剰になった)場合には、受入れ方針を見直し、在留資格認定証明書の交付を停止したり、省令から当該分野を削除することも検討するとされています。とはいえ企業にとって、ある程度長期間就労してその企業の仕事に慣れた外国人を解雇して、技能の乏しい日本人失業者を採用することは合理的な行動ではありません。現在の好景気が終了し、日本経済が不況に陥ったときに既に外国人を大量に導入した労働市場で何が起こるのかは、現時点では予測することは困難です。
 また、高賃金を払えない中小零細企業が外国人労働者を最低賃金程度で雇用することで、その分野の労働市場に対して賃金低下の悪影響を及ぼすのではないかという国内労働者の懸念に対応して、省令上「報酬の決定・・・その他の待遇について差別的取扱いをしてはならない」と規定され、外国人の報酬額が日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められています。とはいえ、そもそも日本人労働者が応募しようとしないほどの低賃金だから人手不足に陥っている職種については、これは必ずしも高賃金を保証するものではありません。むしろ、特定業種の特定職種は、外国人労働者に依存する低賃金構造が固定化する可能性もあります。
 法制定後に指摘されるようになったこととして、都会と地方の賃金格差が大きいことの影響があります。日本の最低賃金制度が都道府県別に設定されており、最高の東京都の1時間985円から最低の鹿児島の1時間761円まで約3割もの格差があります。人手不足に悩む地方の中小企業が現地の最低賃金近辺で雇用した特定技能外国人材は、都会に行けばもっと高い賃金が得られると知れば、転職することに躊躇しないでしょう。上記技能実習生と異なり、(人手不足であると認定された)同じ業種の中では転職することに制約はないからです。この問題に対しては、与党自民党の内部から全国一律最低賃金制にする提案が出されてきていますが、厚生労働省の賃金課長が特定技能対象職種については全国一律最低賃金とする私案を提示したところ、大きな波紋を呼び、内閣官房長官が否定するという騒ぎになるなど、この問題の決着の方向は未だ見通せません。

 

 

 

2019年4月18日 (木)

國武英生『労働契約の基礎と法構造』

07999_1 國武英生さんより『労働契約の基礎と法構造 労働契約と労働者概念をめぐる日英米比較法研究』(日本評論社)をおおくりいただきました。ありがとうございます。

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7999.html

労働法における基本概念である「労働契約」について、近時の世界的変容を視野に置き、日英米の比較法を用いて探究する力作。 

本書は、今世界的にホットな話題になっているテーマを正面から取り上げていて、見れば気になり、読まざるを得ない本です。

著者は英米労働法が専門なので、主にイギリスとアメリカの雇用契約概念と被用者概念の歴史を丹念にたどり、今日のシェアリングエコノミー下における英米における法的対応がどういう歴史的条件の下でなされているかをわかりやすく説明してくれます。

序 章
  第1節 問題の所在
  第2節 問題の構造
  第3節 方法と構成

 第1章 わが国における労働契約と労働者概念
  第1節 労働契約と労働者概念
  第2節 労働者概念に関するわが国の裁判例
  第3節 課題の確認

 第2章 イギリスにおける雇用契約概念の形成と展開
  第1節 イギリスにおける雇用契約の形成
  第2節 雇用契約と労働法の適用対象の構造
  第3節 準従属的労働者への法的対応

 第3章 アメリカにおける被用者概念の形成と展開
  第1節 被用者概念の歴史的形成
  第2節 アメリカにおける「被用者」概念
  第3節 全国労働関係法における「被用者」
  第4節 アメリカにおける「使用者」概念
  第5節 小括

 第4章 雇用関係の構造
  第1節 シェアリング・エコノミーと雇用関係
  第2節 イギリスの学説と改革案
  第3節 アメリカの改革案
  第4節 比較法的考察
  第5節 小括

 第5章 総合的理解の試み
 第1節 英米における雇用契約の構造分析
  第2節 労働契約の基礎と法構造

なお、研究の内容自体ではないのですが、ちょっと気になった点を。第4章のはじめの方にアルン・スンドララジャンの『シェアリング・エコノミー』が引用されているんですが、彼の名を「アルン前掲注~」という風に引用していて、なんか違和感がありました。そこはスンドドラジャンじゃないかと。

もっと姑みたいなことを言うと、『LIFE SHIFT』の著者は「リンダ・グラットン・アンドリュー・スコット」と4つの名前が「・」でつながっているんですが、いやこれはリンダ・グラットン(女性)とアンドリュー・スコット(男性)の2名でしょう。そして、『中世英国人の仕事と生活』の著者は「テリージョーンズ・アランエレイラ」と、まるで一人の名前みたいになっていますが、いうまでもなくテリー・ジョーンズとアラン・エレイラの共著でしょう。

 

2019年4月17日 (水)

労働組合は賃金カルテルだが・・・(前書き付き再掲)

最近、全港湾がストライキの突入というニュースが流れてきたのですが、よく見ていくと、使用者側がいささかトンデモ系の主張をしていたようです。もとより、組合側の要求する賃金水準が妥当なのかそうでないのかはここで軽々しく言えるようなことではないですが、その前段階で、そもそも産別レベルで労使交渉で業界の最低賃金を決定すること自体が独禁法に違反するのではないかというようなことを言っているらしく、さすがにそれは労働法に対して無知、というかわざと無知を装っているように受け取られかねません。

情報労連の対馬洋平さんのツイートから:

https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1118335827908501505

労働組合による企業横断的な賃金要求を「独占禁止法に抵触するおそれがある」って、いつの時代ですかっ! 産別の最低賃金には賃金ダンピングによる、業界の過当競争を防ぐ役割もあるんです! 協会側にそれがわからない?

https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1117773475945406464

協会側が「産別最賃制度」について、中央労働委員会が「独占禁止法上問題にならない」とあっせん案を出しても、「独禁法に触れるかどうか、公正取引委員会に聞きに行く」と言っているそうです。http://zenkoku-kowan.jp/cgi/blog/diary.cgi?no=235

中労委は言う通りだと思いますが。労働組合は賃金カルテル

この最後の「労働組合は賃金カルテル」というのは、もう8年も前に本ブログに書いたエントリのタイトルとほぼ同じなので、労働関係者にとっては今更の話ですが、そこを一歩出ると意外にほとんどわきまえられていない「常識」を、改めてご紹介することにも何らかの意味があるかと、再アップさせていただきます。なお冒頭のごちゃごちゃした話は、あまり気にしないでいいです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-1383.html (労働組合は賃金カルテルだが・・・)

「ニュースの社会科学的な裏側」さんに、評論家相手に詰まらん喧嘩を売るな、と諭されたこともあり、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/--9bf9.html(「犬も食わない池田-濱口論争を整理」されました)

淡々と、事実のみを指摘し、労働問題に関心のある方々への参考としたいと思います。そうしておけば、変なイナゴも湧いてこないでしょうし。

さて、例によって池田信夫氏のつぶやきですが、

http://twitter.com/#!/ikedanob/status/80854685522739200

>労働組合は賃金カルテル。ワグナー法までは違法だった

例によって、半分だけ正しいというか、一知半解というか、いやいやそういうことを言ってはいけないのであった。どこが正しいかというと、

1890年のシャーマン反トラスト法が、連邦最高裁によって労働組合にも適用されると判決されたことにより、まさに「労働組合は賃金カルテル」となりました。

これに対し、1914年のクレイトン法が「人間の労働は商品ではない」と規定して、労働組合の行動を反トラスト法の対象から除外したのですが、なお当時の司法はいろいろと解釈して反トラスト法を適用し続けたのです。

それをほぼ全面的に適用除外としたのが1932年のノリス・ラガーディア法で、これを受けて、むしろ積極的に労働組合を保護促進するワグナー法がルーズベルト大統領の下でニューディール政策が進められていた1935年に成立します。

ですから、学生ならお情けで合格点を与えてもいいのですが、社会科学に関わる人であれば「ワグナー法までは違法だった」で落第でしょう。

で、ここからが本題。

このように労働組合がカルテルであるというのは、つまり労働者が企業の一員ではなく企業に対する労働販売者であり、労働組合とはそういう労働販売者の協同組合であるという認識を前提にします。労働組合がギルドだという言い方も、同じです。

欧米の労働組合は、まさにそういう意味で労働販売者の協同組合として、社会的に位置づけられているわけですが、日本の労働社会ではそうではない、というのが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_a4ee.html(半分だけ正しい知識でものを言うと・・・)

の最重要のポイント。

日本の企業別組合は、企業の一員(メンバー)であることが要件であり、そのメンバーシップを守ることが最重要課題なので、自分が働いている職場に、自分のすぐ隣で、同じ種類の労働をものすごい安売りをしている非正規労働者がいても、全然気にしないのです。そんなもの、カルテルでもなければギルドでもあり得ない。

アメリカは自由市場イデオロギーの強い国なので、こういう反カルテル的発想から反労働組合思想が発生しがちなのですが、少なくともそのロジックをそのまま日本に持ち込んで、日本の企業別組合に対して何事かを語っているつもりになるとすれば、それは相当に見当外れであることだけは間違いありません。

批判するなら、「もっとまともなギルドになれ!」とでもいうのでしょうかね。それは立場によってさまざまでしょうが。

2019年4月15日 (月)

『DIO』346号

Dio3461 連合総研の機関誌『DIO』346号は、「労働運動家とその思想-現代にどう活かすか」が特集です。

https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio346.pdf

労働運動家とその思想−現代にどう活かすか
日本労働運動史における高野房太郎の足跡と役割 −日本労働組合運動の父− 小松 隆二
友愛会から総同盟へ −鈴木文治と松岡駒吉の軌跡 間宮 悠紀雄
対立を超える“共助”の理想を追い求めた労働運動家 −賀川豊彦とその生涯 伊丹 謙太郎

高野房太郎はアメリカでゴンパーズに学び、日本に「労働組合」という言葉を教えた準備期の偉人ですし、鈴木文治と松岡駒吉は友愛会から総同盟という日本の労働運動のメインストリームを形作った人々です。香川豊彦は一色違って、労働運動家というにとどまらずさまざまな社会運動にかかわった人ですが、労働運動家のラインナップに不可欠な人であるのも確かですね。

今回どうしてこういう(いささか時代遅れの感もある)特集を組んだのかはよくわかりませんが、労働運動が沈滞し続けている今日、もっとずっと広い視野で運動を展開していた人々に思いをはせることは、何かのヒントになるかもしれない、ということなのかもしれません。

 

リベラルフェミニズムと社会主義の落差とそれへの無感覚

端的に言って、二つの全く異なる立場からの議論が混在しているために、そのどちらに対する賛意/敵意なのかが言ってる本人もよくわからないままわけわかめ状態になっているという、ここ十数年よく見られる現象の一つと言うことなのでしょう。

欧米ではエリート女は(差別されているとはいえ)エリート男と同じ範疇に属し、少なくともノンエリート男よりも下に蔑まれるなどということはないけれども、旧来型日本的雇用システムにおいては、高卒男と大卒男はまとめて(一生懸命頑張れば昇進する可能性がある)エリートを夢見られる存在であったのに対して、女は高卒であれ大卒であれそこから排除されるものであり、それゆえ過去の東大女子学生たちはそこに入り込もうと必死で頑張ってきたんだよ、という厳然たる歴史的事実を、その後輩諸君にきちんと教えておくことは、確かに重要なことでありましょう。

一方で、これは世界のどの社会でも多かれ少なかれ厳然と存在する階級による教育格差に対して、灘や開成を出た男たちであれ、桜蔭や双葉を出た女たちであれ(若き日の上野千鶴子氏自身も含めて)、自分が賢くて優れているからエリートになれたんだとうかつにも思いこみがちな高学歴の若者に、その「能力」なるものがいかに家族環境を始めとした社会の枠組みによって作り上げられてきているのかという、とかく目に入りにくい社会の仕組みの厳しさと自分たちがいかに恵まれているかを思い知らせるということも、これまた極めて重要なことでありましょう。

若干残念なのは、この二つの議論はいずれも極めて重要であり、その理路をきちんと伝えることが必要であることは間違いないのですが、その立ち位置が相当程度に乖離しており、両者まとめて議論を展開すると、ノンエリート男なんかよりもエリート女をもっと出世させろと主張しているのか、エリートだと思って威張るなバカ、と言っているのか、頭の整理が出来ない人になればなるほど混乱した反応を導き出してしまうということなんでしょうね。

 

2019年4月14日 (日)

本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』

29556525_1 昨晩、都内某所で、小宮文人先生の古稀と退職をお祝いするパーティがあり、そこで法律文化社の小西さんより本書をお渡しいただきました。

https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04007-7

法学部生向けの標準的テキストであり、かつ全学部生のワークルール入門にも対応。法制度の意義・要件・効果の正確な分析を前提に、重要判例の事実・判旨を明示的に取り上げ、理解を深める工夫をした。「働き方改革」など昨今の動向やこれからの課題にも言及。

本書は、小宮先生が本久さんらと一緒にやってきた労働判例研究会のメンバーによる基礎レベルのテキストですが、本久さんによる「はしがき」には、労働法のありように対する興味深いアプローチの片鱗がちらりと顔を出しています。

・・・本書を貫く精神を一言でいうと、執筆陣と同じく、マルチチュードということになる。労働法の対象である労働者は、もはや階級としても国民としても一体性を持つものではない。これを多様性(diversity)という観点から眺めることには抵抗がある。そんな高尚なものではないからだ。むしろ、多数ないし群(multitude)として、内部に種々の差異と格差を抱えながらも、働いて生きている者どもという点では、同様にしか見えない人々、経済の動静に落ち葉のように翻弄される、この私でもあり君でもあるが決して我々といった一体感など持ちようもない群衆こそが、現在の労働者の原像に相応しい。・・・

執筆陣は以下の通りで、

本久 洋一(國學院大學法学部教授)
小宮 文人(元専修大学法科大学院教授)
國武 英生(小樽商科大学商学部教授)
中川 純(東京経済大学現代法学部教授)
斉藤 善久(神戸大学大学院国際協力研究科准教授)
高橋 賢司(立正大学法学部准教授)
戸谷 義治(琉球大学法文学部准教授)
小山 敬晴(大分大学経済学部准教授)
南 健悟(日本大学法学部准教授)
古賀 修平(宮崎産業経営大学法学部講師)
大石 玄(富山県立大学教養教育センター准教授)
淺野 高宏(弁護士、北海学園大学法学部教授)
北岡 大介(社会保険労務士)
新谷 眞人(日本大学法学部教授)
辻村 昌昭(淑徳大学名誉教授)

 

 

 

 

2019年4月13日 (土)

浅尾裕『思考を深める考察術』

C96377a9bdd431544c35181b21459278 浅尾裕『思考を深める考察術』(幻冬舎ルネッサンス新書)をみつけました。

https://www.gentosha-book.com/products/9784344921504/

著者の浅尾裕さんは、

1953年大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、1976年労働省(現・厚生労働省)に入省。
2006年同省退職後、独立行政法人労働政策研究・研修機構(研究職)に転職。
2009年7月から2014年3月まで同機構労働政策研究所長を務め、2019年3月に同機構退職。
同機構在勤中は、多様な就業、高年齢者雇用などを中心に労働政策分野の調査研究に従事し、
報告書等多数執筆。「自称『ケインジアン』」を自称。 

と、専門分野は違いますが、私にとっては労働政策研究の先輩に当たります。

ただ本書は、うーむ、なんというのだろう、その専門分野にかかわる章もありますが、ご自分の障害者としての経験からの省察もあり、時事評論(放談?)的なエッセイもあり、いかにも素人ななしろうと歴史談義もありと、まことにバラエティに富んだ内容になっていて、浅尾さんの人格の多面性がよく表れていますね。時事エッセイに対しては、「そうやそうや!」と膝をたたきたくなるところもあれば、「ほんまにそうかいな」と首をかしげるところもあり、人によってさまざまな感想を抱くであろうと思われますが、それはまさに著者の望むところなのでしょう。

Ⅰ 一歩遅れの世の中評論
Ⅱ しろうと歴史談義
Ⅲ はいろうと経済社会談義
Ⅳ 障害者ということ
Ⅴ 駄じゃれまじりに

一点注文を付けておくと、第3章の「はいろうと経済社会談義」の「はいろうと」。これは、自分は「くろうと」と「しろうと」の間の灰色の「はいろうと」だという韜晦なんですが、いやいや、経済系の研究者としてあれだけの報告書をたくさん書いておいて、いまさら「はいろうと」はないでしょう。経済以外の分野の人々から見たら立派な玄人のエコノミスト(官庁エコノミスト→シンクタンクエコノミスト)なんですから、そういう韜晦はいけません。最初見たときは「ハイロード(high road)」と懸けているのかと思いましたが、そうでもないようです。ついでに言うと、「自称ケインジアンを自称」ってのも、世にいんちきケインジアンがあふれているのを皮肉っているんでしょうけど、やっぱり韜晦が過ぎるように思います。

その第3章から、「賃金論議」の興味深かったところを。例の人手不足なのになぜ賃金は上がらないのか論議への一つの視角です。

・・・さて、近年における賃金をめぐる論議に入りましょう。ケインズ先生は、『貨幣改革論』などで労働者はデフレよりもインフレに益されることが多いという方向の論を展開しています。私も、働く人々総体にとってみればその論に賛同しています。しかしながら、自称ケインジアンとしてはあまり書きたくないのですが、働く人々もデフレ(=物価の下落傾向)に利益を感じてしまう場合もあることにも注意しておく必要があると思います。とりわけ、月給制によって賃金の主要部分が固定(保障)されているような、例えば語弊があることを覚悟で言えば、大企業の正社員層にあっては、デフレであることに痛痒を感じないどころかある種の「暮らしやすさ」さえ感じる場合があると思います。したがって、消費者物価が相当程度上昇する局面にならない限り、賃金の本格的な上昇は起こりにくいということになります。私は、このことに労働市場が好転しても、いわゆる「人手不足」の状況があるにもかかわらず、「賃金が<想定通りに>上がらない」ことの根本的な原因があるように思っています。

これは、私は大変納得できる議論です。

 

 

 

2019年4月12日 (金)

雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)

本日厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」に、JILPTの「雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)」が報告されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04375.html

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000501194.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000501195.pdf

いくつもの場合に対応する数字がならんでいますが、「発注者から仕事の委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る者」について、主に「事業者」を直接の取引先とするものが本業+兼業で約170万人という数字が赤字で強調されています。主に「一般の消費者」を 直接の取引先とするものを含めると約228万人です。

じっくり読んでいくと、いろいろと興味深い数字がたくさん並んでますので、ぜひ上のリンク先を覗いてみてください。

 

2019年4月11日 (木)

川口美貴『労働法〔第3版〕』

449000 川口美貴さんの分厚いテキスト『労働法〔第3版〕』(信山社)をお送りいただきました。分厚さは1085ページ、拙著を若干超えております。

さて、今回の第3版、実は第2版が出たのが1年前なので、わずか1年で改訂されたことになります。これは記録的な早さではないでしょうか。しかもこの分厚さで。

https://www.shinzansha.co.jp/book/b449000.html

働き方改革関連法・民法改正(債権関係)に対応した最新版。労働法全般にわたる詳細で充実したテキスト。本書の全体を見通すことができるように、冒頭に細目次を配し、わかりやすく提示。長年の講義と研究活動の蓄積を凝縮し、講義のための体系的基本書として、広く深い視野から丁寧な講義を試みる。学習はもとより実務にも役立つ、労働法のスタンダードテキスト。

今回追加された所はいっぱいありますが、たとえば、「労働者」概念のところで、クラウドワーカーについての記述がされ、さらに「他の概念との異同」として、家内労働者、事業協同組合の組合員、独占禁止法上の事業者と取引の相手方、といったことについてやや詳しく書かれていて、昨晩、都内某所で交わされた話と重なり合うものがあります。

 

 

2019年4月10日 (水)

渋沢栄一の工場法賛成論

T6z1glzw_1

昨日のエントリを見て、渋沢栄一ってのはとんでもねぇ野郎だと思ったあなた。いやいや話はそう単純じゃありません。

明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席では、「唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルルト云フコトハ絶対ニ反対ヲ申シ上ゲタイ」と、猛反発していた渋沢ですが、その後工場法による職工保護の必要性を認めるようになり、明治40年(1906年)の第1回社会政策学会には来賓として呼ばれてこういう挨拶をしているんです。

・・・それから工場法に付て一言申し上げますが、・・・私共は尚早論者を以て始終目せられたのであります。・・・

・・・そこで我々が其工場法に対して気遣ひましたのは、唯々単に衛生とか、教育とか云ふ海外の有様だけに比較して、其法を設けるのは、独り工場の事業を妨げるのみならず、職工其者に寧ろ迷惑を与へはせぬか、其辺は余程講究あれかしと云ふのが、最も私共の反対した点であつた。・・・

・・・併し其時分の紡績工場の有様と今日は大分様子が変つて来て居る、試に一例を言へば、其時分に夜業廃止と云ふことは、紡績業者は困る、どうしても夜業を廃されると云ふと、営業は出来ないとまで極論したものでありますが、今日は夜業と云ふものを廃めても差支へないと紡績業が言はうと思うので、世の中の進歩と云ふか、工業者の智慧が進んだのか、若は職工の有様が左様になつたのか、それは総ての因があるであらうと想像されます。又時間も其時分よりは必ず節約し得るやうに、語を換へて言へば、時を詰め得るやうになるだらうと思ひます。故に今日に於て工場法が尚ほ早いか、或は最早宜いかと云ふ問題におきましては、私はもう今日は尚ほ早いとは申さぬで宜からうと思ふのであります。・・・

・・・左様に長い歴史はありますが、今日が尚ほ早しとは申さぬのでありますけれども、願くは実際の模様を紡績業に就て、或は他の鉄工場、其他の業に就て、之を定めるには斯ることが実地に大なる衝突を生じはせぬかと云ふことだけは努めて御講究あれかしと申すのであります。学者の御論中には英吉利、独逸、亜米利加等の比較上の御講究が大層な討論と思召さるるが、それは言はば、同じ色の闘ひであつて、所謂他山の石でないから、其事の御講究に就て十分御注意あらむことを希望いたすのであります。

11年後の渋沢は、もう工場法には反対しないと言っています。ただ、最後のあたりで、社会政策学会の学者連中に対して「先進国の出羽の守ばかりやりやがって、日本の現実を知らねぇんじゃねぇか」(大意)といわんばかりの台詞を噴いている辺りは、「唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルル」云々の気持ちは少しは残っているようではありますね。

 

2019年4月 9日 (火)

渋沢栄一の工場法反対論

T6z1glzw_1 なにやら、お札の顔が変わるという話があるようで、1万円札の福沢諭吉の次は大隈重信・・・とはならないで、渋沢栄一という名前が挙がっているようです。

渋沢栄一who?

概略はWikiを見ればわかりますが、そこに書かれていない労働法関連のエピソードを一つ。

拙著『日本の労働法政策』414ページにも一部引用してありますが、彼は明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席で、「職工ノ取締及保護ニ関スル件」の諮問に対し、次のような反対意見を述べています。

・・・夜業ハイカヌト云フコトハ、如何様人間トシテ鼠トハ性質ガ違ヒマスカラ、昼ハ働ライテ夜ハ寝ルノガ当リ前デアル、学問上カラ云フトサウデゴザイマセウガ、併シナガラ一方カラ云フト、成ルベク間断ナク機械ヲ使ツテ行ク方ガ得デアル、之ヲ間断ナク使フニハ夜業ト云フ事ガ経済的ニ適ツテヰル・・・唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルルト云フコトハ絶対ニ反対ヲ申シ上ゲタイ

いやあ、実に爽快なまでの経済合理性優先の労働者保護反対論をぶち上げています。人間は鼠じゃないといいながら、鼠みたいに使いたいという本音が優先しています。

 

医師の不養生はいつまで続くか? @WEB労政時報

WEB労政時報に「医師の不養生はいつまで続くか?」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/article.php?entry_no=75899

去る3月28日に厚生労働省医政局の「医師の働き方改革に関する検討会」(学識および実務経験者22名、座長:岩村正彦)はようやく報告書を取りまとめ、医師の労働時間の上限規制の具体案を提示しました。それは、先週施行された2018年改正による労働基準法の一般規制に比べると、かなり隔絶したレベルの長時間労働を許容するものになっています。 
 この問題はそもそも、2018年改正に向けた2017年3月の働き方改革実行計画に、突然医師に関する記述が入り込んできたことに端を発しています。もともと労働基準法上や時間外労働の限度基準告示に医師の労働時間について特例があったわけではありませんが、「時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要」とされた上で、「具体的には、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することとし、医療界の参加の下で検討の場を設け」「2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討」するとされたのです。
 その背景には、・・・・・

 

中窪裕也・野田進『労働法の世界[第13版]』

L24318 中窪裕也・野田進さんの『労働法の世界[第13版]』(有斐閣)をおおくりいただきました。ありがとうございます。こちらはかなり厳格に2年おきというルール通りに刊行されてきていますね。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641243187

日々変化する「労働法の世界」の実像に迫り,労働法の基本構造の転換と発展のダイナミズムを,確かな座標軸をもって描き出す。時を重ね,世紀を超えて進化・発展をつづける,ロングセラーのテキスト。働き方改革関連法に対応して構成も改めた最新版。

目次は下の通りですが、例によって「Brush up」というコラムが今日的話題を取り上げていて面白いです。

1 労働法の世界へ
 1 労働法の見取図
 2 労働法のアクター
 3 労働条件の決定システム
2 「企業」との遭遇
 4 募集・採用
 5 労働契約の期間
 6 労働契約の基本原理
 7 平等原則
 8 就業規則
 9 パート・有期労働,労働者派遣
3 「団体」との遭遇
 10 労働組合
 11 団体交渉
 12 労働協約
4 「労働条件」の諸相
 13 賃 金
 14 労働時間
 15 休憩・休日・時間外労働
 16 休暇・休業・休職
 17 女性(妊産婦等)・年少者
 18 安全衛生と労災補償
 19 配転・出向・人事考課
5 「紛争」との遭遇
 20 労働契約の変更
 21 紛争としての解雇
 22 企業秩序と懲戒
 23 争議行為
 24 不当労働行為
 25 労使紛争の解決手段
6 「企業」との訣別
 26 労働契約の終了
 27 再就職と引退

ちなみに、判例命令索引でいちばん新しいのは、セブンイレブンとファミマの中労委命令でした。

 

その時19才の私は!!

戦後日本労働史に燦然と輝く近江絹糸争議については、本田一成さんが最近、『写真記録・三島由紀夫が書かなかった近江絹糸人権争議 絹とクミアイ』(新評論)を出されたことは本ブログでも紹介しましたが

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-6fc2.html

本田さんの手元にはもっといろいろ山のような資料があるようで、その一端を大阪のエル・ライブラリーのサイトにアップしています。

http://l-library.hatenablog.com/entry/2019/02/27/185632

 この手記『その時19才の私は!!』は手書きで書かれたものを印刷製本してあり、国学院大学の本田一成先生が発掘されたものです。私家版として発行された同書について、本田一成先生が翻刻されたうえで解説も執筆されています。

 エル・ライブラリーではその翻刻全文と本田先生の解説をpdfファイルで公開しました。どこの図書館にも所蔵が確認できないレアもの資料です。下記リンク先からご覧ください。

http://shaunkyo.jp/webdatabase/files/sonotoki19sainowatashiha.pdf

T6z1glzw_1

2019年4月 8日 (月)

土田道夫『労働法概説 <第4版> 』

440899 土田道夫さんより『労働法概説 <第4版>』(弘文堂)をお送りいただきました。ありがとうございます。これから続々と出版されるであろう、働き方改革法を全面対応した労働法テキストの皮切りと言えましょうか。

https://www.koubundou.co.jp/book/b440899.html

2018年成立の働き方改革推進法(労基法改正、労働時間等設定改善法改正、労働安全衛生法改正、パートタイム労働法改正〔短時間・有期雇用労働法の制定〕、労働者派遣法改正など、36の法改正)に対応して、全面改訂しました。もちろん引用判例等もすべて見直し、最新の重要判例を織り込んだ、5年ぶり待望の改訂版です!

第3版が2014年だったので、5年ぶりの改訂ということになります。初版以来、はしがきの最後のところにそのときのお弟子さんたちの名前が並んでいるのですが、それをみると、土田シューレの歴史が浮かび上がってきますね。

1.労働法の意義とシステム
2.労働契約の成立
3.労働契約の展開
4.賃金
5.労働時間・休日・休暇・休業
6.人事
7.企業秩序と懲戒
8.労働者の健康と安全
9.労働条件・雇用関係の変動
10.労働契約の終了
11.女性の雇用平等
12.非典型労働者の雇用・外国人雇用
13.集団的労使自治と労働組合
14.団体交渉
15.労働協約
16.団体行動
17.不当労働行為
18.労働紛争の解決
事項・判例索引

 

 

労働組合書記局アルバイトの労働者性

コミュニティユニオンの一つであるプレカリアートユニオンで内部紛争が発生し、書記局アルバイトと呼ばれる組合員の労働者性が問題になっているようです。

https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2019/04/06/220805

https://dmu.or.jp/?p=364

分派活動だとか名誉毀損だとかいった紛争それ自体には特に言及するつもりはありませんが、上記二つのネット上の文章を読んだ限りなので、恐らくその裏にあるであろうもろもろの事情は一切抜きにしても、労組事務局で事務作業に従事している組合員の当該労働組合との関係における労働者性というのは、労働法的にもなかなか興味深い論点を提起しているように思われます。

通常、労働組合には3種類の人がいます。組合員、組合役員、組合職員です。ざっくりいえば組合員は顧客、組合役員は経営者、組合職員は労働者で、組合員が組合役員を選び、組合役員が組合職員を雇う。組合職員は通常「書記」と呼ばれ、組合から給料をもらう労働者であることは間違いない。ただまあ、労働者ではあるけれども、労働基準法に厳格に従っていたら組合活動なんてできないので、それは他人様の話というのが一般的なようです。

ところがこのプレカリアートユニオンでは、組合員が書記局で事務作業をし、書記局アルバイトと呼んでいたようですが、それが労働法上の労働者であるかどうかで揉めてしまったようです。

一方では、

当組合では、組合が取り組む争議があった場合、たとえば残業代計算のための入力作業などを、手の空いている組合員に手伝ってもらうことがしばしばありました。こういった作業は、組合活動として、それぞれの組合員がお互いに助け合いということで行ってきたことで、無償のものでした。しかし、当組合としては、手伝ってくれている組合員に対して、わずかではありますが行動費を支払っていこうと執行委員会で取り決めをし、それ以降、組合員には行動費を支払ってきました。

 この手伝ってくれる組合員を、「書記局アルバイト」と呼んではいましたが、実態は上記のとおりで、雇用ではありませんでした。前田組合員もその手伝いをしてくれていた組合員の一人です。

と主張し、他方は、

しかし、実際には、「書記局アルバイト」はPUの組織に組み入れられ、一体となって業務に従事しているものであり、その名称から理解できるとおり、PUとの間では、労働契約関係に立つものです。実際に従事してきた業務も、月給制の専従者と何ら変わるところがありませんでした。

団体交渉申入書記載のとおり、DMU前田は、PU関口氏から「バイトしませんか」と勧誘されてPUに入職しており、過去3ヶ月の平均賃金は17万8000円、平均労働時間は120時間にも及びます。

また、作業の場所も、秘密書類の持ち出しが禁じられていることから、PU事務所内が原則とされており、この事務所内には、「産休・育休取得は義務」「夜8時以降労働禁止」といった貼り紙さえ存在します。

また、賃金についても、所要時間ではなく、労働日と労働時間を申告することで支払われます。さらに、最近採用された書記局アルバイト(例えば、盗聴行為をおこなったデイズジャパン出身の根本美樹氏)については、タイムカードで勤怠管理をしています。

とすれば、その名称から当然に理解されるように、「書記局アルバイト」とPUの関係は雇用の関係に立つものです。

と主張しています。

プレカリアートユニオンに対して、DMUからは3月13日に不当労働行為の救済申立を行い、3月18日には東京地方裁判所に提訴をしています。

とのことなので、そのうちに法的な判断が下される可能性もあります。そしたら是非評釈してみたいですね。

 

 

 

2019年4月 5日 (金)

求人不受理規定は2017年職安法改正

日経新聞にこういう記事が載っていますが、

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43339310U9A400C1EE8000/労働法違反なら求人拒否も 職業紹介で新ルール

厚生労働省は2020年3月から、職業紹介事業者が労働法令に違反した企業の求人を拒否できるようにする。事業者が原則受理しなければならない現行制度を改める。悪質な企業による採用を防ぎ、就職後のトラブルを未然に防止することをめざす。・・・

うーむ、間違ってはいないけれども、若干誤解を招きかねないなと思うのは、これは別に今回新たにこういう制度を設けたというわけではなく、3年前の2017年改正で設けられた規定が、2020年3月から施行されるということです。以下は、現時点ではまだ効力を発生していませんが、既に制定されている規定です。

(求人の申込み)
第五条の五 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求人の申込みは全て受理しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する求人の申込みは受理しないことができる。
一 その内容が法令に違反する求人の申込み
二 その内容である賃金、労働時間その他の労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認められる求人の申込み
三 労働に関する法律の規定であつて政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた者(厚生労働省令で定める場合に限る。)からの求人の申込み
四 第五条の三第二項の規定による明示が行われない求人の申込み
五 次に掲げるいずれかの者からの求人の申込み
イ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号及び第三十二条において「暴力団員」という。)
ロ 法人であつて、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。第三十二条において同じ。)のうちに暴力団員があるもの
ハ 暴力団員がその事業活動を支配する者
六 正当な理由なく次項の規定による求めに応じない者からの求人の申込み
2 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者は、求人の申込みが前項各号に該当するかどうかを確認するため必要があると認めるときは、当該求人者に報告を求めることができる。
3 求人者は、前項の規定による求めがあつたときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

上記第5条の5第1項第3号に出てくる政令は次の通り。

(法第五条の五第一項第三号の政令で定める労働に関する法律の規定)
第一条 職業安定法(以下「法」という。)第五条の五第一項第三号の労働に関する法律の規定であって政令で定めるものは、次のとおりとする。
一 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四条、第五条、第十五条第一項及び第三項、第二十四条、第三十二条、第三十四条、第三十五条第一項、第三十六条第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)、第三十七条第一項及び第四項、第三十九条第一項、第二項、第五項、第七項及び第九項、第五十六条第一項、第六十一条第一項、第六十二条第一項及び第二項、第六十三条、第六十四条の二(第一号に係る部分に限る。)、第六十四条の三第一項、第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項並びに第百四十一条第三項の規定(これらの規定を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第四十四条(第四項を除く。)の規定により適用する場合を含む。)
二 法第五条の三第一項(労働者の募集を行う者に係る部分に限る。)、第二項及び第三項、第五条の四(労働者の募集を行う者に係る部分に限る。)、第五条の五第三項、第三十六条、第三十九条(労働者の募集を行う者に係る部分に限る。)、第四十条、第四十二条の三において読み替えて準用する法第二十条(労働者の募集を行う者に係る部分に限る。)並びに第五十一条(労働者の募集を行う者に係る部分に限る。)の規定
三 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第一項の規定
四 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第五条から第七条まで、第九条第一項から第三項まで、第十一条第一項、第十一条の二第一項、第十二条及び第十三条第一項の規定(これらの規定を労働者派遣法第四十七条の二の規定により適用する場合を含む。)
五 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第六条第一項、第十条(同法第十六条、第十六条の四及び第十六条の七において準用する場合を含む。)、第十二条第一項、第十六条の三第一項、第十六条の六第一項、第十六条の八第一項(同法第十六条の九第一項において準用する場合を含む。)、第十六条の十、第十七条第一項(同法第十八条第一項において準用する場合を含む。)、第十八条の二、第十九条第一項(同法第二十条第一項において準用する場合を含む。)、第二十条の二、第二十三条第一項から第三項まで、第二十三条の二、第二十五条、第二十六条及び第五十二条の四第二項(同法第五十二条の五第二項において準用する場合を含む。)の規定(これらの規定を労働者派遣法第四十七条の三の規定により適用する場合を含む。)

 

 

 

産業医科大学事件高裁判決@『労働経済判例速報』2370号

最近の『労働経済判例速報』2370号に載っている学校法人産業医科大学事件の福岡高裁判決はなかなか興味深いものがあります。

まずもって近年の労契法20条事案のほとんどは手当にかかるもので。手当ってのはあるかないかなので、それに説明がつくかつかないかってのはある意味わかりやすいんですが、本件は基本給自体を争ったものです。正社員の基本給は年功給、非正規の基本給は上がらない(物価に応じて上がるだけ)というほとんどすべての日本企業で見られる現象それ自体が争点になった事案という意味で興味深い。

本件、原告の非正規は職務内容も、また職務や配置の変更範囲も正社員と違っています。なので、法の枠組みの第一段階ではむしろはじかれる方。これまたほとんどすべての企業で見られることでしょう。ところが、本判決は、そうはいっても、正社員も若いころは非正規と似たような仕事してるじゃん、という。これまた(裁判所みたいな、始めから資格で職務内容が異なるような職場を除けば)ほとんどすべての日本の企業で見られる現象です。ジョブ型じゃない日本では、若いころの正社員の仕事なんて、非正規と大して変わらないレベル、なんてこともけっこうありますね。

そして、本件の原告、非正規として30年以上勤続してきている。これはさすがに一般的とは言えないかも知れませんが、実は結構見られることのようにも思います。正社員も非正規も、実態としては長期勤続してしまっている。建前としては、正社員は長期勤続を前提に年功型の賃金、非正規は臨時就労を前提にそのつどの価格で、なんだけど、実態は非正規も正社員以上に長くなっている。だけど、上がらない。

という状況下で、本判決はそれを「その他の事情」だというややトリッキーなやり口で、労契法20条違反に認定しているんですね、ふむ。労働法学的には結構突っ込みどころのある判決だと思いますが、それ以上に、日本型雇用システムの建て前と本音の微妙な構造を明るみに引きずり出している感があって、なかなか面白いです。

2019年4月 3日 (水)

『HRmics』32号

Hrmics32 海老原さんちのニッチモから、『HRmics』32号が届きました。特集は「外国人就労問題、総点検」ということで、栁澤共栄さんも登場しています。

で、わたくしの連載「原典回帰」は、初めて日本の古典を取り上げました。藤林敬三の『労使関係と労使協議制』(ダイヤモンド社、1963年)です。

この本については、過去何回かしゃべったことはありますが、こういう形でまとまったものとして紹介するのは初めてじゃなかったかと思います。

日本の労使関係の本質が凝縮されたようなすごい本です。

 

『徳田孝蔵オーラル・ヒストリー』

ということで、昨日『落合清四オーラル・ヒストリー』と一緒に送られてきたのが『≪元UIゼンセン同盟副会長≫徳田孝蔵オーラル・ヒストリー』です。例によって南雲智映さん、梅崎修さん、島西智輝さんのお三方によるゼンセン関係のオーラルの8冊目となります。

こちらも幼少期の苫小牧での王子製紙争議の思い出から始まってなかなか波瀾万丈の人生で、警察と殴り合いやった話なんかもありますが、ここでは昨日に続いてゼンセン幹部時代の秘話を。ゼンセン同盟がCSG連合と合併してUIゼンセン同盟になったことはよく知られていますが、実はその間、CSG連合の前身の一般同盟ではなくて、総評全国一般と合併するという話もあったそうです。

徳田 ・・・旧総評の全国一般、いま連合に入っている全国一般のトップの人とは、僕がどのポストの時か忘れましたけど、地方部会の部会長の時もそうでしたが、いろいろな場で話をしていて、「ゼンセンとは一緒にやることも考えたらどうですかね」ということを聞いたら、一時乗り気だったんですよ。ところが、専従者が135人いるんだ。こっちは、規模が桁外れに違うのに180人でやっているわけだから、これを全部受入れろと言われたら無理ですわなと。

南雲 そんな話もあったんですか。

徳田 だから、一般同盟とは一緒になろうという話は全然なかったけれど、総評のあれとは。それは、僕は芦田さんと高木さんには報告していたけれど、ゼンセンは僕が一人でやっていました。他の人には一切言わなかったから。

南雲 それは初めて聞いた話です。

徳田 ゼンセンは、全国一般と喧嘩ばかりしていたから。

南雲 そうですよね。そもそも組織の取り合いとか、すべてやっているはずなんですが。

徳田 ところが、中小労働運動に対する求めるものというか、理念は違っても運動の姿勢は互いに認め合うところもあった。松井保彦さんという非常に立派な方で、松井さんも僕のことを非常に信頼してくれて、一緒になってどうかなという話を、酒飲み話で何回もしたことがあるんですよ。だけど、「専従者135人、これはきついです。財政が持ちませんわ。」と。ゼンセンみたいに、全国一般が採用してそれで派遣しているという人ではなしに、東京一般とか葛飾一般とか、こういう所で給料をみてやっているわけです。それで高齢者が非常に多かった。だから、定年後の半ばボランティアみたいなので世話活動をやるという、志の高い人たちがいたわけですよ。尚更、そういう意味では総評の理念にゴリゴリに固まっている人たちばかりだろうし、ゼンセンでは片方で喧嘩ばかりしていたから。中小の問題をどうするかと考えたときは、向こうも財政的に立ちゆかなくなっていたんですよね。ということで話した経緯はあります。公にしたことは一回もないけど。それは松井さんとの人間関係ですよね。

いやあ、これはなかなか興味深い秘話ですね。

ここは是非松井さんの話を聞きたいところですが、残念ながら松井保彦オーラル・ヒストリーというのはありません。ただ、松井さんの後任の全国一般委員長の田島景一さんのオーラルはあって、そこでは「芦田連合会長とゼンセンの考え方に感銘」を受けたという話もあり、また、産別統合でゼンセン同盟、JEC、JAM等と話があったという記述もあります。このあたり、まだまだ語られていない秘話が結構ありそうです。

 

 

 

 

2019年4月 2日 (火)

『落合清四オーラル・ヒストリー』

例によって労働オーラル・ヒストリーの最新作『《元UIゼンセン同盟会長》落合清四オーラル・ヒストリー』をお送りいただきました。例によって南雲智映さん、梅崎修さん、島西智輝さんのお三方によるゼンセン関係のオーラルも7冊目となります。

落合さんは島根大学卒業後ニチイに入社、すぐに労働運動で活躍し、ゼンセン流通部会からUIゼンセン同盟の会長となり、最後はUAゼンセン会長となった方です。

いろいろとと興味深いエピソードがありますが、えっそうだったの!というのは、UAゼンセンの「UA」どこから来たのかという話。最後近くのあたりですが、JSDと統合する際に、「同盟」に非常に抵抗があったそうで、

・・・「同盟というのは右翼が使う言葉ではないか」

「そうじゃないんだ。同盟というのは、英語で言えばアライドだ」

「じゃあ、同盟はやめてアライドにしようや」

「アライド・ユニオン-AUゼンセンでどうや」

「AUは携帯電話の名前があるから駄目だ」

「裁判沙汰になったら困るから、AUはやめておこう」

「じゃあ、UAにしよう」・・・

えっ?そうだったの!?というやや脱力感のある語源でした。

ちなみに、「同盟」は右翼が使う言葉という人は、かつて左翼がСоветский Союз を「ソ同盟」とあえて呼んでいたことを知らなかったのでしょうか・・・。

 

2019年4月 1日 (月)

網谷龍介他編『戦後民主主義の青写真』

440642 網谷龍介・上原良子・中田瑞穂編『戦後民主主義の青写真 ヨーロッパにおける統合とデモクラシー』(ナカニシヤ出版)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.nakanishiya.co.jp/book/b440642.html

第二次大戦後のヨーロッパにおいて、デモクラシーはどのようなものとして構想されていたのか。戦後民主主義の原型を探る。

目次は下記の通りで、網谷さん始め気鋭の政治学者たちによる論集ですが、やはり私の興味を惹いたのは最後の網谷さんの「政治と経済の分離という例外」です。そう、ドイツって、産業レベルの労使関係も企業レベルの労使関係も濃密なのに、国レベルのコーポラティズムが欠落しているんですよね。そこは、三者構成の関係で色々調べたときにいちばん感じたことで、網谷論文はその辺の謎を歴史に分け入って解き明かしています。

序章 「戦後民主主義」を私たちは知っているか?
 1 「戦後民主主義」を歴史的かつ内在的に考える
 2 定着したのはリベラル・デモクラシーか?
 3 戦後民主主義の構成原理
 4 戦後民主主義の制度設計
 5 戦後民主主義の理解に向けて

第1章 亡命者たちの戦後構想とその蹉跌
 1 亡命者たち
 2 亡命者たちの戦後構想
 3 戦後構想の蹉跌?

第2章 ナチズム、戦争、アメリカ
 初代欧州委員会委員長ハルシュタインの思想形成過程 
 1 ハルシュタインとは誰か
 2 ハルシュタインの前半生
 3 学問と政治
 4 「西洋(アーベントラント)」の統一性
 5 おわりに

第3章 国際司法による人権保障というイノヴェーション
 欧州人権条約の形成過程に見る戦後欧州人権保障構想の変容
 1 欧州人権条約の起源
 2 欧州人権条約形成過程における3つの構想
 3 人格主義に基づく欧州連邦体制での人権保障(1948年5-11月)
 4 国際司法による自由と民主主義の防衛(1948年10月―1949年9月)
 5 冷戦深刻化に伴う政治状況の考慮(1949年11月―1950年11月)
 6 欧州人権条約による人権保障構想とその後の「発展」

第4章 フランスのヨーロッパ連邦主義運動とデモクラシーの再考
 1 重層的なヨーロッパ空間の模索
 2 セルクル――左からの連邦主義
 3 フェデラシオンの共同体的連邦主義――中間団体と「深部のフランス」
 4 社会からのデモクラシーの刷新とヨーロッパ

第5章 イタリアの行動党人脈
 戦後イタリアのリベラル社会主義の可能性
 1 イタリア共和制の生き証人としての行動党人脈
 2 行動党の思想的来歴
 3 行動党に加わった人々の知的基盤と論戦対立
 4 ロンバルディ――リベラルな労働者主導の「計画」
 5 ラ=マルファ――自由民主主義の基礎としての「計画」
 6 戦後イタリアにとっての「計画」
 
第6章 党派的多元性と専門性
 戦後オランダ政治体制の青写真
 1 30年代の反省
 2 オランダにおける政党観
 3 戦後カトリックの政党観
 4 その後

第7章 新しい社会の民主主義と政党
 占領下と亡命政権のチェコスロヴァキア戦後構想 
 1 新しい社会の戦後構想
 2 占領下の戦後政治体制構想
 3 国外亡命諸勢力の戦後構想
 4 新しい社会の民主主義――経済の民主化と複数政党制

第8章 政治と経済の分離という例外
 戦後ドイツにおけるマクロ・コーポラティズムの不在
 1 ドイツ・モデル=ヨーロッパ・モデル?
 2 ドイツの戦後政治経済構想におけるコーポラティズム
 3 戦後体制の構築過程

 

 

労働基準監督官という仕事@『経営法曹』200号

経営法曹会議から『経営法曹』200号をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

今号は創刊200号記念特集号ということで、経団連労働法フォーラム北海道大会の記録は均等均衡と上限規制について大変詳しいところまで議論がされていてなかなか面白いのですが、ここでは元銚子労働基準監督署長の八木直樹さんによる「労働基準監督官という仕事」というタイトルの座談会を紹介しておきます。

やや一般的な労働基準監督業務の説明から、後半は御自分が経験してきたあれこれのケースが語られます。

第1話 無責任な大人が奪った少年の夢

第2話 冬の栃木は寒い

第3話 労災隠しが次々と

第4話 障害者と雇用

第5話 キャバクラ嬢

第6話 200人以上の不法就労者

第7話 国内最大の人材派遣会社もあっけなく

第8話 労災裁判で見たもの

第9話 タンクを叩く音は10分で消えた

第10話 技能実習生

あと意見交換の中で、司会から

・・・改善基準告示は法的拘束力が無いのだから、告示違反について是正勧告を出すのは不適切で、是正勧告は無視してもいいのではないかという議論があります・・・これを実行した結果、他の場面で非常に厳しい対応をされるのではないかということを懸念して、「まあ、いいや、しょうがない。書いておけ」ということがあります。実際、ここで逆らうと、あそこで逆に痛い目に遭うというようなことはほんとにないのでしょうか。

と問われて、

そういった意味では何か逆恨みというか、恨みを買うということはないと思います

と言いつつ、

・・・先生が言われたように、確かに改善基準告示自体は法的な拘束力はありませんが、実はあれに関して通達が出ていて、その中に自動車運転者向けのモデル36協定というのがあります。そのモデル36協定の中を読んでいくと、改善基準に違反するような時間外労働は行いませんという文言が入っている関係で、改善基準違反は即、労働基準法32条違反になってしまうように通達で回しています。

と返すと、

・・・私の顧客はその部分を就業規則から削っておりまして・・・

と、なにやら狐と狸の知恵比べの様相が・・・。

 

« 2019年3月 | トップページ | 2019年5月 »