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2019年3月14日 (木)

給特法制定時の中基審建議及び覚書

先月、『労基旬報』に「公立学校教師の労働時間規制」を寄稿したのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/2019225-de99.html

その後、興味を持って給特法が1971年に制定されたときの解説書をぱらぱらと読んでいくと、

https://www.amazon.co.jp/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%81%B7%E5%93%A1%E3%81%AE%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%8E%AA%E7%BD%AE%E6%B3%95%E8%A7%A3%E8%AA%AC-1971%E5%B9%B4-%E6%95%99%E5%93%A1%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/dp/B000J9JRF6(文部省初等中等教育局内教員給与研究会編『教育職員の給与特別措置法解説』第一法規

法案を国会に提出する前に、当時の労働省の中央労働基準審議会に報告し、1971年2月13日に同審議会から次のような建議が出されていたんですね。

1 労働基準法が他の法律によって安易にその適用が除外されるようなことは適当でないので、そのような場合においては、労働大臣は、本審議会の意向を聞くよう努められたい。

2 文部大臣が人事院と協議して超過勤務を命じうる場合を定めるときは、命じうる職務の内容及びその限度について関係労働者の意向が反映されるよう適切な措置がとられるよう努められたい。

この建議はあくまでも労働大臣に宛てたもので、文部大臣宛ではないのですが、これを受けてその二日後、次のような覚書が結ばれていたようです。

覚書

昭和46年2月15日

文部省初等中等教育局長

労働省労働基準局長

「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(案)」について

第65国会に提案される「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(案)」に関し、文部省と労働省は下記の通り諒解し、文部省はその趣旨の実現に努めるものとする。

1.文部省は、教育職員の勤務ができるだけ、正規の勤務時間内に行われるよう配慮すること。

2.文部大臣が人事院と協議して時間外勤務を命じうる場合を定めるときは、命じうる職務については、やむを得ないものに限ること。

なお、この場合において、関係教育職員の意向を反映すること等により勤務の実情について十分配慮すること。

60年近く昔の証文ですが、給特法がほぼそのまま生きている以上、これも一応生きているはずでしょうね。

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コメント

こんにちは。
コメントは初ですが、たまに記事を拝見して勉強させて頂いています。ありがとうございます。
特に元とはいえ教職に着いていた身としては、この手の記事に興味が尽きることはありません。

そして給特法にもちゃんと制限があるとは教職に着いてすぐに知ったことですが、実際に現場ではそんなものは鼻から無いものとされて毎日残業や休日出勤は当たり前で、それを疑問に思うことはご法度とすらされていました。そのことが教職を離れた理由の1つなのですが。

今はタイムカードを設けようという話も出てて教職員内でも少しは理解を深めようという動きがあるようですが、一方で文科省は働き方改革の元でも給特法の改定に難色を示してるようですし、時間制限そのものにも良い顔をしていないように感じられます。

国自らが今の日本の社会の労働環境にもう少し踏み込んだ制限を設けようとしてる中で、地方公務員とはいえ国に雇用された人達がブラックと揶揄されてしまう現状は悲しくもあり怒りも感じてしまいます。
今回の働き方改革における教職員の労働環境への対応、もとい文科相の動きについて冷めた目を持つ一方で、私は少しでも現教職員達がブラックと揶揄されない未来を待ち望んでいる次第です。

コメントありがとうございます。
長時間労働の問題は官民あらゆる業種でみられることではありますが、公務員関係、とりわけ教員関係は、法律関係が妙にねじれていて、なかなか素直な議論にならないところがありますね。

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