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2019年2月28日 (木)

竹信三恵子『企業ファースト化する日本』

432930竹信三恵子『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』(岩波書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.iwanami.co.jp/book/b432930.html

「世界一企業が活躍しやすい国」を目指す安倍政権は,労働規制の大幅な緩和を推進してきた.そして,いま「働き方改革」の名のもとに,働く者の権利も,労働環境も,セーフティネットであるはずの公共サービスも,企業のためのものへと変質させられようとしている.危険な労働政策の実態と本質を暴き,働き手の対抗策を探る.

ただ、正直言って、この本の内容には厳しい表現を用いざるを得ません。いわゆる働き方改革にはいろいろ問題点はあるし、とりわけいわゆる同一労働同一賃金に関してはロジカルにもっと詰められるべき点があるとは思っていますが、本書のような全否定は、日本の労働法の歴史からして、あまりにも目先の政治的思惑にめしいたものと言わざるを得ないと思います。

本書の観点からすると、働き方改革とはそもそもフェイクであり、

プロローグ フェイクとしての「働き方改革」

労働時間の上限規制とは残業の合法化であり、

第1章 「上限規制」という名の残業合法化

同一労働同一賃金とは差別の固定化であり、

第2章 差別を固定化させる「日本型同一労働同一賃金」

女性活躍とは単なる資源としての活用にすぎません。

第4章 「女性活躍」という資源づくり

しかし、そういう大上段な決めつけは、働き方改革以前の状況を、すなわち不十分な労働時間の上限規制すら存在せず、不十分な均等待遇すら存在せず、女性の活用にすら否定的な旧来の有り様を、フェイクがない素晴らしい状況であるかのように褒め称えてしまうものではないでしょうか。

そういう議論のあり方も、政治的言論としては「あり」だろうとは思いますが、少なくとも労働法制としてどちらがより望ましいものでどちらがより望ましくないものであるのかという判断を押しのけてまで追及されるべきなのかについては、疑問を抱かざるを得ません。

せっかくお送りいただいた本にケチを付けるばかりのようで恐縮なのですが、心にもない褒め言葉を並べ立てても空疎なだけなので、率直な感想を述べさせていただきました。

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