大坂洋他『資本主義がわかる経済学』
阿部太郎・大坂洋・大野隆・佐藤隆・佐藤良一・中谷武・二宮健史郎・伴ひかり『資本主義がわかる経済学』(大月書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b432123.html
資本主義とはどのような経済なのか? 搾取、再生産、景気変動から、為替レートやグローバル化まで、
現代経済学とマルクス経済学の両方に通じた著者たちによる、経済理論の新たな入門テキスト。
8人の著者のうち、大坂洋さんはかつて本ブログとの間で何回かやりとりをさせていただいたことがあり、おそらくはそのご縁でお送りいただいたものと思います。
第Ⅰ部 資本主義経済の基礎
第1章 資本主義を理解するために
第2章 再生産,剰余,社会的分業
第3章 賃金と利潤
第4章 利潤と資本蓄積
第5章 国家と貨幣制度
第Ⅱ部 資本主義経済の再生産
第6章 市場の機能とその限界
第7章 生産・雇用の決定
第8章 経済成長と景気循環
第9章 財政・金融政策
第10章 外国貿易と為替レート
第11章 グローバル化と国民経済
※各章にコラム
大坂さんは第3章と第4章を担当されていますが、全体として松尾匡さんの本と同様の、現代経済学の手法を駆使してマルクス経済学を説くという流れの本ですね。
出てくる数式は相当に高度で、ガチ文系の人間が寝転がって読んで頭に入ってくるレベルではありません。
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-f5da.html(『経済学と経済教育の未来』)
いろんな分野の方がいろんなことどもを書かれているのですが、どちらかというと、教育という観点からの正統派的なカリキュラム編成の参照基準に、制度学派やマルクス派など新古典派以外のさまざまな学派の経済学者が文句をつけているという構図のように見えます。
そういう構図を見ると、私などからするとまずは、その大学生相手の経済学「教育」の職業的レリバンスはどう考えているのですか?と問いたい気持ちが湧いてきますが、まさにそれに答えようとしているのが、お送りいただいた大坂さんの「教育に多様な経済学のあり方が寄与できること――教育の意義を再構築する――」という文章です。・・・
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/on-l-e5f1.html(大坂洋さん on L型大学)
・・・そこの冷厳な構造が見えている大坂さんは、「自虐」まじりにその姿を描き出すわけですが、多くのアカデミックな方々には、せめてこの程度の「自虐」的な客観的姿勢が欲しかったな、という思いがします。
冨山さんのペーパーのどうしようもないところばかりをあげつらえば、何かその冷厳な構造から目を背けていられるかといえば、もちろんそうではないわけですから。
« 『2019年版経営労働政策特別委員会報告』を深読みすると@WEB労政時報 | トップページ | JILPT・EHESS/FFJ 共催ワークショップ働き方改革・生産性向上・well-being at work─日仏比較・労使の視点から »
« 『2019年版経営労働政策特別委員会報告』を深読みすると@WEB労政時報 | トップページ | JILPT・EHESS/FFJ 共催ワークショップ働き方改革・生産性向上・well-being at work─日仏比較・労使の視点から »
コメント