スティーブン・K・ヴォーゲル『日本経済のマーケットデザイン』
スティーブン・K・ヴォーゲル『日本経済のマーケットデザイン』(日本経済新聞出版社)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.nikkeibook.com/item-detail/35805
「規制」か「自由市場」かは現実的な対立ではない。市場をどう規制しデザインするかの重要性を日米経済システム比較で明らかに。
タイトルは『日本経済の・・・』ですが、むしろ、マーケットデザインの総論と、アメリカ編、日本編を1冊にまとめた本と言うべきでしょう。
第1章 マーケットデザインのフレームワーク
第2章 マーケットデザインの構成要素
第3章 アメリカ型マーケットデザイン
――世界で「最も自由」な市場経済は、いかに最も統治されているか
第4章 日本型マーケットデザイン
――自由市場型経済のデザインが難しい理由
第5章 マーケットデザインの理論と実践
第2章、第3章、第4章と、個別分野ごとの分析がされていき、その中に、戦後改革、金融改革、コーポレートガバナンス改革、労働市場改革、独占禁止法改革、規制改革、知的財産権、イノベーションのためのマーケットデザイン等といったほぼ同じ項目立てになっています。
何でそういう本が私の元に送られてきたかというと、実はだいぶ前にわたしはこのヴォーゲルさんのインタビューを受けていて、その要旨が本書にちらりと顔を出しているからです。もちろん、「労働市場改革」のところです。
・・・日本の労働者解雇をめぐる規則は、本書全体の主張を例証するものだ。日本政府にとって、雇用主による労働者解雇の自由を本当に広げたいのなら、介入を減らすのではなく増やす必要があった。解雇に関するルールは企業慣行と社会規範を反映しており、それらがひるがえって判例に反映される。ゆえに、政府が積極的に介入しない限り、変わることはあり得ない。・・・
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/on-44f2.html(スティーブン・ヴォーゲル on 働き方改革)
カリフォルニア大学バークレー校のスティーブン・ヴォーゲルさんは、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』のエズラ・ヴォーゲルさんの息子さんですが、ご自身も日本政治経済の研究者として活躍されており、先日、東洋経済オンラインに「働き方改革は案外バカにできない成果を生む 少なくとも男女平等にようやく向かう」という文章を寄稿しています。・・・
・・・実は、このスティーブン・ヴォーゲルさん、ちょうど4年前に来日した時に、私にも話を聞きに来られたことがあります。実にブリリアントな方だという印象でした。・・・
« 梅崎修・田澤実編著『大学生の内定獲得』 | トップページ | 清水克洋・谷口明丈・関口定一編『団塊の世代の仕事とキャリア』 »
« 梅崎修・田澤実編著『大学生の内定獲得』 | トップページ | 清水克洋・谷口明丈・関口定一編『団塊の世代の仕事とキャリア』 »
コメント