清水克洋・谷口明丈・関口定一編『団塊の世代の仕事とキャリア』
清水克洋・谷口明丈・関口定一編『団塊の世代の仕事とキャリア 日本の大企業における大卒エリートのオーラル・ヒストリー』(中央大学出版部)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www2.chuo-u.ac.jp/up/isbn/ISBN978-4-8057-3239-7%20.html
団塊の世代のサラリーマンはこんな風に働き、生きてきた。彼らの仕事とキャリアは?「あの大企業の社長ってこうやって決まっていたんだ!そんなに早くから決めてしまって大丈夫?」、「出世ばかりが人生じゃないけれど・・・・。」、「いまより余裕がありそうだけど、大卒エリート社員だからかな?」、「あんな優良な企業が傾く時を内側から見ると、こんな風にみえるんだな!」、「どんな船に乗るかで、航路も港もみな違ってくるんだね。」、「あの頃は会社もかなり親切だったんだ。エリート社員だからかな」、「リストラってする方もされる方も、やっぱりシビア!」といった話がオーラルならではのリアル感で読める!鋭い解説論文も掲載!
下手な『私の履歴書』よりずっと面白い団塊の世代エリートサラリーマンのキャリアパスが、中央大学企業研究所の人たちの鋭い突っ込みによって明かされていく、なかなかにスリリングな読み物でもあります。
いやもちろん、これは何よりも、日本型雇用システムが確立し、やがて揺らいでいく時代を、その職業生涯のど真ん中で体験した世代の肉声によってリアルに再現した、現代労働史の貴重な業績です。
本書の大部分を占める第Ⅰ部は、中央大学企業研究所からワーキングペーパー・オーラルヒストリーシリーズと題して刊行された5冊の冊子をまとめたもので、最初の日立製作所の千代雄二郎氏の時には、本ブログで紹介しています。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-a7a9.html(ホワイトカラー・オーラル・ヒストリー:団塊の世代の仕事とキャリア)
その後も続々とワーキングペーパーとして出された団塊世代のエリートサラリーマンたちは次の5人の方々です。
千代 雄二郎 元 (株)日立製作所 社会プロジェクト推進本部次長
秋山 博 元 旭化成(株) 酒類事業部企画管理部長
富田 博 元 伊藤忠商事(株) 人事部長・執行役員
清水 ヒロシ 元 日本長期信用銀行 営業第4部長
経広 孝 元 マツダ(株) 関連事業本部第一関係会社部部長
第Ⅱ部は、このインタビュー記録を元に行われたシンポジウムにおける研究者の報告と、デスカッションの記録で、なかなか興味深い突っ込みがされています。
第Ⅰ部 オーラル・ヒストリー 「日本の大企業における大卒エリートのキャリア展開」
第1章 総合電機メーカー日立製作所における仕事とキャリア―私の経験から―
第2章 多角的化学企業 旭化成における仕事とキャリア
第3章 総合商社 伊藤忠商事における人事制度とキャリアパス
第4章 長期信用銀行におけるミドルマネジメントのあり方―担い手のキャリアパスに注目して―
第5章 総合自動車メーカー マツダにおける仕事とキャリア第Ⅱ部 考察 「団塊の世代の仕事とキャリア」
第6章 組織人としての団塊の世代 ―組織内キャリア形成の分析―
第7章 戦後日本企業の変遷と団塊の世代
第8章 団塊の世代の仕事とキャリア ―世代論の視点から―
第9章 討論 団塊の世代の仕事とキャリア ―5つの事例をめぐって―
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コメント
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早速ご覧いただき、好意的なコメントをありがとうございます。時間のかかるプロジェクトでしたが、成果を交換できて、ほっとしております。いろいろな読み方、利用方法があるものだと思いますので、多方面での活用が広がればと考えております。取り急ぎ御礼まで。
投稿: 関口 定一 | 2019年2月 7日 (木) 18時18分
改めてお送りいただきありがとうございます。
何よりよくこういう方々を見つけて、ここまでその人生をあからさまにするような証言を引き出したものと感服いたします。
投稿: hamachan | 2019年2月 7日 (木) 20時25分