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水島治郎『反転する福祉国家』(岩波現代文庫版)

431806水島治郎さんの『反転する福祉国家』(岩波現代文庫版)をお送りいただきました。単行本をお送りいただいたのが6年前ですが、この間の世界の動きはますます水島さんの議論の素材を膨れあがらせてきたように見えます。

https://www.iwanami.co.jp/book/b431806.html

見てのとおり、表紙の絵はレンブラントの夜警で、変わっていません。

6年前の本ブログで述べたように、

ここで述べられているのは、世界が賞賛するオランダの「光」こそが「影」を産み出している最大の要因なのだ、というまことに皮肉な話であり、そしてそれは程度の差はあれ、どの先進国でも共通の現象、云うまでもなくこの日本も含めて・・・、という冷徹な認識なのです。

オランダという材料を使いながら、日本も含めた世界共通のメカニズムを浮き彫りにしていく手際は、改めて読み直してみてもさすがです。

今回書き加えられた「現代文庫版あとがき」では、その後の各国における動きなどにも触れつつ、とりわけ近年の外国人材の受入れ政策についてから口のコメントをしています。

・・・「人の開国」は、どこかの段階で必要なことだろう。しかし現下の日本では、問題も大きい。受入れ対象となる外国人材は、一部を除き定住・永住が前提とされておらず、いつかは帰国する存在として想定されている。「移民」ではない、というのである。

しかし、「いつかは帰るだろう」という目論見通りに事が進まないことは、オランダを初め欧米諸国の先例を見れば明らかである。働きに来る外国人の多くは、これから長きにわたってホスト国で生活していく人間なのだ。だがその現実から目を背け、「本来帰国するはずの外国人」が「帰国せずにとどまっている」ことへの社会的な違和感が次第に募り、それが日本人の側の経済的な困難と結びつけて解釈されるならば、それが排外的な政治運動の温床に転化するのは、なんら不自然なことではない。まさにオランダやヨーロッパが歩んできた同じ道であり、またしてもデジャブ(既視感)の出番である。しかしそうだとすれば、いったい私たちはなにを学んできたのだろうか。・・・

ワークシェアリングだ、フレクシキュリティだと、かっこよさげな「様々な意匠」の輸入販売に余念のない出羽の守諸氏が、しかしその輸入元の「影」の部分をどれだけしっかりとつたえてきたのだろうか、というこれは私自身も含めた反省材料のはずです。

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