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ベネッセ顧客情報漏えい刑事事件@『ジュリスト』2019年2月号

L20190529302 『ジュリスト』2019年2月号にわたくしの労働判例評釈「偽装請負であったSEの顧客情報漏えいと不正競争防止法違反の有無--ベネッセ顧客情報漏えい刑事事件」が載っております。

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/020170

労働判例研究
偽装請負であったSEの顧客情報漏えいと不正競争防止法違反の有無
--ベネッセ顧客情報漏えい刑事事件

東京高判平成29年3月21日
(平成28年(う)第974号不正競争防止法違反被告控訴事件)
労働判例1180号123頁
〔参照条文〕不正競争防止法2条1項7号、2条6項、21条1項3号、4号、5号、労働者派遣法2条2号、24条の4、40条の6第1項1号

この事件、労働判例としての性格を持ちつつも、主としては知財法の領域の判決なので、そちらの方面の方々からどのような批判をいただけるか、おそるおそる期待しております。

なお、特集は「TPPと法改正」ですが、労働関係でいくつか興味深い記事があります。

まずは神吉知郁子さんの「同一労働同一賃金原則と賃金規制」で、「政治的スローガンとしての同一労働同一賃金」など、なかなか辛辣な批判の言葉がちりばめられています。

・・・つまりこれは、日本的雇用慣行とは原理的に矛盾するはずの「同一労働同一賃金」を、日本的雇用慣行を完全否定せずに導入しようとしたことによる妥協の側面も有しており、差別禁止原則とは異なる側面を持っている。・・・

・・・また、実際には正規は職能給で非正規は市場の相場など、両者の賃金制度が異なるロジックで組み立てられている場合が多い。考慮要素や待遇の性質がばらばらなときに、結果として生じた相違をどう評価するか。指針からはその答を読み取ることはできない。・・・

先日の、倉重公太朗さんとの対談で取り上げられていた問題を、より学術的表現でかつ鋭いトゲを隠した形で表現していますね。

あと、大変興味深いのが橋本陽子さんによるワーカーズコレクティブ組合員の労基法上の労働者性をめぐる判決の評釈です。ワーコレはワーカーズコープと並んで法制化に向けた運動を一生懸命していますが、その組合員は一体何者なのか、出資者で経営者で労働者だという政治的スローガンはいいのですが、こういう形で法的判定が求められると、なかなか難しい問題が出てきます。

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