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2019年1月 4日 (金)

年齢に基づく雇用システムと高齢者雇用@『週刊経団連タイムス』2019年1月1日

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『週刊経団連タイムス』2019年1月1日号に、昨年11月29日に東京・大手町の経団連会館で行った講演の概要が掲載されています。

http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0101_08.html

経団連は11月29日、東京・大手町の経団連会館で雇用政策委員会(岡本毅委員長、進藤清貴委員長)を開催し、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長から、「年齢に基づく雇用システムと高齢者雇用」について講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 年齢に基づく雇用システム

定期採用や定年退職など年齢に基づく雇用システムが形成されたのは、大正から昭和初期であり、終戦後も大きく変わらずに残った。1950年から60年代にかけては、ILO100号条約(男女同一価値労働同一賃金)の批准など近代的労働市場の形成を目指した。しかし、その後の公的年金の動向に影響を受けるかたちで、定年年齢の見直しが行われてきた。そして、94年改正、2000年改正によって支給開始年齢が65歳まで引き上げられたが、すでに60歳定年制が企業で構築されていたため、定年後の再雇用で継続雇用することが主流となった。

最近の動向として、18年10月の未来投資会議で安倍首相から、70歳までの就業機会の確保を図ることを目指すとの発言があった。しかし、高齢期の身体精神能力は多様であり、70歳までの引き上げについては、定年延長や継続雇用といった内部市場型による現政策の延長線上で考えるのではなく、慎重な検討が必要である。

■ 高齢者雇用法政策

高齢者雇用にかかる法政策は、高度成長期に中高年齢者の雇用率制度を導入したことから始まる。その後、定年延長を求める要望が強まり、1986年に60歳定年の努力義務化、94年改正では60歳定年制が義務化され、65歳継続雇用が努力義務化された。2004年改正では、労使協定による例外が認められたうえで65歳定年または継続雇用の義務化、12年改正では、関連企業への転籍を容認し、希望者全員に対して65歳定年または継続雇用の義務化が行われた。今後の見直しでは、例外の許容範囲について、もう一度議論が必要になる。

■ 年齢差別禁止政策

年齢に基づく雇用システムは、新たに年齢差別禁止に合わせるかたちでの政策転換が求められた。募集採用における年齢制限の禁止について、01年改正では努力義務化、04年改正では理由の明示義務化、07年改正では義務化されている。これは、若者の再チャレンジ促進策で導入された。法律の趣旨は年齢差別禁止であるが、実態とかけ離れた法律をつくってしまったといわざるを得ない。OECD加盟国で、一般的な年齢差別禁止法がない国は日本と韓国である。

■ 雇用のあり方と社会システム

雇用システムは社会システムと連動している。

1つは、教育訓練であり、職業技能をどこで習得するか。教育課程で習得すると、年齢は問題にならないが、欧米では高い若年失業率など必ずしもうまくいっていない。労働過程で習得するのが日本型であり、年齢に基づく雇用システムと密接に結びついている。安倍政権では、専門実践教育訓練給付の拡充など、教育訓練を強調する政策が目立つ。

もう1つは、社会保障との関係である。子どもの教育費や住宅費については、これまで企業の年功賃金が支えてきたので、年功制を見直した場合、社会保障の支え手や持ち家促進型住宅政策も一緒に考えていく必要がある。

年齢に基づく雇用システムは、若年期に無限定で働いて技能を身につけるので、結婚・出産・育児の負担がある女性は活躍しにくい。日本社会の持続可能性にも影響を与えることになるため、問題は複雑だが、しっかり考えていく必要がある。私自身もジョブ型正社員を提唱しているが、すべてを解決することは難しい。

100年前に始まった年齢に基づく雇用システムがさまざまな展開を経て現在に至っている。ミクロでは70歳までの雇用就業の場をどのように確保していくのか、マクロでは日本社会全体の雇用システムとしてどうあるべきか、われわれは向き合っていかなければならない。

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