労働の文明史をざっくり削除したわけ
『日本の労働法政策』について、マシナリさんに感想を書いていただいているのですが、
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-767.html(政策過程論の基本書)
・・・というマクラからで大変恐縮なのですが、hamachan先生の『日本の労働政策』第二版(?)を拝読…というより入手しました。いやまあこの厚さはまさに枕…などと失礼極まりないこといっている場合ではありませんで、2004年に発行された第一版(?)の倍以上のページ数となっておりまして、ハードカバーのためイメージ的には3倍近くの厚さではないかと感じます。それでいて第一版の4,800円(税別)に対して3,889円(税別)という大変お買い得なお値段でして、早速近所の書店で取り寄せして入手した次第です。
個人的には、第一版の冒頭で「労働法政策の序章という位置づけではなく,内容的には独立したエッセイとして読まれるべきものである」と宣言して異彩を放っていた「労働の文明史」がどのように改訂されているのかに注目していたのですが、残念ながら第二版では丸々カットされてしまっていました。まあ、「文明史」ですから10年程度の間隔でその都度改訂する必要はないとも思うのですが、その最後の部分でのこの見通しについては、引き続き意識していくべきではないかと思うところです。・・・
と、前著『労働法政策』の冒頭25ページほどを占めていた「第1章 労働の文明史」が綺麗さっぱり削除されていることにコメントされていました。
ここはまあ、正直、「日本の」労働法政策の本の序説と云うにはあまりにも「場外ホームラン」(@金子良事)な内容でもあり、それこそ世界の労働法政策という本でも書くことがあればその時に入れるべきだろうということで、それでなくてもページ数が膨大になりすぎていたこともありざっくり削除したのです。
ただ、あらためて第1章に昇格した「近代日本労働法政策の諸段階」を読み返すと、いくつか旧第1章を前提にして説明なしにやや特別なタームを使っていることろがありました。
19世紀システムとか、20世紀システムという言葉自体、やや唐突感がありますし、フォーディズムとかケインジアン福祉国家とかも、分かる人には分かるけど、も少し説明を入れた方が良かったかも知れません。
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事情承知いたしました。ご説明ありがとうございます。
確かに「近代日本労働法政策の諸段階」は「労働の文明史」を下敷きにしている部分があるので、セットのほうが見晴らしはいいと思いますが、
> 世界の労働法政策という本でも書くことがあれば
という前振り(?)に期待してしまいます。
投稿: マシナリ | 2018年12月28日 (金) 08時15分