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2018年12月30日 (日)

倉重×荻野対談

Ogino ヤフー・ニュースに26日から毎日短期連載されていた【荻野勝彦×倉重公太朗】「日本型雇用はどこへ行く」の対談が、本日の5回目をもって終了しました。さすが、この二人の対談らしく、随所でそれそれと掛け声をかけたくなる箇所が頻出しますが、

https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20181226-00109021/ (第1回(同一労働同一賃金のゆくえ)

https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20181227-00109120/ (第2回(「転勤」とキャリアの現代的再考))

https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20181228-00109123/ (第3回(解雇法制はどうあるべきか))

https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20181229-00109126/ (第4回(デジタル化する労働と労組の役割))

https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20181230-00109129/ (最終回(若者と高齢者と日本型雇用))

全体を改めて通読して、やはり4回目の議論が一番射程が長く、かつ我が意を(一番)得たりというところが多かったと感じます。

最終回の最後のところで、荻野さんがちょっと個人的な経験に基づいて若者へのメッセージ的なことをしゃべっているところが、いかにも荻野さんらしくて面白いです。

倉重:・・・じゃあ最後に、大学でも教えてらっしゃるということですんで、これから世に出ていく、あるいは社会人キャリアが浅くてこれから日本型雇用を進んでいく若者に向けて、キャリア的な観点で、ぜひ思ってらっしゃることがあったらお願いしたいんですけれども。
荻野:ビジネススクールなので、大学では若い人にアドバイスをするという立場ではないんです。ただ時々、大学のキャリア教育の一環ということで、頼まれて学生さんとお話しさせていただくようなチャンスはあります。
 就職活動の前に、仕事とか会社とか、働くことのイメージをつかみたいということだと思いますので、日本的雇用もいろいろ課題はあるわけですが、今から就活しますという学生さんにどうなるかもわからない10年後、20年後の話をしても仕方ないですから、足元の、正味の現実ベースで、多少は体験も交えて、とりあえず今はこうなっているんだから、それならこうしたほうがいいよという話をしています。そのほうが多分親切だし、向こうもそれを求めていると思いますし。
倉重:具体的に、どういうことを言っているんですか?
荻野:相手にもよりますが、今の日本の、雇用の安定した職に就いたら仕事は選べない。もちろん希望を聞いてくれる会社はたくさんありますが、希望どおりになるということはたぶん多くないし、ある程度近ければ満足しておいたほうがいいことも多い。長い間には思いどおりの仕事にならないこともきっとある。ぜひ伝えたいのは、そういうときこそ勉強しようということです。思いどおりでない、あまりやりたくない仕事をやらなければいけないときこそ、その仕事の勉強を。
倉重:その仕事をということですね。
荻野:そうです。最初は興味ない、面白くないかもしれませんが、それでも勉強していると、この仕事にどういう意味があるのかとか、なにが面白いところなのかというが、だんだんわかってくるんです。
倉重:確かに。その仕事なりの、やっぱり意味があるから、そういう仕事があるわけだし。
荻野:そこは強調しますね。個人的な経験からも、それは言えますから。
倉重:そうなんですか。それは最初に人事に就いたときですか。
荻野:どれとは言いにくいですが、長い間にはちょっと気が進まないな、という仕事も何度かありました。まあでもせっかくやるんなら楽しくやらないとつまんないよねと思って、現場に足を運んだりして勉強をしている間に、だんだん面白くなってきて。それがキャリア的に有利だったかというと、まあそうでもなかったわけですが、でもそのほうが幸せに過ごせますよね。これは学生さんとかにはよくお話しします。
倉重:でも、それは結構、キャリアの本質的な話だと思うんですよね。やっぱりキャリアって、私のように結果的にできているものなので、例えば配属になった時点で、俺はこういうキャリアを歩んでいくんだ!なんて分からないじゃないですか。
荻野:分かんないですね。
倉重:そこでちゃんと、やっぱりとことん勉強をして真正面から仕事をやった人と、なおかつ嫌な仕事だなというふうにだらだらやっていた人では、当然、キャリアのでき方に違いというものが出てくると思うんです。
荻野:特に日本企業は、仕事は会社が決めるし、転職をすると賃金が下がることが多いし。これもどうしようもないことなんです。それだけ賃金が高いんだと考えなくちゃいけない。
倉重:その仕事を選べない代わりの対価として。
荻野:仕事を選べない代わりに。仕事を選べないし、会社の外に出ていたらそのままでは通用しないような能力をたくさん蓄えているわけですから。
倉重:社内スキルが。
荻野:社内スキルが。でも、それに対しても給料を払われているから、転職をすると給料が下がるんだと思えばいいんです。そういった中で、自分で選択をするわけではない形で担当業務が変わることも多いですね。それにいかに柔軟に適合していくかというアダプタビリティーというものはすごく大事なんでしょう。
倉重:かなり偶然に左右されますからね。
荻野:いい偶然に左右された人というのはいいキャリアになるというのが、これがさっきも出たクランボルツのいうプランドハプンスタンス、計画的偶発性ですよね。変化を嫌うな。むしろ求めていけと。変化があったら、それに対応するように頑張れと。そうしていると、ある日突然、いい出会いがあって。
倉重:いいですね。
荻野:いいことが起こるかもしれない。
倉重:いいですね。
荻野:そういう話。さっきもAIの話が出ましたが、新しい仕事、新しく求められる技能というものもいろいろ出てくるでしょう。いつ、なにが起こるかはわかりませんが、必ず変化は起きる。それに対応するノウハウが、小池和男先生が提唱された知的熟練ですね。これはもう古い概念ですが、今でも通用すると思います。つい先日も、佐藤博樹先生が、電機連合の調査をもとに変化対応能力の大切さを指摘しておられるのを拝見しました。
倉重:ちょうどこの対談の第2回は森本千賀子で、リクルートの営業のナンバーワン女子だった方なんですけれども、やっぱり学生に向けたアドバイスは変化対応力である最後におっしゃっていたことを思い出しました。ちょっと表現は違いますけれども全く同じ趣旨のことをおっしゃって、やはり分野は違っても根本の部分ではつながるなと思って聞いていました。
荻野:長期雇用の日本企業ではそういった変化対応能力が身に付きにくい、みたいな言い方をする人というのがいると思いますが、決してそんなことはないと思います。たとえば今50代なかばくらいの人が大卒で就職した頃だと、まだ職場のパソコンが珍しい時代で、日本語ワードプロセッサーが100人くらいの職場に3台ぐらいあって、それを、使用時間帯を予約して使うという状況だったわけですね。現在のように、いつでもどこでも、タブレット端末でネットワークにつないで仕事ができるようになるなんて、たぶん夢にも思わなかったような変化だと思うのですが、でもそれなりに対応しているじゃないですか。
倉重:変化を楽しんで対応せよと。
荻野:もちろん、早く対応できる人は有利でしょう。逆に、しょうがねえなと思って諦めたっていいんですよ。いまの日本の正社員なら、それで失うのは将来のキャリアだけ。それにどれだけ価値があると思うかですね。それは案外、あまり意識されていない、日本の人事管理のいい面かもしれないんですよ。
倉重:ということですよ。結局、その会社での出世争いが全てじゃなくて、自分が納得する人生を送れるかですから。
荻野:まあそうなんでしょうね。日本の正社員は全員社長候補かもしれないけれど、実際に全員が社長になるわけじゃない。海老原嗣生さんの本によれば、ある企業に入社すれば、まあ2割か3割は部長クラスになれるそうですが、まあ、どこかでは天井を打つんです。そのときにどうするかですよね。そこから、仕事も大事だけれど、もっと家庭を大事にしようとか、地域とつながってみようとか、仕事以外のことに目を向け始めても、たぶん遅くはないと思うんです。
倉重:だから、そういうやっぱり仕事の外のつながりとか関係性というものは。
荻野:それはとても大事だと思います。

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コメント

現にある社会状況を前提に、実際起こった配置転換、転勤、残業等について「立場上断れなかった」という評価をすることはあってよい。しかし、本来は断れないなどという事態がそもそもあってはならないし、若い人には「きちんと断りなさい」と教えていかねばならない。双方両立する話。(もちろん、自発的に承諾をするのは、特に問題はない。)

https://twitter.com/lawkus/status/1078660370108018688

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