フォト
2020年12月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 荻野登『平成「春闘」史』 | トップページ | ディスカッションペーパー「日米における自営業主数の計測」 »

2018年12月21日 (金)

OECD『日本の高齢者雇用報告書』

Oecdage 昨日、OECDが『Working Better with Age: Japan』(『日本の高齢者雇用報告書』)を公表しました。

http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/japan-should-reform-retirement-policies-to-meet-challenge-of-ageing-workforce-japanese-version.htm

本文は英語で130ページに及ぶものなので、

http://www.oecd.org/employment/working-better-with-age-japan-9789264201996-en.htm

ここでは、OECD東京センターの日本語版プレスリリースを。

OECD-東京、2018年12月20日

OECDの新報告書「生涯を通じたより良い働き方に向けて:日本(Working Better with Age: Japan)」によると、日本は、急速な高齢化と労働力人口の減少という課題に対処するために、仕事の質を改善し、さらなる定年退職制度の見直しを図らねばなりません。

本報告書では、日本の従属人口指数はOECD加盟国中最も高く、2017年で20~64歳の人口に対する65歳以上の人口は2人に1人となっています。この値は2050年までに10人当り約8人にまで上昇すると予測されています。日本の働き方が変わらなければ、労働力人口は2030年には800万人も減少することになります。しかし、高齢者がそのスキルで経済に貢献し続けられるような条件が整い、またもっと多くの女性が労働市場にとどまれるよう奨励すれば、この減少数を240万人にまで抑えられることが見込まれます。

ガブリエラ・ラモスOECD首席補佐官兼G20シェルパは、東京で行われた本報告書の発表会見で、次のように述べています。「日本はOECD諸国の中で高齢者の就業率が最も高い国の1つである。しかし、日本は、女性や非正規雇用者、さらに60歳の定年退職後に仕事の変化に直面する多くの労働者のために、包摂的な労働市場を形成する取組みを強化する必要がある。」

男女の労働参加率の差を2025年までに25%縮小するというG20の公約の公約達成に向けてさらに進むことが、労働力人口の減少を埋め合わせる一方で、高齢者の所得と年金の増加につながり、不平等を減らすことにもなります。

本報告書では、事業主が定年を過ぎた労働者を65歳まで雇用する政策の進展の重要性を指摘します。しかし、日本的雇用慣行によって、質が低く、不安定で、さらに賃金の低い非正規雇用者として再雇用されるケースが多くみられています。

より多くの日本の女性を比較的若い時期から労働市場に取り込むことも、労働力人口のさらなる増加に重要、と本報告書は述べています。働き盛りの女性(25~54歳)の労働力率は、2017年では78%弱となっており、多くのOECD諸国の水準を下回っています。育児後に職場復帰する日本人女性にとっては、仕事の質の低さが問題になっています。それらの仕事の多くが非正規、補助的で、パートタイムの地位で終わってしまうからです。女性が自分の仕事と育児や高齢者介護の責任とをよりよく管理できるように、柔軟な働き方をする機会を拡大する必要があります。これにより、女性が働き続けられるようになるでしょう。

不安定な雇用の活用を事業主に促している解雇規制と年功序列型賃金の見直しは、労働市場の二重性の解消に資するでしょう。同時に、非正規雇用者に対し、より多くの訓練の機会と、長時間労働の削減といったより良い労働条件を提供することも、彼らの雇用可能性を高め、高齢期でも働き続ける機会を増やすことにつながります。

賃金設定に職務給や業績・能力給を取り入れるとともに、長時間労働を是正するという最近の政府のイニシアチブは、生産性を高め、高齢者の労働条件を改善する一助となる可能性があります。 仕事と生活のバランスをよりよく取れるようにするには、根本的な文化的変化が必要だということです。それは、すべての人々、とりわけ高齢者、女性、子供たちの暮らしをより良くすることができます。

「職業人生の終わりに近づいて、まだ働きたいと思っている高齢労働者は非正規契約よりも良い待遇を受けるに値する。また、高齢者が労働市場だけでなく経済全体にもたらす知恵、スキル、経験の恩恵を社会全体が受けられるようにすべきである。したがって日本は、このリスクを減らすために、定年退職年齢の引上げに着手する必要があり、将来的には他のOECD諸国ですでに行われているように定年制を撤廃しなければならない。」とラモス氏は述べています。労働者がその職業人生を通じて自分のスキルを高め、新しいことを学ぶ機会をより提供することも、良質な労働条件でより長く働けるようにするための、必要条件の1つとなります。

OECDは日本に対して、以下の分野でさらなる対策を実行するよう提言します。

  • 高齢者を新たに雇用し、雇用を継続することを事業主に促すため、定年制と年功賃金のさらなる見直しを実施すること。
  • 労働者をより不安定な形で雇用することを促進するインセンティブを減らすことによって、労働市場の二重性に対処すること。
  • 全ての労働者の基盤となる能力の向上を支えるため、生涯を通じた学習に投資し、年齢・獲得したスキル・雇用形態による訓練参加率の格差を縮小すること。
  • 高齢期においても働き続けられる機会を増やすため、長時間労働対策を行い、働き方改革を適切に実施し、さらに様々な働き方の心理社会的リスク評価を義務化し、より体系的に実施すること。
  • 女性が労働市場に(再)参入し、長く留まることができるようにするため、子育てや親の介護と仕事を両立させる機会を強化すること。

なおこの報告書の主たる執筆者であるマーク・キースさんをお招きして、来年1月23日に「第101回労働政策フォーラム 高齢者の多様な就労のあり方─OECD高齢者就労レビューの報告を踏まえ」というのが開かれますので、ご関心のある向きは是非。

https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20190123/index.html

Oecd

« 荻野登『平成「春闘」史』 | トップページ | ディスカッションペーパー「日米における自営業主数の計測」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: OECD『日本の高齢者雇用報告書』:

« 荻野登『平成「春闘」史』 | トップページ | ディスカッションペーパー「日米における自営業主数の計測」 »