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2018年12月26日 (水)

脇田成『日本経済論15講』

20199784883842865 脇田成さんより『日本経済論15講』(新世社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.saiensu.co.jp/?page=book_details&ISBN=ISBN978-4-88384-286-5&YEAR=2019

日本経済を学習するにあたって,知っておかねばならない事実と必要となる経済学的知識を15講にまとめたテキスト.バブル崩壊以降,経済政策をめぐってどのような論争があり,問題解決のために何がボトルネックになっているのかを解説し,これからの日本経済において「できること」を提案する.データをもとにして直面する実態をつかむセンスを伝授しつつ,読者が自分の頭で政策を判断するための考え方をガイドした.読みやすい2色刷.

脇田さんからは5年近く前に、『賃上げはなぜ必要か─日本経済の誤謬 』(筑摩選書)をお送りいただいたことがあり、大変興味深く読ませていただいたのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-7476.html

今回の本は「ライブラリ経済学15講」の一冊で、大学生向けの経済学入門書であり、私なんかにお送りいただいていいのかな、と感じるところもあります。

もしかしたら、私がその昔一部の「りふれは」から非道な罵詈讒謗を被っていたことが関係しているのでしょうか。というのは、本書冒頭の第1講の「暴走する応援団」に、こんな記述があったからです。

・・・「振れ」を激しくするのは論争の内実もある。バブル崩壊後の停滞をめぐって、激しい経済論争が行われた。一方は金融緩和が足らないとするリフレ派であり、もう一方は企業内の組織を引き締め生産性上昇を目指す構造改革派である。これらの議論はビジネス誌やインターネット上では激しかったが、必ずしもその主張に日本経済の丁寧な分析が結びついていたわけではない。誤解を恐れずに言えば、むしろ両派の応援団にとって、事実と解決策はどうでもよかったといえる。・・・

・・・こういった論争のかなりの部分は、真実を追求するというよりも、いつのまにか「娯楽」となってしまっており、論者も立場を決めて与えられた「役割」を果たすことが多い。純文学と大衆文学の区別を借りれば、経済論争にもヒーローが活躍するエンタテインメントの部分が多いのである。しかし「娯楽」だけでは真実に近づけないし、有効な対策も打てない。・・・

なかなか皮肉がピリリときいている文章ですが、ある種の人々にとっては不愉快極まりない文章なのかもしれません。

第1講 日本経済はどう変動してきたか
  1.1 停滞の経緯
  1.2 短期・中期・長期の変動区分
  1.3 曲がり損なう日本経済
  1.4 まず頭に入れておいてほしいこと

第2講 準備:最小限のモデルとデータ
  2.1 マクロ経済理論の基礎:価格調整か数量調整か
  2.2 目の子で把握するマクロ変数
  2.3 経済変数の変化率:脱経済成長は可能か

第3講 景気循環パターンの実務家的把握
  3.1 二段ロケットでとらえる景気循環パターン
  3.2 景気の山谷と在庫循環図
  3.3 労働保蔵と規模の経済
  3.4 実務家思考の4つの問題点

第4講 停滞の真因:貯蓄主体化した日本企業
  4.1 増大する企業貯蓄と3つの吸収手段
  4.2 先行できない設備投資
  4.3 企業ガバナンスの「本音」と「建前」
  4.4 まず「できること」は賃上げ

第5講 好循環をもたらすマクロのリンク:家計への波及
  5.1 マクロ経験法則
  5.2 労働市場への数量的リンク:オークンの法則
  5.3 名目体系と物価へのリンク:フィリップス曲線
  5.4 持続的な好循環をもたらすために「できること」

第6講 金融(1):デフレーションと貨幣数量説
  6.1 貨幣は万能引換券
  6.2 貨幣数量説はどのくらい当てはまるのか
  6.3 信用創造の教科書的説明
  6.4 ゼロ金利政策と量的緩和の具体的意味
  6.5 ニューケインジアンモデルは何をとらえているか
  補論 貨幣数量説の成り立ちと日本経済

第7講 国際貿易構造の中の日本経済
  7.1 国際的側面の2つの論争点
  7.2 国際収支の直観的理解
  7.3 日本の貿易構造:ものづくり国家とは何か
  7.4 連動する世界景気と日本の選択

第8講 国際金融市場が課すグローバルな制約
  8.1 実質利子率均等化と金融政策の限界
  8.2 誤算:なぜ予想インフレ率が高まらないのか
  8.3 資産価格変動の海外からの波及
  8.4 国内で「できること」と「できないこと」

第9講 金融(2):アベノミクスの誤算と異次元緩和―なぜ物価は上がらなかったか―
  9.1 リフレ派の日銀乗っ取り劇
  9.2 日銀理論からの反論
  9.3 異次元緩和の出口戦略
  9.4 金融政策で「できること」と「できないこと」

第10講 労働市場(1):格差社会と非正規雇用
  10.1 非正規雇用と格差社会
  10.2 失業率と非正規雇用の推移
  10.3 兼業農家化する非正規雇用
  10.4 女性労働とM字型カーブ
  10.5 個別紛争はリストラからハラスメントへ

第11講 労働市場(2):賃上げはなぜ必要か
  11.1 大企業の内部労働市場
  11.2 マクロ的労働慣行と春闘
  11.3 労働市場改革:マクロで「できること」ミクロで「できること」

第12講 政府の役割と財政危機
  12.1 財政の現状
  12.2 急性危機と慢性衰退の区別
  12.3 慢性衰退とフローとストックの誤差
  12.4 財政健全化のために「できること」

第13講 人口減少と年金維持
  13.1 社会保障の手段:勤労かベーシックインカムか
  13.2 公的年金の三階建ての構造
  13.3 少子化と家庭の変容
  13.4 やれば「できる」少子化克服

第14講 地方経済の「壊死」と医療介護の疲弊
  14.1 地方経済の壊死
  14.2 情報の非対称性から見た医療と介護
  14.3 地方の福祉で「できること」

第15講 日本経済に何をなすべきか
  15.1 経済政策の誤算
  15.2 経済学的分析の問題点
  15.3 政策的に「できること」と「できないこと」
  15.4 長期的な政策:イノベーションと分配

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