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2018年11月 9日 (金)

小林美希『ルポ中年フリーター』

51sbgbmqx9l__sx320_bo1204203200_小林美希さんより『ルポ中年フリーター 「働けない働き盛り」の貧困』(NHK出版新書)をお送りいただきました。

小林美希さんといえば、いまから10年以上前に『ルポ 正社員になりたい―娘・息子の悲惨な職場』や『ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う』で就職氷河期世代の若者(正確に言えば当時もすでに年長若者層でしたが)の実態をルポし、世論を喚起した一人です。

その後看護や保育や母子家庭や、果ては「夫に死んでほしい妻たち」やらにまで手を広げていましたが、今回、原点ともいうべき氷河期世代の、今となってはれっきとした「中年」の人々に再び焦点を当てています。

こんなにも不幸な世代を作ったのは、誰だ?
バイト3つを掛け持ちして休みゼロの43歳男性、「妊娠解雇」で虐待に走った41歳女性、手取り17万円で地方医療を支える臨時公務員37歳男性──。非正規雇用で働く35~54歳の「中年フリーター」が、この国では増加の一途を辿っている。なぜ彼らは好景気にも見放されてしまったのか? フリーターを救う企業はあるのか? 豊富な当事者取材から「見えざる貧困」の実態を描きだす。

内容は以下の通りですが、

序章 国からも見放された世代
   非正規から抜け出せない
   新卒は空前の売り手市場だが……
   見過ごされてきた中年層の労働問題
   就職氷河期世代の放置が作った歪み
   このままでは生活保護が破綻する
   筆者の原体験
   無気力化した日本の働き盛り
   本書の構成

第一章 中年フリーターのリアル
 1 とある中年男性の絶望──健司さん(38)の場合
 2 「景気回復」から遠く離れて
 3 結婚できるのは正社員だけ?
 4 「法令順守」が生んだ非正規
 5 農業のブラックな職場
 6 「非正規公務員」の憂鬱

第二章 女性を押さえつける社会
 1 子どもを産ませない職場
 2 閉ざされた「正社員」への道
 3 「妊娠解雇」の衝撃
 4 介護・看護職と非正規公務員
 5 「妊娠解雇」から児童虐待へ──多恵さん(41)の場合

第三章 良質な雇用はこうして作る
 1 雇用のミスマッチをどう減らすか──富山県の場合
 2 皆を幸せにするオーダーメイド雇用──小野写真館の場合
 3 社長の仕事は「人の目利き」──ノーブルホームの場合
 4 「ものづくり×女性」の最前線
 5 社員一人ひとりが輝く職場

終章 中年フリーターは救済できるか

ここでは本書でも何回か引用されているJILPTの「壮年非正規労働者」に関する報告書を紹介しておきます。

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0164.html労働政策研究報告書No.164『壮年非正規労働者の仕事と生活に関する研究―現状分析を中心として―』

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/0180.html労働政策研究報告書 No.180『壮年非正規雇用労働者の仕事と生活に関する研究―経歴分析を中心として―』 )

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/0188.html労働政策研究報告書 No.188『壮年非正規雇用労働者の仕事と生活に関する研究―正社員転換を中心として―』

若年非正規雇用労働者の増加が問題視されてから20年以上が経ち、最初に「就職氷河期」と呼ばれた時期に学校を卒業した人が40歳台となるなか、もはや「若年」とは呼びにくい、35~44歳層の非正規雇用労働者が増加している。その人数は、有配偶女性を除いても、2015年時点で150万人となっている。

このような背景のもと、JILPTでは2012年度より「壮年非正規労働者の働き方と意識に関する研究」に取り組み、2012年に個人ヒアリング調査、2013年に全国アンケート調査を実施してきた。これまで得られた知見を要約すると、次のようになる。

  • 男性・無配偶女性の壮年非正規雇用労働者は、若年非正規雇用労働者よりも消極的な理由から非正規労働を選択していることが多い。そして、自らが生計の担い手である場合が多いにもかかわらず、正社員とは異なり若年期から壮年期にかけて職務が高度化せず、賃金・年収も上がりにくい。
  • そのため、壮年非正規雇用労働者は、若年非正規雇用労働者よりも貧困に陥りやすく、生活に対する不満が強い。また、年齢が高いこともあり健康問題を抱えている場合も多い。
  • 男性・無配偶女性の壮年非正規雇用労働者の多くは、若年期には正社員として働いていた経験を持つ。そのことを踏まえて、人々が正社員の仕事を辞めて非正規雇用に就くメカニズムを探ったところ、正社員として勤務していた職場で過重労働の経験、ハラスメントを受けた経験があるとする者ほど、その後、非正規雇用に転じる傾向があった。
  • 男性・無配偶女性の壮年非正規雇用労働者の正社員への転換希望率は、若年非正規雇用労働者のそれと変わらない。30歳以降になると非正規雇用から正社員への転換が起こりにくくなることは否めないが、高い年齢であっても職業資格の取得等により正社員転換確率を高められる可能性がある。

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