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2018年11月27日 (火)

官邸4会議合同会議

昨日(11月26日)、官邸ですごい会議が開かれたようです。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1126_1/agenda.html(経済財政諮問会議・未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・規制改革推進会議 合同会議)

いやいや、経済財政諮問会議以下、政府の経済政策の司令塔機能を争っている4つの会議の合同会議というのですから、そりゃすごいでしょう。

そこに出された「経済政策の方向性に関する中間整理」には、種々雑多ないろんなことが盛り込まれていますが、労働政策の観点から興味深いのはやはりここでしょう。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1126_1/shiryo_01.pdf

2.全世代型社会保障への改革

 全世代型社会保障への改革は安倍内閣の最大のチャレンジである。
 生涯現役社会の実現に向けて、意欲ある高齢者の皆さんに働く場を準備するため、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討を来夏に向けて継続する。この際、個人の希望や実情に応じた多様な就業機会の提供に留意する。
 あわせて、新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大、労働移動の円滑化といった雇用制度の改革について検討を行う。
 健康・医療の分野では、まず、人生100年健康年齢に向けて、寿命と健康寿命の差をできるだけ縮めるため、糖尿病・高齢者虚弱・認知症の予防に取り組み、自治体などの保険者が予防施策を進めるインセンティブ措置の強化を検討する。

①65歳以上への継続雇用年齢の引上げ
(働く意欲ある高齢者への対応)
・人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高齢者の活躍の場を整備することが必要である。
・高齢者の雇用・就業機会を確保していくには、希望する高齢者について70歳までの就業機会の確保を図りつつ、65歳までと異なり、それぞれの高齢者の希望・特性に応じた活躍のため、とりうる選択肢を広げる必要がある。このため、多様な選択肢を許容し、選択ができるような仕組みを検討する。
(法制化の方向性)
・70歳までの就業機会の確保を円滑に進めるには、法制度の整備についても、ステップ・バイ・ステップとし、まずは、一定のルールの下で各社の自由度がある法制を検討する。
・その上で、各社に対して、個々の従業員の特性等に応じて、多様な選択肢のいずれかを求める方向で検討する。
・その際、65歳までの現行法制度は、混乱が生じないよう、改正を検討しないこととする。

(年金制度との関係)
・70歳までの就業機会の確保にかかわらず、年金支給開始年齢の引上げは行うべきでない。他方、人生100年時代に向かう中で、年金受給開始の時期を自分で選択できる範囲は拡大を検討する。
(今後の進め方)
・来夏に決定予定の実行計画において具体的制度化の方針を決定した上で、労働政策審議会の審議を経て、早急に法律案を提出する方向で検討する。
(環境整備)
・地方自治体を中心とした就労促進の取組やシルバー人材センターの機能強化、求人先とのマッチング機能の強化、キャリア形成支援・リカレント教育の推進、高齢者の安全・健康の確保など、高齢者が活躍の場を見出せ、働きやすい環境を整備する。
②中途採用拡大・新卒一括採用の見直し
・人生100年時代を踏まえ、意欲がある人、誰もがその能力を十分に発揮できるよう、雇用制度改革を進めることが必要であるが、特に大企業に伝統的に残る新卒一括採用中心の採用制度の見直しを図るとともに、通年採用による中途採用の拡大を図る必要がある。
・このため、企業側においては、評価・報酬制度の見直しに取り組む必要がある。政府としては、再チャレンジの機会を拡大するため、個々の大企業に対し、中途採用比率の情報公開を求め、その具体的対応を検討する。
・他方、上場企業を中心にリーディング企業を集めた中途採用経験者採用協議会を活用し、雇用慣行の変革に向けた運動を展開する。
・また、就職氷河期世代の非正規労働者に対する就職支援・職業的自立促進の取組を強化する。

ここでいう「多様な選択肢」とか「一定のルールの下で各社の自由度がある法制」というのが、具体的にどういうイメージを想定しているのかが、高齢者雇用法政策の具体的設計の観点からはきわめて重要です。

この問題は過去にも継続雇用の外延という形で繰り返し議論されてきてはいますが、あまりきちんと展開されてはいません。しかし、今後上にあるように明確に70歳までの雇用就業機会確保ということになると、大きく二つの方向性が浮かび上がってくるように思われます。一つは企業グループを超えた転籍や派遣の活用です。これについては、いまから7年近く前にこういう文章を書いたことがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-050a.html(高齢者雇用に転籍や派遣の活用を)

今年1月6日に希望者全員65歳まで継続雇用する旨の労政審の建議が出されたが、高齢者雇用をめぐる議論はなかなか収まらないようである。経営側からはとりわけ、再雇用者の分までポストを用意できないとか、空きのポストに配置すると却ってミスマッチになってしまうとか、そもそも本人の性格などから再雇用したくない者がいる、といった意見が噴出している。

 こういった反発には、ミクロレベルの企業の人事管理の立場からすればそれなりにもっともな面もあるが、高齢者雇用問題はまず何よりも人口構造の急速かつ著しい高齢化を背景に求められてきたことを理解する必要がある。年金などのマクロレベルの社会保障問題は国の方で面倒を見てもらい、企業はミクロレベルの人事管理にだけ専念するというわけにはいかない。社会の中で働かずに年金をもらう側の人間をできるだけ少なくし、働いて保険料を払う側の人間をできるだけ多くするためには、社会のどこかに高齢者の働く場所を見つけていかなければならない。高齢者は可能な限り働く側にまわらなければ日本社会が維持できないというのは、全ての議論の前提である。

 問題は、その働く場所を、定年まで働いていた同じ会社の中に見つけなければならないのか、ということである。法律の原則はそうなっている。そして、その原則と企業の現実とが食い違っているという上記経営側の批判には、頷ける面が多い。とはいえ、企業の外部に排出してしまえば、自分でなんとか働く場を見つけてくるだろうとは、必ずしも言えない。他の企業がほしがるような人材は定年後でもなかなか手放さないであろうし、逆に手放したがるような人材は他の企業もあまり食指を延ばさないであろう。

 経済学の言葉で言えば、ここは内部労働市場と外部労働市場の双方にまたがるようなうまいマッチングの仕組みが必要なのである。今回の建議にはそのための道具がさりげなく盛り込まれている。一定範囲の子会社や関連会社への転籍も雇用確保先として認めるという一節である。経団連は企業グループを超えた転籍も認めるように求めていたが、それは含まれていない。筆者はもっと拡大しても良いのではないかと考えている。

 しかし、実はもう一つ内部と外部をつなぐやり方がある。グループ内部の派遣会社に転籍させ、そこからさまざまな職場に派遣するという形をとれば、実質的には広い外部労働市場のどこにでも高齢者をマッチングさせることは可能になる。こうすれば、少なくとも同一企業内でのポストとのミスマッチの問題は解決するのではなかろうか。マクロ的にはこれからますます労働力不足となる時代であり、社内では使い道のない高齢者でも、社会全体を見渡せばいくらでも使い道は見つかるはずである。そして、それくらいは、長く労働者を使ってきた企業の責任として果たしても罰は当たらないであろう。

もう一つは、上の中間整理がわざと「雇用就業機会」といって、「雇用機会」と言っていないことに着目したものですが、雇用以外の就業機会を拡大していくという途です。というと、これまでの高齢者政策ではもっぱらシルバー人材センターという話になるのですが、そうではなく、企業が雇用契約としては退職した高齢者に個人請負契約として仕事を発注していくというやり方を膨らませる方向性がありそうです。これからの高齢者はITスキルの欠如した人ばかりではありませんから、ネットで繋がる形での高齢者就業というやり方をもっと真剣に考えていく必要もあるはずです。

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コメント

高齢者雇用が話題になれば、いずれ骨粗鬆症が大きな問題になってくるであろう、それは男女の雇用差別のほか、労災保険財政圧迫問題を引き起こすであろう、と予想しておきます。

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