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2018年10月 6日 (土)

65歳以上への継続雇用年齢の引上げ@安倍総理

20181005mirai02 昨日の未来投資会議で、安倍総理がこう語ったとのことです。官邸のホームページから。

http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201810/04mirai.html

・・・そして、安倍内閣の最大のチャレンジである全世代型社会保障への改革です。このテーマも、この未来投資会議において集中的に議論を進めていきます。
 生涯現役社会の実現に向けて、意欲ある高齢者の皆さんに働く場を準備するため、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討を開始します。この際、個人の実情に応じた多様な就業機会の提供に留意します。
 あわせて新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大、労働移動の円滑化といった雇用制度の改革について検討を開始します。・・・

ちょうど、一昨日の晩に、法政大学の公共政策大学院でやってる授業で高齢者雇用も取り上げたのですが、結構この問題についての質問が相次ぎました。皆さん、企業や労働組合等にいる社会人学生だから、関心は高いんですね。

そして、社会保障改革の論理的帰結として、そして政治的にはその実現のための論理的前提として、高齢者雇用の年齢の引き上げが不可避かつ不可欠であるということは重々よく分かったうえで、さて現在の日本の企業の人事雇用管理の下で、それがいかなる形で可能なのかというのが大きな問題となるわけです。

講義でもしゃべったのですが、そもそも現行高齢者雇用法において、厳密な意味における「定年」とは何かというと、条文上の60歳において、その意に反して強制的に年齢を理由に退職を強いられることはなくなっている以上、条文上の継続雇用の上限の65歳が強制退職年齢という意味での「定年」であるというしかないはずですが、にもかかわらず依然として60歳が定年で65歳は継続雇用だという用語法を維持し続けている最大の理由は、その強制的に退職させられることはない60歳という区切りが、雇用の継続というただ一点を除いて、雇用契約の中身をガラガラポンして、ジョブサイズを縮小し、給与水準をがくんと引き下げることが出来る数少ない(唯一の)機会になってしまっているからですね。それを当然の前提として、例えば雇用保険財政からいまだに高齢者雇用継続給付なんてのも出ているわけです。

ところがそこに、まったく別の労働条件法政策から、有期契約労働者への労働条件差別だという話が飛び込んできて、累次の裁判が重ねられてきています。「定年」ならざるものを「定年」と呼ぶことで封じ込めてきたもろもろの矛盾が、そろそろ吹き出しかけているのが現状なのかもしれません。

そういう時期に、「全世代型社会保障への改革」というそれ自体は全く正しい問題意識に基づいて、高齢者雇用の年齢の引き上げというそれ自体は全く正しい政策目標を実現していこうというときに、さて、この20年以上にわたってとられてきた60歳定年というフィクションをそのままにして、その後の継続雇用を65歳から例えば70歳に引き上げていくというようなやり方でいいのか、根っこに立ち返って考えてみた方がいいのかもしれません。

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