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2018年9月24日 (月)

中国共産党はマルクス主義がお嫌い?

フィナンシャルタイムズに「北京大学がマルクス主義研究会の閉鎖を恫喝」(Peking University threatens to close down Marxism society)という興味深い記事を載せています。

https://www.ft.com/content/ccab09aa-bdc2-11e8-8274-55b72926558f?desktop=true&segmentId=7c8f09b9-9b61-4fbb-9430-9208a9e233c8

Http___comftimagepublishuppproduss3 副題に「学生たちは労働組合権を巡る争議を支援し続ける」(Students continue to back workers in dispute over trade union rights)とあるように、これは、マルクス主義をまじめに研究する学生たちが、元祖のマルクス先生の思想に忠実に、弾圧される労働者たちの労働組合運動を支援するのが、そのマルクス主義を掲げていることになっている中国共産党の幹部諸氏の逆鱗に触れてしまったということのようです。

China’s most prestigious university has threatened to shut down its student Marxist society amid a continuing police crackdown on students who support workers in a dispute over trade union organisation.

中国の最も権威ある大学が、労働組合組織を巡る争議において労働者を支援した学生たちに対する警察の続けられている弾圧のさなかで、その学生のマルクス主義研究会を閉鎖すると恫喝している。

Under China’s Communist party, Marxism has been part of the compulsory university curriculum for decades. But universities are now under pressure to embrace “Xi Jinping thought” as the president strengthens his ideological control over the nation. The government is also inspecting primary and secondary school textbooks to remove foreign content.

中国共産党の下で、マルクス主義は何十年にもわたって大学の義務的カリキュラムの一部であった。しかし、諸大学は今や、習近平主席が国民に対する彼のイデオロギー的支配を強化するにつれて、「習近平思想」を奉ずるようにとの圧力の下にある。政府はまた、小学校や中等学校の教科書から外国の内容を取り除くよう監督している。

いやいや、確かに、マルクス主義は厭うべき外国思想の典型なのかもしれませんね。

いまさら皮肉なことに、というのも愚かな感もありますが、一方でわざわざドイツのトリーアに出かけて行って、マルクスの銅像をぶっ立てたりしているのを見ると、なかなか言葉を失う感もあったりします。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/200-994a.html (マルクス200年で中国が銅像っていう話)

K10011428521_1805060816_1805060920_ ・・・いやしかし、かつての毛沢東時代の(まあ、それもマルクスの思想とは似ても似つかぬものだという批判が妥当だとは思いますが)少なくともやっている当人たちの主観的意識においてはマルクスとレーニンの思想にのっとって共産主義を実現すべく一生懸命頑張っていた時代の中国ならいざ知らず、日本よりもアメリよりも、言うまでもなくマルクスの祖国ドイツよりもはるかに純粋に近い(言い換えればむき出しの、社会的規制の乏しい)資本主義社会をやらかしておいて、それを円滑にやるための労働運動や消費者運動を押さえつけるために共産党独裁体制をうまく使っている、ある意味でシカゴ学派の経済学者が心の底から賛辞をささげたくなるような、そんな資本主義の権化みたいな中国が、その資本主義を憎んでいたマルクスの銅像を故郷に送るというのは、19世紀、20世紀、21世紀を貫く最高のブラックユーモアというしかないようにも思われます。

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コメント

たしか件の研究会はよりによって毛沢東主義者がたくさん居るサークルで、労働運動への支援も盛んで最近は若い女性活動家が当局に軟禁された模様です。
思うのですが、マルクスにしろレーニンにしろそしてローザルクセングルグにせよΓより合理的な経済は可能だ」という発想がどこかにあり、そのシステム的発想がどこかで新自由主義に通じるのだと思います。両者共に供給側から経済を見ますし、人権などの価値も経済に規定されるという短絡的な思考を有していますし。
だからこそ、皮肉なことにΓ労働者人民の利益と大義」を掲げるマルクスΓ主義」や毛沢東Γ主義」は無くならないのだと思います。
とはいえ、技術革新と市場の変化が多数の人間に不安定な社会生活をもたらしつつある今日において、やはり安定した生活、人権が保障される社会を希求することはより切実だと思います。それが○○主義には当てはまらないと思いますが、やはり、何らかのこの現実総体の変革や改良は必要であると思います。

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