『日本労働研究雑誌』9月号
『日本労働研究雑誌』9月号は「人事部の役割・機能と歴史」が特集です。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.html
個別人事における人事部門の役割─戦後史研究の視点から 青木 宏之(香川大学教授)
日本企業における人事部門の企業内地位 島貫 智行(一橋大学教授)
使用者の配転命令権と雇用保障 金井 幸子(愛知大学准教授)
欧州の人事部─ドイツ企業における人事部・人事担当責任者の役割と企業内地位 石塚 史樹(東北大学准教授)
人事部機能の集権化・分権化の方向性とその課題─日系企業と外資系企業の比較から 一守 靖(慶應義塾大学産業研究所共同研究員)
どれも興味深いですが、特に石塚さんのドイツ企業の人事部の話は大変面白く読めました。
今号で挙げておきたいのは、本ブログでも紹介した大内伸哉・川口大司 編著『解雇規制を問い直す─金銭解決の制度設計』の書評です。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-6b58.html
そういえば、またブログが消滅したアモーレこと大内伸哉さんが、誰もまともに書評してくないとぶつぶつこぼしていましたが、いやいや野川忍さんが正面から取り上げています。
その最後の方で、「おそらく遠くないうちになされるであろう本書の改訂を見越して、以下の点を注文しておきたい」と、3点を要望しています。
第1に、労働市場の外部かが十分に進んでいない時点で金銭解決が先行することの懸念である。・・・
第2に、日本における企業の雇用保障慣行の有効性は、労働者のロイヤリティとこれに対応する強大な人事権とが相まって維持されてきた。言い換えれば、解雇規制の緩和とロイヤリティの確保とはトレードオフの関係にある。・・・
第3に、第2の点とも関連して、解雇が「メンバーシップから引き離されること」を意味することへの対応の検討の余地があろう。・・・
そうです、私の言い方では、日本型雇用における「解雇」とは単なる契約解除ではなくいわざ「除名処分」なんですね。だから情緒刺激的にならざるを得ない。
« 『ジュリスト』9月号に拙評釈 | トップページ | 障害者雇用率「水増し」問題の法制度史的根源 »
コメント