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2018年7月 6日 (金)

外国人労働導入論の一翼

常夏島日記さんがこんなつぶやきを

https://twitter.com/potato_gnocchi/status/1014505510609903617

P1010001_400x400左派と名高い某新聞社の偉い人とご一緒したのだけど、曰く少子化対策の究極は介護等特定職域への外国人労働者の導入しかないでしょうと。外国人労働者と競合する日本人のクラスと、これを雇用する日本人の間で階級格差が拡大する懸念はと問うたら、日本人と外国人と賃金格差を設ければよいとのお返事。

シンガポールとかでは同じ仕事で外国人賃金を抑制するやり方が成立しているけど、日本の人権状況や一般国民の認識からして、そういう社会構築ができるものかすっごい疑問を持った。でも、その偉い人はわりかし簡単に言い切っていて、こういう人が外国人労働者導入論の一翼をなしているんだなと思った。

念を押すけど「左派」マスコミですからね、この認識。絶対にご本人も子弟も外国人労働者が導入される介護等の職域で労働者として競合する懸念は絶対ない高スペックの人は、そういうことを考えています、ってことでした。

あらかじめ言っておくと、私は必ずしも外国人労働者の導入に反対というわけではない。むしろ、人口減少社会で、どんなにいい労働条件を提示しても日本人は応募してこないというのなら、まっとうな雇用形態で、まっとうな水準の賃金を提示して求人を出して、それでも誰も応募してこないなら外国人雇用もありよという労働市場テスト方式は十分ありだと思っている。

その場合でも絶対に譲れないのは、少なくとも日本人を雇う場合よりは安く雇うことができないようにすることで、今回の骨太の方針のやつは、労働市場テストなしの業界主導スキームなんだが、それでも一応

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-eef4.html(骨太方針で外国人技能労働者受入れ決定)

また、入国・在留審査に当たり、他の就労目的の在留資格と同様、日本人との同等以上の報酬の確保等を確認する。

というのが入ってはいる。誰がどこでどういう風に確認するのかとかいろいろ疑問はあるけど、一応入っている。外国人であるということを理由に日本人より劣悪な労働条件にするなんてことはやってはいけないという常識はなんとかある。

その常識が欠落しているらしいのが、この「左派と名高い某新聞社の偉い人」なんだからあきれてしまう。

「日本人と外国人と賃金格差を設ければよい」というのがわが国の「左派」マスコミ人の常識なのだとしたら、それは結構おぞましいですよ。

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コメント

このような「左派」マスコミ人(どういう「左派」か分からないが)の政治志向と、「日本人と外国人と賃金格差を設ければよい」という発想がどのように内的整合性がとれているのか、興味深いところですね。

欧米での外国人労働者受け入れの弊害や失敗が明らかとなり、シンガポールでさえ外国人労働者の抑制に向かいつつある昨今の状況で、なぜ今になってにわかに日本で外国人労働者受け入れ政策が具体化したのか、その背景にある思想的布置連関や政治力学が気になるところです。

そもそも人手不足という環境であればこそ、介護ロボットの開発など新たな技術開発を促進して経済成長につなげることができるのに、なぜわざわざその芽をつむような周回遅れの政策が導入されるのか。日本の政策決定の不合理性は摩訶不思議というほかありませんね。

投稿: 通りすがり2号 | 2018年7月 6日 (金) 19時13分

 (濱口桂一郎の言葉を使えば)「リベサヨ」、つまり、「左派と名高い某新聞社の偉い人」にとって、「集団的自衛権」「反安倍」という点で反体制、政治的左翼だが、昭和の自民党政治、大企業社会に対する反感から、経済、雇用政策では、右派の構造改革派、新自由主義と共鳴関係にある訳で、「内的整合性」はあるだろ。多様性あふれる社会が大好きだけど、労働者の事には無関心な「リベラル」の事だから、諸手を挙げて賛成するんじゃないかな。

 欧州や米国みたいに、短期労働者のはずの「ガストアルバイター」が定住して、スラム街が形成されて、社会が不安定になって、極右勢力が台頭する日も近いだろう
 

投稿: harappa5 | 2018年7月 7日 (土) 00時08分

骨太の方針が出た経済財政諮問会議の議事録では、結構突っ込んだ議論がされていたようです。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/index.html#tab0605

以下↑の第8回経済財政諮問会議議事要旨より。

(高橋議員)
2点目、外国人に対する支援体制の強化である。これについては、欧州の失敗から学ぶ必要がある。日本は労働移民を受け入れるわけではないが、それでも外国人の受入れ方を誤れば、欧州のように外国人が社会階層の下部に沈み込み、社会から疎外され、結局は社会にとっての大きなコストになってしまう。外国人の受入れを企業や自治体任せにせず、国としても外国人支援の在り方を総合的に検討すべき。
アベノミクスの重要な成果の1つが、希望する誰もが活躍できる社会の実現に取り組んできたことである。共生社会の実現に向けて、受け入れる外国人に対しても、これを適用していくという強いメッセージを出していくべきではないか。さらにいえば、国連で決議され、世界各国で官民を挙げてSDGsの実現に向けた取組が始まっているが、今申し上げた点は、SDGsの目指す「誰一人取り残さない」という理念と共通するものだと思う。外国人の支援体制強化に向けて、是非とも法務省の司令塔機能を発揮していただきたい。
(以上引用)

ちなみに1点目は高専の話。確か日経?にも、アジアで高専を活用した技術者の養成を強化していると記事がありました。
しかしΓ左派」の方の意識は、現状分析においても方針においても高橋議員より劣っていると考えざるを得ませんね。高橋議員は低賃金なり劣悪な労働条件なりが、固定化された社会階層を産み出す懸念を表明しているわけで、労働側に立っても、低賃金で劣悪な労働条件は日本全体の労働条件を低下する、まさに下向きの平準化を用意するわけです。
問題が深刻だなと思わせるのは、この20年間労働側はまともに日本人間での格差の是正に取り組んで来なかったわけで、外国人だから差別して良いでは実はないことです。日本人間での格差も仕方ないのだから、外国人には当然だ、というのが本当のところなのだと思います。
私が本当に怖いのは、日本人間の格差の是正なり、労働条件の底上げなりが社会全体で共有されぬままに外国人を差別的に受け入れた場合、更に外国人労働者差別が産み出されないかという懸念です。日本人である自分の労働条件はこんなに悪いのに、自分より給料が高いと憤激する日本人労働者が出てくるということです。
なので、外国人労働者の受け入れ問題は、ある意味では日本人労働者の労働条件に対する意識の鏡となる可能性があると思います。そして、その点では明らかにΓ左派」新聞よりは、竹中平蔵氏に近い?高橋進氏や、連合などの方が良識的であると映るのは興味深いことです。
長文失礼しました。

投稿: 高橋良平 | 2018年7月 8日 (日) 02時00分

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