外国人労働者受入れ政策へ
本日夕方、経済財政諮問会議で、「新たな外国人材の受入れについて」方向性が打ち出されたようです。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0605/shiryo_01.pdf
「経済財政運営と改革の基本方針 2018」の原案がアップされています。
1.人づくり革命の実現と拡大
2.生産性革命の実現と拡大
3.働き方改革の推進
の次に、
4.新たな外国人材の受入
として。次のような文章が並んでいます。
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会 基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきている。このため、設備投資、技術革新、 働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保(女性・高齢者の就業促進等)を引 き続き強力に推進するとともに、従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せ ず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを 構築する必要がある。 このため、真に必要な分野に着目し、移民政策とは異なるものとして、外国人材の受 入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する。また、外国人留学生の国内での就職 を更に円滑化するなど、従来の専門的・技術的分野における外国人材受入れの取組を更 に進めるほか、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む。
(一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格の創設)現行の専門的・技術的な外国人材の受入れ制度を拡充し、以下の方向で、一定の専 門性・技能を有し、即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とした新たな在留資格 を創設する。
○ 受入れ業種の考え方新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のため の取組を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と 認められる業種において行う。
○ 政府基本方針及び業種別受入れ方針受入れに関する業種横断的な方針を予め政府基本方針として閣議決定するととも に、当該方針を踏まえ、法務省等制度所管省庁と業所管省庁において業種の特性を 考慮した業種別の受入れ方針(業種別受入れ方針)を決定し、これに基づき外国人 材を受け入れる。
○ 外国人材に求める技能水準及び日本語能力水準在留資格の取得にあたり、外国人材に求める技能水準は、受入れ業種で適切に働 くために必要な知識及び技能とし、業所管省庁が定める試験によって確認する。また、日本語能力水準は、日本語能力試験N4相当(ある程度日常会話ができる)を 原則としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。 ただし、技能実習(3年)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な 技能水準及び日本語能力水準を満たしているものとする。
○ 有為な外国人材の確保のための方策有為な外国人材に我が国で活動してもらうため、今後、外国人材から保証金を徴 収する等の悪質な紹介業者等の介在を防止するための方策を講じるとともに、国外 において有為な外国人材の送出しを確保するため、受入れ制度の周知や広報、外国 における日本語教育の充実、必要に応じ政府レベルでの申入れ等を実施するものと する。
○ 外国人材への支援と在留管理等新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするため、的確な在留 管理・雇用管理を実施する。受入れ企業、又は法務大臣が認めた登録支援機関が支 援の実施主体となり、外国人材に対して、生活ガイダンスの実施、住宅の確保、生 活のための日本語習得、相談・苦情対応、各種行政手続に関する情報提供等の支援 を行う仕組みを設ける。また、入国・在留審査に当たり、他の就労目的の在留資格 と同様、日本人との同等以上の報酬の確保等を確認する。加えて、労働行政におけ る取組として、労働法令に基づき適正な雇用管理のための相談、指導等を行う。こ れらに対応するため、在留管理、雇用管理を実施する入国管理局等の体制を充実・ 強化する。
○ 家族の帯同及び在留期間の上限以上の政策方針は移民政策とは異なるものであり、外国人材の在留期間の上限を 通算で5年とし、家族の帯同は基本的に認めない。ただし、新たな在留資格による 滞在中に一定の試験に合格するなどより高い専門性を有すると認められた者につい ては、現行の専門的・技術的分野における在留資格への移行を認め、在留期間の上 限を付さず、家族帯同を認める等の取扱いを可能とするための在留資格上の措置を 検討する。
(従来の外国人材受入れの更なる促進)留学生の国内での就職を促進するため、在留資格に定める活動内容の明確化や、手 続負担の軽減などにより在留資格変更の円滑化を行い、留学生の卒業後の活躍の場を 広げる。また、「高度人材ポイント制」について、特別加算の対象大学の拡大等の見 直しを行う。これらの前提として、日本語教育機関において充実した日本語教育が行 われ、留学生が適正に在留できるような環境整備を行っていく。さらに、留学生と企 業とのマッチングの機会を設けるため、ハローワークの外国人雇用サービスセンター等を増設する。
また、介護の質にも配慮しつつ、相手国からの送出し状況も踏まえ、介護の技能実 習生について入国1年後の日本語要件を満たさなかった場合にも引き続き在留を可能 とする仕組みや、日本語研修を要しない、一定の日本語能力を有するEPA介護福祉 士候補者の円滑かつ適正な受入れを行える受入人数枠を設けることについて検討を進 める。このほか、クールジャパン関連産業の海外展開等を目的とする外国人材の受入 れを一層促進するための方策や、我が国における外国人材の起業等を促進し、起業家 の受入れを一層拡大するための方策について検討を進める。
(外国人の受入れ環境の整備)上記の外国人材の受入れの拡大を含め、今後も我が国に滞在する外国人が一層増加 することが見込まれる中で、我が国で働き、生活する外国人について、多言語での生 活相談の対応や日本語教育の充実を始めとする生活環境の整備を行うことが重要であ る。このため、2006 年に策定された「生活者としての外国人」に関する総合的対応策 を抜本的に見直すとともに、外国人の受入れ環境の整備は、法務省が総合調整機能を 持って司令塔的役割を果たすこととし、関係省庁、地方自治体等との連携を強化する。 このような外国人の受入れ環境の整備を通じ、外国人の人権が護られるとともに、外 国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく。
既に、『労基旬報』2018年3月25日号で「外国人労働政策の転換?」を書いていますが、いよいよ「移民じゃない」といいながら、専門・技術職ではない外国人の中間技能労働者の本格的受入れ制度が急速度で進んでいくことになりそうです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/2018325-937f.html
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