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2018年6月26日 (火)

『日本労働研究雑誌』7月号

696_07『日本労働研究雑誌』7月号の特集は、「グローバル化と労働市場─マクロ・ミクロの影響」です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/07/index.html

提言
多面的なグローバル化の影響を冷静に理解しよう 櫻井 宏二郎(専修大学教授)
解題
グローバル化と労働市場─マクロ・ミクロの影響 編集委員会
論文
グローバル化と労働市場─産業構造変化を通じたマクロ生産性への影響 伊藤 恵子(中央大学教授)
労働市場のグローバル化と労働者意識─誰が移民受け入れに反対なのか? 萩原 里紗(明海大学講師)・影山 純二(明海大学教授)・佐藤 一磨(拓殖大学准教授)・寺村 絵里子(明海大学准教授)
外国人労働者の就労問題と改善策 守屋 貴司(立命館大学教授)
現地採用で働く日本の若者─デュッセルドルフとバンコクの事例分析から 丹羽 孝仁(帝京大学講師)
日本企業の海外子会社における現地従業員の活用─意思決定権限の観点から 大木 清弘(東京大学大学院講師)
21世紀における国際労働基準の役割と課題 吾郷 眞一(立命館大学教授)

このうち、それはそうだろうな、とうなずいたのは萩原さんらの「労働市場のグローバル化と労働者意識─誰が移民受け入れに反対なのか?」です。

労働市場のグローバル化が進展し外国人受け入れが増えるに従い、国内労働者の雇用が外国人によって奪われる、いわゆる置き換え効果が懸念されている。その効果は職業スキルごとに異なり、外国人労働者と同じ技能・技術を持つ国内労働者ほど効果が大きいことが先行研究で指摘されている。本研究では、1989年から2014年までの世界・欧州価値観調査を用い、先進国、旧共産主義国、発展途上国に分けて国内労働者の職業性質別に移民に対する意識がどう異なるのか検証する。分析の結果、先進国と旧共産主義国においては、ノン・マニュアル労働と比較してマニュアル労働者や農業従事者がグローバリゼーションに後ろ向きであり、その点をコントロールしても移民受け入れに否定的な考え方を有していることが確認された。これは、マニュアル労働や農作業が言語障壁が低いため非熟練の外国人労働者でも就きやすく、それらに従事する労働者が移民によって置き換えられることを不安視しているためだと考えられる。また発展途上国においては、マニュアル労働者とノン・マニュアル労働者の間に有意な違いは見られないが、農業従事者が移民受け入れに対して否定的な考え方を有していることが確認された。これらの結果は、移民受け入れに否定的になる理由に文化的、社会的、心理的要因といった非経済的要因と経済的要因の両者があることを示唆している。

そしてこれが、アメリカやヨーロッパでの政治を動かす大きな原動力になっているわけです。

民主主義であればあるほど、移民によって仕事を奪われるのではないかというマニュアル労働者たちの不安に突き動かされずには居られません。

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