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2018年6月14日 (木)

残業禁止は不当労働行為@2018年

世界の注目はもちろんトランプと金正恩の首脳会談に集まっている今日この頃ですが、本ブログの関心はピョンヤンの労働新聞よりも日本の業界紙の労働新聞の方にあります。

その6月18日号は、1面トップは例の雇用類似で「労働者性拡大を検討」と載っていますが、中身は労政審基本部会に出したたたき台の話です。大内伸哉さんの連載も含めて、今旬の領域ですね。

でも本日取り上げるのは、そういう近未来の話じゃなくて、この平成がもうすぐ終わろうというご時世に、昭和の香りが濃厚に漂う「ふざけるな!残業やらせろ、馬鹿野郎!」というトピックです。

大阪府労委がトライメディカルサービス社に対して、残業禁止は不当労働行為だとして救済命令を出したと言うんですね。

会社が組合員に対して早出を禁止し、業務が残っていても終業時刻には帰るよう指示したので、所定外労働ができなくなり、経済的に不利益を受けたとして府労委に救済を申し立てたという事案。

組合結成まで同社には、会社の指示なく労働をしても、黙示的に労働時間として承認してきた慣行があり、同社の一連の対応は「労使慣行に反する」というのです。

実はこの手の「てめえらには残業やらせないぞ」事案は、時間外労働をやるのが余りにも当たり前で、やらない方が異常という昭和の御代には、不当労働行為としてよくあったんですが、まさか働き方改革で残業をなくそうという声が高らかに響くこの平成末期になって見かけることになろうとは思いもよりませんでした。

いや、実のところ、この「本音」はかなりの人々の中にまだまだ濃厚に存在しているのかも知れません。

10年前のホワイトカラーエグゼンプションのときには、世の中「残業代ゼロ法案絶対反対!」というゼニカネ至上主義者でいっぱいでした。私はその頃、いやいや労働時間規制は健康のためであり、安全衛生であり、残業代じゃないんだと口を酸っぱくして論じたものです。

その甲斐あってか、最近は表向きは高プロは過労死促進だという批判を前面に出す戦術になってきたようですが、それでも裏に隠れた「残業代ぼったくり反対!」という本音がちらちらと垣間見えます。

それにしても、ここまで「ふざけるな!残業やらせろ、馬鹿野郎!」という本音をむき出しにした不当労働行為事案が出てくると、なかなか感動的ですらありますな。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-41f3.html(あれからもう10年・・・・)

こういう今日の状況を見るにつけ、今から10年前の頃、残業代ゼロ法案ばかりが議論になり、それより何より物理的労働時間の規制こそが一番大事なことだと、孤独に主張していた頃のことが、なにやら懐かしく思い出されます。

そう、今では信じられないかも知れませんが、そのころ、残業代ゼロは別に問題じゃない、大事なのは物理的労働時間が青天井であることであり、それを規制することだという主張を正面切ってしていた人は、ほとんどいなかったのです。

なによりも、10年前には物理的労働時間規制はそっちのけで、もっぱら残業代ゼロがいいか悪いかというゼニカネ問題ばかりに焦点が当たっていたのが、10年後の今では本来の労働時間問題、すなわち労働者の健康とワークライフバランスの問題として議論されるのが当たり前になったということが、感慨深いものがあります。

・・・ところが、戦後60年にわたる労使の運用は、これをほとんどアメリカ型のカネ勘定の問題として捉えてきた。組合員に時間外労働をさせないのは不当労働行為だと労働組合が訴え、それを労働委員会や裁判所が認めるという奇妙な事態が常態化していたのである。そこには、時間外労働はないのが本来の姿という発想は見当たらない。・・・

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コメント

遵法闘争っぽい

投稿: ちょ | 2018年6月15日 (金) 13時28分

この分野は全くの素人なので、すごく見当はずれの意見かもしれませんが。

今まで可能だった残業を禁止すれば労働者の作業時間は減少します。ですから例えば新規に設備を導入したり人を増やしたりして "1人当たりの作業が(残業なしで処理できる程度まで)減少するから残業するな" と言うのであれば理解できますが、そういう事を何もしないで "今まで残業してこなしてきた作業量を残業せずにこなせ" と言われたら、労働者が反発するのも仕方がないような気もします。
大阪府労委は中立機関だと思うので、そこが会社の行為が不当労働行為だと認めたという事は労働者側の主張がそれほど非常識ではないと思うのですが。
hamachan殿は、会社から "今まで残業してこなしてきた作業量を残業せずにこなせ" と命じられた場合は労働者はどうすべきだとお考えですか?

投稿: Alberich | 2018年6月15日 (金) 22時25分

救済命令自体は載って居ないので正確なところはわかりませんが、記事からする限り、会社側が「今まで残業してこなしてきた作業量を残業せずにこなせ」などという命令をしたような形跡はありません。
そもそも労働者側も、「所定外労働ができなくなり、経済的に不利益を受けた」と府労委に申し立てているのであって、業務量がどうとか言っている形跡はありません。

実際、人事関係の人と話をすると、残業代が生活費になっているので云々という話はよく聞きますから、この労働者の訴え自体は正直なものなのでしょう。

そして、あまりにもそもそも論ですが、本件や類似の事例はそうではないのですが、もし本当にAlberichさんの言われるように、「今まで残業してこなしてきた作業量を残業せずにこなせ」などという理不尽な命令を受けたなら、その本来のあるべき労働時間に相当する業務量にせよと訴えるのが筋でしょう。しかし、残念ながらそうではないのです。

この事件では、うべかりし残業代を取り上げられたことが不当労働行為だと主張しているのであり、それ以上でもそれ以下でもないようです。

投稿: hamachan | 2018年6月16日 (土) 00時00分

申し訳ありません。調べもせず全く見当違いの意見を述べてしまったようです。

この件を申し立てた労働組合(連合大阪地方ユニオン大阪地域合同労働組合)によると、以下のような状況だったようです。
 ・トライメディカル社は病院の入院患者の食器洗浄を請負っている
 ・会社の労働条件変更に反対して一部の社員が組合を作った
 ・会社は組合に加入した社員にだけ残業できないシフトにした
このような状況では労働組合(労働者)はどうすべきだとお考えですか?

大阪府労委の命令の要旨は
http://www.osaka-chiikigodo.org/new1042.html#%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E5%BA%9C%E5%8A%B4%E5%A7%94
に掲載されています。
具体的には

①残業やシフトの差別を認め、差別がなかった場合に得られたであろう賃金の支払
②団交拒否を認め、団交のやり直し
③トライメディカル本社玄関前と、組合員が業務に従事している病院に命令内容を記した看板の掲示

の3点を命じています。

投稿: Alberich | 2018年6月16日 (土) 12時03分

この問題の議論の流れをみていますと、
「ゼニカネの問題」をいくらか軽く考えている
ような節もありますね。

「残業代が生活費」というのは、
それをもとに家庭のライフプランが作られていて、
住宅ローンを組んだり、子供の進学費用を工面したり
しているということでしょう。
それがなくなるとなれば、
労働者にとっては死活問題になりますね。

その昔、米国のとある黒人ミュージシャンが、
公演主に出演料を値切られた際、
机の上に拳銃を出して、
「家族の生活はどうなるんだ」
と凄んで値切をはねのけた、
という武勇伝(?)があります。

「ゼニカネの問題」も命がけなわけです。

投稿: IG | 2018年6月16日 (土) 16時40分

もちろん、ゼニカネは雇用契約の二大重要事項の一つであり、場合によっては命がけです。

そう、労働時間も命にかかわることもあればかかわらないこともあり、ゼニカネも命にかかわることもあればかかわらないこともあります。

労働法にも国家権力がサーベルを振りかざして使用者に強制しなければならないこともあれば、労使当事者間の交渉に任せておればよいこともあります。

ゼニカネであれ労働時間であれ、それが命にかかわることに近づけば近づくほど、国家権力が強制力を行使する必要性が高まり、命にかかわることから遠ざかれば遠ざかるほど、当事者間の交渉にゆだねておいていい可能性が高まります。

命にかかわるような長時間労働や、命にかかわるような低賃金に対して国家権力が強制力を行使しなければならないのはその故です。

平均賃金の3倍以上の高給労働者の(長時間労働ではなく)残業代の問題が、国家権力がほかのすべてを差し置いて最優先でやらなければならないようなことではないと、私が考えるゆえんです。

何回も出す例ですが、時給800円の非正規労働者が1時間残業しても1000円しかもらえないのは当たり前だと言っておいて、その横で時給換算4000円の高級正社員が1時間残業して5000円払わないのを刑事罰の対象として断固護持しなければならない理由は、少なくとも労働法の本旨には存在しません。

投稿: hamachan | 2018年6月16日 (土) 17時27分

hamachan殿

>平均賃金の3倍以上の高給労働者の(長時間労働ではなく)残業代の問題が、国家権力がほかのすべてを差し置いて最優先でやらなければならないようなことではないと、私が考えるゆえんです。

高プロが問題になっているのは、それが残業代だけでなく長時間労働に関する規制も外すからではないでしょうか(新たな規制もありますがそれでは不十分だと安倍首相の支持者も考えています)。もし高プロが長時間労働に関する規制は一般の労働者と同じで残業代に関する規制だけを外すものであれば(それでは単なる裁量労働制?)、これほど批判されなかったと思います。
命にかかわるような長時間労働の危険性は労働者の時給や地位に依存しないと思うので、そのような長時間労働は時給800円の非正規労働者に対する場合でも時給換算4000円の高級正社員に対する場合でも、国家権力がサーベルを振りかざして使用者に禁止を強制すべきだと思います

投稿: Alberich | 2018年6月16日 (土) 22時42分

ですから、私はもう10年以上前から、そう主張してきています。『新しい労働社会』第1章を参照。

今現在は、ごく普通の労働者も無制限の時間外休日労働が可能なのです。だからごく普通の労働者も毎年数百人も過労死するのです。

それを平然と無視して、あたかも一般労働者には立派な労働時間規制があって過労死する心配はないのに、まるでこれから導入される高プロとやら「だけ」に「異次元の危険」があるかのようなフレームアップを口走る類の人の倫理感覚を、正直言ってあまり信用できないというだけです。

口先だけで過労死促進とか言っても、高プロをつぶすためには今の時間外の上限規制の法案もつぶしてしまえと口走るような類の人ですね。そういう人の本音が残業代ゼロ「だけ」は絶対に許さないぞ、というところにあるのが透けて見えます。

そうでないならば、本気で過労死のことだけを心配し、残業代のことを心配しているのでないならば、法案をつぶせなどと言う暴言は吐けないはず。高プロにも上限規制を、せめてインターバル規制を、という主張になるはず。しかし、叫んでいる人々の主張はそうではなく、つぶせつぶせの一点張り。

法案をつぶせば、残業代ゼロがなくなるだけでなく、入社1年目のごくごく普通の一般労働者もこれまでとまったく同様に「異次元の危険」にさらされ続けることになるのですが、それは全く構わないということなわけですから。

そういう下心が透けて見える以上、私の口調が冷ややかになるのも当然でしょう。

投稿: hamachan | 2018年6月16日 (土) 23時27分

いや、組合員にのみ残業を禁止した差別が本質であって、建前はともかく残業禁止が組合員の不利益になり組合の活動を萎縮させる以上、救済命令は何もおかしくない。
hamachan先生は、残業は望ましくないという建前を、団結権保障よりも優先させるんですか?

投稿: 案山子 | 2018年6月18日 (月) 13時13分

最高裁が日産自動車事件でそういう判決を下していますから、それは確立した判例であって、府労委がこういう救済命令を出すのは当然です。

それを前提としたうえで、そもそも労働時間規制ってなんだったっけ、労働法ってなんだったけ、労働組合って誰のどういう利益を守るために始まったんだっけ、ということを思い返してみたら、そう威張れた話ではなかろうものを、と皮肉たっぷりに嫌味を利かせているだけですよ。

投稿: hamachan | 2018年6月18日 (月) 19時06分

hamachanのΓ入社1年目のごくごく普通の一般労働者もこれまでとまったく同様に『異次元の危険』にさらされ続ける」との主張は、本当にその通りで、これに関してどれだけ真剣に取り組んできたのかと問われれば、?となってしまいます。確かに労災認定や裁判はそれなりにされてきたしたが、大切なのは過労死の防止ですから。
僕は法政大学出身なのですが、大学が出している雑誌Γ法政」にアナウンサーに合格した女学生のインタヴューが掲載されていて、テレビ局から死ぬ気で働けますかと問われたのでハイ死ぬ気で働きますと応えたと載っていました。この女学生は、学内では有名なΓ自主」ゼミに所属していました。この自主ゼミでは、自主であることを良いことに、より率先して企業が求める人材を育成していました。それが上記のインタヴューに繋がったと私は思っています。
大学が就職予備校ではなくあくまで学問の場であるという建前が、ゼミをΓ自主」化し、それによって企業のΓ本音」を反映し、企業によるΓ死ぬ気」に即答でハイと答える。大学と企業との関係、企業のありかた、大学のありかたを考えさせられました(当時は、それを質問する企業、答える学生、載せる大学のΓ倫理観」に背筋が寒くなりました)。15年も前のことですが。。
日本社会全体?が労働に対してどのような態度であったのかの、一つの例ではあったと思います。
話が横道に逸れましたが、hamachan氏の労働時間規制法案ならびに高プロ法案に対する姿勢には賛同します。ただ、それとこの判例なり裁判なりを結びつけるのは、少し無理があるかなと思います。やはり、労組差別が問題であると思うからです。
とは言うものの、ここまで反対と廃案のみが先行したのは異様ですよね。もう少し冷静になるべき学者や弁護士も突っ走っている感じですし。hamachan氏の憤りも理解は出来ます。この情勢は冷静になるしかないですね。。

投稿: 高橋良平 | 2018年6月18日 (月) 19時56分

hamachan殿


>まるでこれから導入される高プロとやら「だけ」に「異次元の危険」があるかのようなフレームアップを口走る

素人なので間違っているかもしれませんが、高プロに対して新たに制定される規則は従来の規則よりも過労死の危険が高くなる(一般の労働者にも高プロの規則を適用すればもっと過労死が増える)のではないでしょうか?そうであれば、”これから導入される高プロとやら「だけ」に「従来よりも高い危険」がある”という事は言えるのではないかと思います。


>そうでないならば、本気で過労死のことだけを心配し、残業代のことを心配しているのでないならば、法案をつぶせなどと言う暴言は吐けないはず。高プロにも上限規制を、せめてインターバル規制を、という主張になるはず。

反対派は"法案をつぶせ"という人だけでなく、法案から(裁量労働制の拡大規定を削除したのと同じく)高プロ規定を削除しろ と言っている人も多いと思います。hamachan殿の記事にもあったように、立憲民主党と国民民主党は労働時間規制の部分を残した法案を提案しています。
つまり反対派には法案をつぶすのではなく労働時間規制の部分だけを成立させたいと思っている人が多いと思います。


>法案をつぶせば、残業代ゼロがなくなるだけでなく、入社1年目のごくごく普通の一般労働者もこれまでとまったく同様に「異次元の危険」にさらされ続けることになるのですが、それは全く構わないということなわけですから。

この議論は沖縄の米軍基地新設と似た点があると思います。建設派は”新しい基地ができなければ現在の基地がそのままになり、周辺住民がこれまでとまったく同様に危険にさらされ続けることになる。新しい基地の建設に反対するのはそれは全く構わないということだ”と主張しています。これに対して建設反対派は”新たに基地を作る事に反対しているのであって、現在の基地の周辺住民が危険にさらされ続けて構わないと言っていない。新しい基地を作らないと現在の基地を廃止できない事がおかしい。”と主張しています。
これは”現在の「異次元の危険」にさらされている人を救済する事を(少数だが)現在よりもさらに高い危険にさらされる人を生み出す事より優先する”という考え方と”現在よりもさらに高い危険にさらされる人を生み出さずに現在の「異次元の危険」にさらされている人を救済する”という考え方の違いだと思います


>そういう人の本音が残業代ゼロ「だけ」は絶対に許さないぞ、というところにあるのが透けて見えます。
>そういう下心が透けて見える以上、私の口調が冷ややかになるのも当然でしょう。

仰るようにそのような本音や下心を持って高プロに反対する人もいると思います。しかし(過労死された方の遺族の会見を行った団体等の)多くの反対者は高プロ適用者の残業代ゼロよりも過労死の危険を問題視していると思います。
今回の法案では裁量労働制の適用拡大は削除されました。つまり今回の法案で残業代ゼロになるのは(労働者全体からみれば)ごく一部の(恵まれた環境にある?)高プロ適用者だけです。もし反対者の本音が”残業代ゼロ「だけ」は絶対に許さないぞ”という事であれば、今回の法案ではほとんどの労働者に対して残業代ゼロの危険はなくなったので反対運動が下火になると思うのですが?
裁量労働制の適用拡大が削除されほとんどの労働者に対して残業代ゼロの危険はなくなっても反対する人が減らないのは、過労死を減らすための法案に(対象はごく一部とはいえ)過労死を増やす恐れがある規定を入れるのはおかしいと思う人が多いからではないでしょうか?

投稿: Alberich | 2018年6月18日 (月) 22時37分

この件に関しては、
組合員のみに対して残業ができないようにした。要するにいじわるしたんですね。
府労委はそうとったということでしょう。

この会社の業務内容からして、
基本給がそれほど高給とも言えませんから、
先生のご反論はちょっと無理があるなあと。

投稿: Executor | 2018年6月18日 (月) 22時56分

そうですね、しょせん政治家は政策よりも政局が大事で、とりわけモリカケで大騒ぎに騒いでいるときには、頭の中身が完全にそっち系に逝ってしまって、一知半解の労働問題なぞ議論する余裕もあるはずはなく、すべてをスキャンダル脳でしか考えられなくなってしまうのも、彼らの職業病だと思えば仕方がないとあきらめることもできます。

そう割り切ることが出来ないのは、少なくとも頭の中にはちゃんと労働法制のあれこれがちゃんと入っているはずの労働弁護士や一部学者やらが、どう見てもフレームアップとしか思えないような言いがかり的な論難ばかりを繰り返して恬として愧じる気配もないことです。

もし本気であたかも一般労働者には立派な労働時間規制があって過労死する心配はないのに、まるでこれから導入される高プロとやら「だけ」に「異次元の危険」があると信じ込んでいるならば、彼らは単に無知でかつ勉強不足であるだけですが、彼らの知識水準からしてその可能性は限りなく少ないので、わかっているくせに政治的意図でわざとそういうイメージを振りまいている悪意ある人々であるとしか考えられないのが、正直言って誠に悲しいところです。

旗印に過労死を掲げつつ本音では残業代を守ろうとする人々というのが、彼らを描写するのに最も適切な標語というべきでしょう。

投稿: hamachan | 2018年6月18日 (月) 23時19分

>そう威張れた話ではなかろうものを、と皮肉たっぷりに嫌味を利かせているだけ
制度が歪だから、規制の趣旨に反して「残業させろ、この野郎」という事態が生じるわけですよね。そうすると、皮肉や嫌味を向けるべきは制度であって、正当な権利行使として救済を申立てた労働者ではないでしょう。

投稿: 案山子 | 2018年6月19日 (火) 14時38分

私も Alberichさんと同意見です

そうですね、しょせん政治家は政策よりも政局が大事で、とりわけモリカケで大騒ぎに騒いでいるときには、頭の中身が完全にそっち系に逝ってしまって、一知半解の労働問題なぞ議論する余裕もあるはずはなく、すべてをスキャンダル脳でしか考えられなくなってしまうのも、彼らの職業病だと思えば仕方がないとあきらめることもできます。
まさか、hamachanさんまで、国会では野党はモリカケ問題しかしていないとお思いなのですか?
高プロ問題については、野党が追求して、大臣や首相がはぐらかして時間を浪費されていくというのがここ最近の展開だそうですよ。そんな与党の不誠実な態度のせいなのか、議論は深まらず、今朝の日曜討論でもアンケート結果が紹介されてましたが、いまだに国民の理解が得られてないのですが。
そう割り切ることが出来ないのは、少なくとも頭の中にはちゃんと労働法制のあれこれがちゃんと入っているはずの労働弁護士や一部学者やらが、どう見てもフレームアップとしか思えないような言いがかり的な論難ばかりを繰り返して恬として愧じる気配もないことです。
そうお思いならば、この前のブラック企業対策弁護団の「高度プロフェッショナル制度の要約」に対して突っ込んで頂きたかったですね。ほんとうに言いがかりなのでしょうか?どこが言いがかりなのでしょうか?この理解が正しいとするならば、高プロに反対するのは当然の態度だと思います。

当初から言われていたことですが、その他の働き方改革法案と高プロを一本にまとめて提出したのは与党です。つまり、働き方改革を人質にして高プロを通そうとしているのは与党です。不誠実なのは与党なのに、そこには目をつぶって、野党を責めるというのも納得のいかない話です。

投稿: くまさん | 2018年6月24日 (日) 23時37分

上のコメントで述べたとおりです。どこが言いがかりなのか、ちゃんと述べているつもりです。読まれていないようなので再掲しておきます。


ですから、私はもう10年以上前から、そう主張してきています。『新しい労働社会』第1章を参照。
今現在は、ごく普通の労働者も無制限の時間外休日労働が可能なのです。だからごく普通の労働者も毎年数百人も過労死するのです。それを平然と無視して、あたかも一般労働者には立派な労働時間規制があって過労死する心配はないのに、まるでこれから導入される高プロとやら「だけ」に「異次元の危険」があるかのようなフレームアップを口走る類の人の倫理感覚を、正直言ってあまり信用できないというだけです。
口先だけで過労死促進とか言っても、高プロをつぶすためには今の時間外の上限規制の法案もつぶしてしまえと口走るような類の人ですね。そういう人の本音が残業代ゼロ「だけ」は絶対に許さないぞ、というところにあるのが透けて見えます。
そうでないならば、本気で過労死のことだけを心配し、残業代のことを心配しているのでないならば、法案をつぶせなどと言う暴言は吐けないはず。高プロにも上限規制を、せめてインターバル規制を、という主張になるはず。しかし、叫んでいる人々の主張はそうではなく、つぶせつぶせの一点張り。
法案をつぶせば、残業代ゼロがなくなるだけでなく、入社1年目のごくごく普通の一般労働者もこれまでとまったく同様に「異次元の危険」にさらされ続けることになるのですが、それは全く構わないということなわけですから
そういう下心が透けて見える以上、私の口調が冷ややかになるのも当然でしょう。

投稿: hamachan | 2018年6月25日 (月) 00時54分

今現在は、ごく普通の労働者も無制限の時間外休日労働が可能なのです。
さらにやりやすくなるのは問題でないのですか? (絶対的な防止策にはならないとはいえ)残業代の割増をなくすことで、長時間労働させやすくなるのは確かでしょう。しかも、(ゆるゆるとは言え)36協定の保護すら受けられなくなるのですよね?他の方のコメントされているとおり、改悪では無いのですか?もともとゆるゆるだから、さらにゆるゆるにして良いというならば、さすがにそれは暴論だと思います。
口先だけで過労死促進とか言っても、高プロをつぶすためには今の時間外の上限規制の法案もつぶしてしまえと口走るような類の人ですね。そういう人の本音が残業代ゼロ「だけ」は絶対に許さないぞ、というところにあるのが透けて見えます。
これも責められるべきは、その他の働き方改革法案と高プロを一本にまとめて提出するという策を弄した与党です。当初から野党は高プロさえ分離したら、その他の働き方改革に賛成するのはやぶさかでない旨を表明しています。どこの野党が高プロ以外も葬るかのようなことを言っているのですか?一本にまとめることで、駄目なものが良いものに変わることはなく、駄目なものは駄目でありませんか?
まるでこれから導入される高プロとやら「だけ」に「異次元の危険」があるかのようなフレームアップを口走る類の人の倫理感覚を、正直言ってあまり信用できないというだけです。
少なくとも、前述のブラック企業対策弁護団は、法案に基づき具体的に問題点を指摘しているのであって、「異次元の危険」のような、何か得体の知れないものであるかのようなフレームアップはしていません。前記「高度プロフェッショナル制度の要約」自体にはhamachanさんも異論は無いのですよね? もしかして、過労死遺族は法案の内容を理解せずに、野党にのせられて反対運動に加わっていると、お思いなのですか?


何やらhamachanさんが非難する人々って、識者でないツイッター界隈の人々だったり、藁人形だったりするような気がしてきました。

投稿: くまさん | 2018年6月25日 (月) 02時11分

先日の過労死防止学会で、EUの労働時間指令を紹介しつつ、日本にまともな労働時間規制があると思っている人に「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と吠えたのですが、肝心のメッセージは全然伝わっていなかったようですね。

投稿: hamachan | 2018年6月25日 (月) 20時04分

私が素人のせいかもしれませんが、この法案に対するhamachan先生のお考えの中で次の3点がよく理解できません。

(1)高プロの危険性
 hamachan先生は
   これから導入される高プロとやら「だけ」に
   「異次元の危険」があるかのような
と仰っていますが、hamachan先生は高プロ適用者の過労死の危険性は従来の労働者に比べてどのように評価されているのでしょうか?
私は高プロに対して新たに制定される規則は従来の規則よりも過労死の危険が高くなると思います。
そうであれば、
    これから導入される高プロとやら「だけ」に
   「従来よりも高い危険」がある
という事は言えるのではないかと思います。

(2)反対派への評価
 私は高プロの賛成派と反対派は現実派と理想派であって、どちらも残業代より過労死の事を考えていると思います。
ですから賛成派が反対派に対して
   確かに高プロ適用者は従来より過労死の危険が増えるが、
  それ以外の大多数の労働者は過労死の危険が減る。極少数
  の危険が増える事より多数の危険が減る事を優先すべきだ
と発言するのであれば理解できます(私は理想派に近いので賛成はしませんが)
しかし、反対派を
  旗印に過労死を掲げつつ本音では残業代を守ろうとする人々
と評価するのは、
反対派が賛成派を(高プロなしで過労死の危険を減らす対案があるのに高プロ案を賛成する事を理由に)
  旗印に過労死を掲げつつ本音では高プロを作ろうとする人々
と評価するのと同じぐらい変な感じがします。

(3)残業代の是非
 hamachan先生は、反対派を”本音で残業代を守ろうとする人々”と
仰っていますが、残業代を守ろうとする事はいけない事でしょうか?もちろん残業代よりも過労死防止を優先すべきですから、過労死の危険のある残業は(残業代の有無にかかわらず、労働者が希望しても)禁止すべきだと思います。
しかし過労死に関係ない範囲で残業代をどうするかは過労死防止とは関係ないことだと思います。
hamachan先生は、以前に
  かつてキリストは、カエサルのものはカエサルへ、神の
  ものは神へ,と教えたという。いま労働時間と賃金に絡む
  混乱しきった議論を整理しようとするならば、まず何より
  も、労働時間のことは労働時間として、賃金のことは賃金
  のこととして、きちんと分けて議論しようというその一点
  に尽きるのではなかろうか。
と仰いました。これは全くその通りだと思います。
私は、この事は カエサルも神も自分の世界に関係ない範囲では相手の世界に関与しない という意味もあると思います。
これは全くの私の想像ですが、この記事の会社(トライメディカルサービス社)の業務内容から考えて、その残業は過労死とは関係ない範囲だと思います。もしそうであれば、そのような残業の要求に対して、皮肉たっぷりに嫌味を利かせた記述をする事は、神がカエサルの世界に関与しようとしているように私は感じます。

投稿: Alberich | 2018年6月25日 (月) 20時35分

>高プロにも上限規制を、せめてインターバル規制を、
>という主張になるはず

つまり、現状通りの法案であれば、高プロには上限規制が入らないわけですよね。この状況で高プロに賛成するのであれば、「高プロに該当する労働者は上限規制が働かず、健康が損なわれる可能性が少なからず存在する」事になると思います。

今が労働時間の上限規制導入における千載一遇のチャンスであり、些細なことでひっくり返すようなまねをするなと仰りたいのは分かりますが、それは高プロ労働者の健康を生贄に捧げることにはなりますよね。

投稿: bn2islander | 2018年6月29日 (金) 20時18分

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