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2018年5月19日 (土)

連合は「時間外労働の上限規制の早期実現」を求める

843520b930e094019278b730035f97ca 連合のホームページに、菅官房長官への要望事項がアップされています。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1374

要請の冒頭、神津会長が菅官房長官に要請書を手渡し、「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」や予算の概算要求基準等への反映を求めました。その後、連合・平川総合政策局長より4本10項目からなる要請内容から、長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化、医療・介護・保育で働く職員の処遇・勤務環境の改善をはじめとする人材確保対策の強化、待機児童の早期解消のための財源確保と質の担保された受け皿の整備に向けた政策の推進などについて、ポイントを説明、意見交換を行いました。

要請書の具体的内容はこちらにあります。

1.持続可能で健全な経済の発展に向けた産業政策および税制改革の推進
・第4 次産業革命の進展に伴いすべての産業に起こり得る様々な変化への対応について検討するための、労使が参画する枠組みを構築する。
・サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配を実現するため、「働き方」も含めた企業間における公正かつ適正な取引関係の確立に向けて、下請法をはじめとする関係法令の周知とその遵守を徹底する。
・個人所得課税における人的控除の抜本見直し、金融所得課税の強化、低所得者対策としての給付付き税額控除(勤労税額控除、軽減税率導入の代わりとしての給付措置)の導入により、税による所得再分配機能を強化する。

2.長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化
・長時間労働是正に向け、時間外労働の上限規制を早期に実現する。労働基準監督官の増員および監督強化に向けた根拠規定の整備を含め、労働行政を充実・強化する。非正規雇用労働者の処遇改善に向け、労働契約法、パートタイム労働法お
よび労働者派遣法の3 法の改正を早期に実現する。
・外国人労働者の受入れは、国内雇用や労働条件に好影響を及ぼすような「専門的・技術的分野」の外国人を対象とし、安易かつなし崩し的な受入れは行わない。
・職場のパワーハラスメントの予防・解決に向け、職場のパワーハラスメント防止対策の実効性確保に加え、使用者責任を明確化するための法整備を行う。

3.すべての世代が安心できる社会保障制度の確立とワーク・ライフ・バランス社会
の早期実現
・医療・介護・保育で働く職員の処遇改善と勤務環境を改善し、人材の離職防止をはかるほか、復職や新たな担い手をめざす人への支援を充実するなど、人材確保対策を強化する。
・生活援助サービスを含め介護等を必要とする人が地域で安心して暮らし続けられるとともに、仕事と介護が確実に両立できるよう、良質な介護保険給付を確保する。
・希望するすべての子どもが保育所や放課後児童クラブ等を利用できるよう、待機児童を早期に解消する。そのため、財源を確保し、職員配置の改善や安全面の強化など質の担保された受け皿の整備をさらにすすめる。

4.「子どもの貧困」の解消に向けた政策の推進
・高等教育における対GDP公的教育支出を他の先進国並みに拡大し、大学などの授業料を引き下げるとともに、貸与型奨学金をすべて無利子とし、給付型奨学金の支給対象および支給額を拡充する。

私の最近の関心からすると、1の「持続可能で健全な経済の発展に向けた産業政策および税制改革の推進」にこそ注目したいところですが、そのまえに、いまさらながら2の「長時間労働是正に向けた法整備と労働者保護ルールの堅持・強化」について一言だけ。

いまだに100年前に制定されたILO第1号条約すら批准できない日本の異常な労働時間規制、専門的でも裁量性もなく、高度でもプロフェッショナルでもない、入ったばかりの一年目の新入社員が過労死しても労働基準法違反にならないような、時間外労働に上限規制のない日本の法律を、ようやくまともな労働時間規制という名に値するものにしようという法律案が、労働基準法制定70年にしてようやく成立しようとしているこの時期に、それを平然と無視して、「残業代ぼったくり法案絶対反対」と叫ぶだけの人々と同列に並ぶことが出来ないのは、日本の労働組合の代表としてはあまりにも当然のことでしょう。

この点については、もう10年以上にわたって口が酸っぱくなるくらい、そして聞いている人の方も耳に胼胝ができるくらい同じことを言い続けてきましたが(下記参照)、聞く気のない人々には百万回道理を説いてもなかなか通じないという思いはいや増すばかりです。

なんにせよ、連合は日本の労働時間法制が単なるゼニカネ規制からようやくまっとうな物理的時間規制に転換するこの法改正を(中には若干言いたいことがあるにしても)しっかりと実現に向けて頑張ってほしいところです。

さて、本題。

「第4 次産業革命の進展に伴いすべての産業に起こり得る様々な変化への対応について検討するための、労使が参画する枠組みを構築する」。

これは、最近のAIとかクラウドとかプラットフォームとかまあそういう話ですが、「労使が参画する枠組み」とわざわざ言っているのは、最近、三者構成原則が揺らいできており、とりわけこの第4次産業革命話をやっている労政審の基本問題部会が、あえて三者構成でない「有識者」だけにしていることに対する危機感があります。

その危機感には同感するものの、実は第4次産業革命で今までの労働者概念には収まりきらない新たな就業形態がどんどん拡大していくことを考えると、そういう法律的には独立自営業者などだが、労働者に類似した人々の利益を、集団的にどのように代表していくのか、という問題にぶち当たらざるを得ません。「有識者」と称する人ばかりが好き勝手に議論して済む話ではないとともに、まさにその利害当事者をどう代表するかというステークホルダー民主主義の根幹にかかわる問題を改めて真剣に考えていく必要があるのだと思います。

「<サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配を実現するため、「働き方」も含めた企業間における公正かつ適正な取引関係の確立に向けて、下請法をはじめとする関係法令の周知とその遵守を徹底する」

これもいま世界的に大変注目されている論点ですが(なぜか日本では、本来もっと騒ぐべき人々の関心が薄いですが)、こういう観点からも、労働法の研究者はもっと経済法、産業法との連携を図っていかないといけないのだろうと思います。特に若い人々は、あまり狭く閉じこもらないで、広く関心を広げていってほしいところです。

 

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