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2018年5月19日 (土)

セクハラ罪もパワハラ罪もいじめ罪もない、が・・・

あまりにもばかばかしいのでわざわざ取り上げる必要すらないと考えるのがまっとうな人の判断でしょうが、それにしても・・・。

https://mainichi.jp/articles/20180519/ddm/041/010/051000c (「ない」「ない」答弁 「セクハラ罪ない」閣議決定)

政府は18日、「現行法令において『セクハラ罪』という罪は存在しない」との答弁書を閣議決定した。財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題を巡り、麻生太郎副総理兼財務相が「『セクハラ罪』という罪はない」と繰り返し発言したことに批判が相次いでおり、逢坂誠二氏(立憲民主党)が質問主意書で見解をただした。
 答弁書は、セクハラの定義について、職場や職場外での「他の者を不快にさせる性的な言動」と人事院規則が定めているとし、「これらの行為をセクハラとして処罰する旨を規定した刑罰法令は存在しない」とした。
 一方、逢坂氏が「セクハラが強制わいせつなどの犯罪行為に該当することがあるのでは」と問うたことに対し、答弁書は「その場合に成立するのは強制わいせつなどの罪であり、『セクハラ罪』ではない」とした。【野口武則】

わかっている人にはいまさらな話ですが、セクハラであれ、パワハラであれ、いじめであれ、その中には刑事法上の犯罪行為に該当するようなものもあれば、刑事罰の対象にはならないけれども民事法上の不法行為として損害賠償請求の対象にはなるものもあり、さらに民事法上の損害賠償請求には至らないけれども会社等の組織運営上、とりわけ労務管理上好ましくなく、使用者としてきちんと対処すべきようなものまで、さまざまであって、むしろその程度性質に適切に対応しなければならないわけです。

というようなことは、およそ法学入門の第1ページを齧った程度の人であればだれでもわかるはずのことですが、ここで言いたいのはそれよりもむしろ、こういうあきれた記事を平然と書き散らすマスコミこそが、実はこういう何でもかんでもごっちゃにする用語法の最大の加害者ではないか、ということです。

そう、同級生を殴る蹴る(暴行罪)怪我を負わす(傷害罪)金を巻き上げる(恐喝罪)といったれっきとした刑法典に書かれている犯罪行為を、わざわざ「こどものいじめ」だと穏やかに免責するような表現をしてきたのは、あんたらマスコミじゃないのか、と。

現行法令に「いじめ罪」という罪は存在しない。しかし、あんたらマスコミが「いじめ」「いじめ」と軽々しく書いてきたその中身が暴行罪や傷害罪や恐喝罪であれば、それは立派な犯罪だ。それを犯罪じゃないかの如く印象操作してきたのは、マスコミ自身だろうが。

そういえば、男女雇用機会均等法で以前から禁止されているに妊娠を理由とした解雇を、わざわざその時にはまだ法律上に何ら規定もされていない「マタハラ」とかいう言葉で報道したマスコミもけっこうあったし。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-0136.html (妊娠を理由とする解雇の公表)

明日の新聞が「初のマタハラ公表」とか見出しを打ったら、「ハラスメントじゃないよ、解雇だよ」と言ってやりましょう。
なんでもハラスメントといえばいいわけじゃない。

 

 

 

 

 

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