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2018年5月22日 (火)

債権の物権化と社員権化

そうか、法律の初歩を齧った人向けには、雇用契約というまぎれのない債権が、物権化したのが「ジョブ型社会」であり、社員権化したのが「メンバーシップ型社会」であると説明すればいいのかな。

賃貸借契約という債権契約は所有権には負けるけど、物権化して地上権になれば、所有者が変わってもその土地に住む権利は維持される。同様に、会社の持ち主が変わっても、そのジョブをする権利は維持される。契約の相手方次第という弱い債権から、相手が誰であろうが貫ける強いジョブの権利へ。まさに債権の物権化。

これに対して日本社会は全く逆の方向に、弱い債権の権利を強化する道を選んだ。文字通り社員権。その土地に対しては権利はないけれども、その社団の一員としてどこかの土地を使う権利は必ずあるという方向。契約の相手方がいる限り、権利はなくなることはない。まさに債権の社員権化。

念のため、これは「法律の初歩を齧った人向け」なので、この「社員権」とはいうまでもなく民商法で言う社員権のこと。だが、それがそのまま日本の日常用語における「社員」権になってしまっている点が重要。

 『法律時報』の6月号が「実定法による労働契約締結強制法理」を特集するみたいだけど、ジョブという感覚がなく、逆にメンバーシップという感覚が強い日本社会では、まさにもっとも不当性の強く感じられる「締結強制」になるのですな。

https://www.nippyo.co.jp/shop/magazines/latest/1.html#

特集=実定法による労働契約締結強制法理
当事者の意思の合致がなくとも、要件を満たせば労働契約の成立を認める立法が目立つ。こうした現代の労働契約締結法理を検討する。
労働契約の法による形成の意義……大内伸哉(神戸大学)
労働契約法18条……新屋敷恵美子(九州大学)
会社分割における労働契約の承継……成田史子(弘前大学)
事業譲渡と労働契約の承継……土田道夫(同志社大学) 
派遣先企業と派遣労働者との労働契約の成否……本庄淳史(静岡大学)
不合理な労働条件の禁止と労働契約内容の創設……野川忍(明治大学)

 

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