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国民民主党と立憲民主党の働き方改革法案対案

まあ、政治家が政局で動くのは本能ですから仕方がないのですが、立法府というのはいかなる政策、立法があるべきかを正面から議論し、まさにその次元で斬り合うべき所だという理念からすれば、いささか情けない姿が展開されていたわけですが、ようやく2つの野党から働き方改革法案の対案が提出されたようです。

国民民主党(以下「国民党」という)のはここにありますが、「安心労働社会実現法案」と称していますが、いくつかに分かれているようです。

https://www.dpfp.or.jp/2018/05/08/%E3%80%8C%E5%AE%89%E5%BF%83%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E6%B3%95%E6%A1%88%E3%80%8D%E3%82%92%E8%A1%86%E9%99%A2%E3%81%AB%E6%8F%90%E5%87%BA/

立憲民主党(以下「立民党」という)のはこれで、こちらは「人間らしい質の高い働き方を実現するための法律案」というタイトルで、閣法と同様まとめて一本のようです。

https://cdp-japan.jp/news/20180508_0436

ざっと見た感じではほぼよく似た感じで、いろいろあって別れざるを得なかったけど作った人の発想はそれほど変わらないようにも見えます。

ただ、時間外の上限は、国民党が閣法と同じであるのに対し、立民党は単月80時間、複数月60時間とより厳格にしています。

雇用対策法に「正規雇用(無期、直接、フルタイム)原則」とか「本人が希望する場合の正規労働者としての雇用」が入っているのも共通です。

同一同一関係はちょっと違って、国民党が労契法に「職務の価値の適正な評価」云々と同一価値労働志向なのに対して、立民党のは「合理的と認められない待遇の相違の禁止」と、やや労働法学者的なこだわりが見えます。

一番違うのは、国民党案にあるパワハラ規制の安全衛生法改正部分が立民党案にないことです。

これ、本ブログでも何回か取り上げたように、情報労連出身の石橋議員が熱心にやっていた話なんですが、彼が民進党でやった結果は国民党案に盛り込まれていて、彼が今回入った立民党案には入っていないというなんだか皮肉な事態になっています。

この部分は、私もどうなるのかと期待していた部分でもあるので、せっかくなので、その法文を引用しておきます。

第七章の三 労働者に苦痛を与えるおそれのある言動に関する措置

(業務上の優位性を利用して行われる労働者に苦痛を与えるおそれのある言動に関し事業者の講ずべき措置)
第七十一条の五 事業者は、その労働者に対し当該事業者若しくはその従業者が、その労働者に対し当該事業者以外の事業を行う者若しくは当該者の従業者が、又はその労働者以外の労働者に対し当該事業者若しくはその従業者が、当該労働者との間における業務上の優位性を利用して行う当該労働者に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動であつて業務上適正な範囲を超えるものが行われ、及び当該言動により当該労働者の職場環境が害されることのないよう、その従業者に対する周知及び啓発、当該言動に係る実態の把握、その労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備、当該言動を受けた労働者及び当該言動を行つた者に係る迅速かつ適切な対応その他の必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
3 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、第一項の言動を受けた労働者の利益の保護に特に配慮するものとする。
4 厚生労働大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前三項の規定は、指針の変更について準用する。

(消費者対応業務の遂行に関連して行われる労働者に苦痛を与えるおそれのある言動に関し事業者の講ずべき措置)
第七十一条の六 事業者は、その労働者を消費者対応業務(個人に対する物又は役務の提供その他これに準ずる事業活動に係る業務のうち、その相手方に接し、又は応対して行うもの(事業を行う者又はその従業者に専ら接し、又は応対して行うものを除く。)であつて、厚生労働省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)に従事させる場合には、当該労働者に対しその消費者対応業務の遂行に関連して行われる当該労働者に業務上受忍すべき範囲を超えて精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動(当該労働者と業務上の関係を有する者により行われるものを除く。)により、当該労働者の職場環境が害されることのないよう、当該消費者対応業務の態様に応じ、当該労働者の職場において当該言動に適切に対処するために必要な体制の整備、当該労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を定めるものとする。
3 前条第四項及び第五項の規定は、前項の指針の策定及び変更について準用する。4 その消費者対応業務の全部又は一部を委託する者は、当該委託を受けた事業者が当該委託に係る消費者対応業務について第一項の規定により講ずべき措置を適切かつ有効に実施することができるよう、必要な配慮を行うものとする。

(助言、指導及び勧告並びに公表)
第七十一条の七 厚生労働大臣は、第七十一条の五第一項及び前条第一項の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、助言、指導又は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第七十一条の五第一項又は前条第一項の規定に違反している事業者に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/2017525-29fe.html(「民進党のパワハラ防止法案?」@『労基旬報』2017年5月25日号)

『労基旬報』2017年5月25日号に「民進党のパワハラ防止法案?」を寄稿しました。内容は、『情報労連REPORT』4月号に載っていた石橋通宏参議院議員のインタビュー記事のほぼ忠実な紹介です。ちょうど先週金曜日に厚生労働省で職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会が開始されたところでもあり、一つの議論の素材として有用ではないかと思います。

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