今月末からのILO総会で職場の暴力とハラスメントが議題に
100年前のILO第1号条約すら批准できない悲惨な日本の労働時間法制がようやく時間外労働に上限ができるまっとうなものになろうというこの重要な時期に、そんなことには何の関心も払わず、残業代ぼったくりばかりを騒ぐというこれまた悲惨な政治やマスコミの状況ですが、その中でかろうじて希望が持てる動きとして本ブログで紹介したのが、国民民主党が参議院に提出した労働安全衛生法改正案で、いわゆるパワハラや顧客によるハラスメントに対する措置義務が規定されたことでした。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-2148.html (国民民主党と立憲民主党の働き方改革法案対案)
この問題、厚生労働省の検討会ではいくつかの案が併記されるという形でいったん収まっていますが、世界レベルではILOで今月末から開かれる第107回ILO総会における第1回目の討議がされる予定になっています。
ILO駐日事務所の案内から引用すると、
http://www.ilo.org/tokyo/events-and-meetings/WCMS_625576/lang--ja/index.htm
日本を含む187の加盟国から政府、使用者、労働者の代表が出席して開かれるILOの年次総会。今総会では、持続可能な開発目標とILOの開発協力のあり方や社会対話と三者構成原則、労働時間といった事項に関する検討に加え、仕事の世界における暴力と嫌がらせ(ハラスメント)に関する新たな基準の設定に向けた議論が開始されます。
2回討議手続きに基づく基準設定の第1次討議-仕事の世界における男女に対する暴力とハラスメント
職場における暴力やハラスメントは、全ての人間が有する「自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び精神的発展を追求する権利」を促進するというILOの任務の根幹に係わる問題であるものの、これを直接取り上げた基準は存在しません。このディーセント・ワークと相容れず、許容できない問題に取り組む緊急の行動を求める声に応え、新たな基準の採択を目指す2回討議手続きの1回目の討議が行われます。
『仕事の世界における男女に対する暴力とハラスメントに終止符を打つ』と題し、仕事の世界における暴力とハラスメントの現状を、その内容、関係者、発生場所、影響、推進要素、リスク要因、危険度が特に高い職種や集団などの切り口から解説し、国際・国内の取り組みをまとめた報告書(Report V(1) )と、これに関する基準設定についての加盟国政労使の見解を記した報告書(Report V(2) )の2冊の討議資料をもとに、2年越しの検討が開始されます。
うまくいけば、来年にはILOのパワハラ条約・勧告ができるということになるかもしれません。
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