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EUの公益通報者保護指令案

大内伸哉さんのアモーレブログが公益通報についてあれこれ論じているので、

http://lavoroeamore.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-c938.html(公益通報とは)

せっかくなので、先月(4月23日)公表されたばかりのEUの公益通報者保護指令案を紹介しておきます。

https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/placeholder_8.pdf

Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on the protection of persons reporting on breaches of Union law

いうまでもなく、EUが権限を有するのはEU法に関わることなので、EU法の違反を通報した人を保護するという指令案になるわけですが、実は、これ、人的適用範囲がかなり広くて、そこが興味深いのです。

いやまずその前に、物的適用範囲は狭くて、第1条に羅列している分野の中に労働法関係は含まれていません。まあ、逆に普通労働法は労働法の紛争処理システムがあるべきなので、消費者保護のコロラリーとしての公益通報に労働者保護法まで含まれている日本の法が不思議なのかもしれません。

それより、人的適用範囲です。

Article 2
Personal scope
1. This Directive shall apply to reporting persons working in the private or public sector who acquired information on breaches in a work-related context including, at least, the following:
a) persons having the status of worker, with the meaning of Article 45 TFEU;
b) persons having the status of self-employed, with the meaning of Article 49 TFEU;
c) shareholders and persons belonging to the management body of an undertaking, including non-executive members, as well as volunteers and unpaid trainees;
d) any persons working under the supervision and direction of contractors, subcontractors and suppliers.
2. This Directive shall also apply to reporting persons whose work-based relationship is yet to begin in cases where information concerning a breach has been acquired during the recruitment process or other pre-contractual negotiation.

今、消費者庁で検討している公益通報者保護法の改正では、労働者以外にも拡大しようかという話になっていますが、EUの指令案はそもそも労働者だけではなく、自営業者、株主や経営者、ボランティアや無報酬の訓練生なども含まれています。

思わずのけぞったのは、第d号の「請負業者、下請業者及びサプライヤーの指揮命令の下で就労するすべての者」というのまで入っていて、うむ、こちらの方では、労働法上の議論がかなりできそうです。

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