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仕事と家族@『情報労連REPORT』4月号

Dz2dujuqaaqeyb『情報労連REPORT』4月号をお送りいただきました。特集は「仕事と家族」です。

http://ictj-report.joho.or.jp/special/

まずは筒井淳也さんが「ポスト工業化で変わる家族のモデル 働き方改革と社会保障改革はセットで」で、

http://ictj-report.joho.or.jp/1804/sp01.html

日本の働き方は、労働時間と勤務地、職務内容が無限定で、会社の命令に従うことで安定した賃金を退職まで得るというものでした。
しかし、1990年代後半になると、こうした無限定な働き方に対する評価は一変しました。日本的な働き方は、出生率の低下という「国難」を生み出した最大の要因となってしまいました。

と論じ、

現状の問題は、さまざまな要因が絡み合って生じています。ただ、どこかを最初に変えるとすれば、働き方の見直しが出発点になってしかるべきです。
それには、無限定な働き方を見直し、共働き戦略を機能させることです。まずは、労働時間の規制をもっと厳しく大胆に行うことです。残業を原則なしとし、それでやりきれない仕事はやらない。そこをスタートラインにして、副作用が生じたら見直していけばいいと思います。
次は、転居を伴う異動を制限することです。もう一つは、無限定な配置転換を見直し、専門的な能力を高めることです。専門的な能力がないと離職後に再就職しにくいためです。

と、処方箋を書きます。さらに、それへの反発にも答えを用意します。

このように無限定な働き方を限定する話をすると、「限定社員は解雇されやすい」などの反論が出てきます。しかし、制度を変えれば何かしらの副作用が生じるのは仕方がありません。限定的な働き方を増やしながら副作用を抑えるための仕組みをつくる、ということが求められています。
そのためには、限定的な社員でも解雇や雇い止めの論理が乱用されないようチェックすることや、解雇された場合でも比較的安心なセーフティーネットをつくることが必要です。働き方改革は、働き方だけではなく、社会保障などの制度などとセットで実現していかなければなりません。現在は、後者の議論が不十分だと思います。

企業の生活保障と国家の生活保障のポートフォリオをどのように設計していくべきなのか、表層的な議論にとどまることなく考えていく必要があるのでしょう。

その他、

「日本型近代家族」は限界 家族形成をサポートする仕組みの充実を 千田 有紀

夫婦のすれ違いはなぜ起きるのか 「夫に死んでほしい妻たち」の気持ち 小林 美希

「ワンオペ育児」で疲弊する母親たち 家事・育児の分担をどうする? 藤田 結子

男性の働き方を見直すために「男性学」が提供する視点とは? 田中 俊之

パパたちが家族のために料理をつくれば社会は変わる 「パパ料理」を始めよう!滝村 雅晴

その転勤、本当に必要? 時代に合わせた転勤施策の見直しを 武石 恵美子

というラインナップですが、ここではちょっと目先を変えて「パパ料理」を。

パパ料理というのは、よく男性雑誌に出てくる「男の料理」とは違うのです。

家事というと聞こえはいいですが、最初は自分がつくった料理がおいしくて、毎週末凝った料理ばかりをつくっていました。洗い物はせずに、つくりっぱなしで終わり。おいしいところだけやって、酔っ払って寝るということをしていました。
その後、妻とトラブルがあって、自分は家事としての料理をしていなかった、趣味の料理をしていただけだということに気付きました。家族のために料理をしているつもりが間違っていました。
自分がつくりたいものをつくっても家族は喜ばない。家族のための料理は趣味のための料理とは違う。そこで、家族のための料理は男の趣味料理ではなくて、家族のためにつくる「パパ料理」じゃないといけないと気付きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

>日本的な働き方は、出生率の低下という「国難」を生み出した最大の要因となってしまいました。

ドイツだけじゃなくイタリアって出生率よくないですねシンガポールや韓国台湾香港もだけど、http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2014/26webhonpen/html/b1_s1-1-5.html ジョブ型や女性の雇用が拡大しているシンガポールが二本未満の出生率だとすると関係ないのではとも思いますね・・・ジョブ型社会同士でここまで出生率が違うことは

投稿: クセル | 2018年4月16日 (月) 23時43分

法政大 武石氏寄稿の以下の文章が素直にいいですね〜労働者の個別事情を…。
ーーーーーー
転勤の有無を要件とした処遇のあり方も見直す必要があると思います。転勤要件の有無によって、従業員に異なる賃金テーブルを設定する処遇のあり方は一般的です。しかし、転勤があるかもしれないだけで賃金テーブルや昇進可能性が異なることにどこまで合理性があるでしょうか。転勤可能性のある従業員に対して相応の手当を付けることに合理性はあると思いますが、賃金テーブルや昇進可能性が異なることには疑問があります。

日本では、長期雇用を優先するために、労働者が転勤を受け入れる図式がありました。これまでの転勤政策は、主に転勤する従業員の妻が働いていない世帯をモデルにしてきました。しかし、こうした世帯をモデルにした転勤政策には限界があります。

転勤は、企業の持つ強い人事権の下に行われます。転勤の抑制は、企業の持つ人事権の制限にもつながります。とはいえ、転勤の抑制によって、人事権のすべてが制限されるわけではありません。労働市場の変化を踏まえると、会社が有無を言わせず従業員を転勤させることができる時代は終わって、従業員の抱える個別事情を人事政策に反映させる必要が出てきているということです。企業はそうしなければ、優秀な人材を確保できず、人材の引き止めもできなくなります。転勤施策を見直さないことによるデメリットは大きいと言えます。

労働組合はこれまで集団的な労使関係の中で、一律的な労働条件を設定することに重要な役割を果たしてきました。その役割は今も大切ですが、ダイバーシティ推進という中で、労働者の「個別事情」を企業と擦り合わせるという役割が労働組合に期待されるようになっています。組合員の個別事情と切り捨てずに、一つひとつの事例に寄り添っていく運動が求められていると思います。

投稿: ある外資系人事マン | 2018年4月20日 (金) 06時50分

社会学の研究者には、日本、ドイツ、イタリアは「日独伊少子化三国同盟」などと言われているようですね。三国に共通するのが強固な「男性稼ぎ手モデル」の存在だということのようです。

投稿: IG | 2018年4月21日 (土) 10時23分

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