野川忍『労働法』
野川忍さんより『労働法』(日本評論社)をお送りいただきました。1100ページを超える分厚いテキストブックです。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7712.html
いやとにかく、労働法教科書の「枕」化現象は怒涛の如く押し寄せていますが、かつて商事法務から教科書を出した時には、まあそれなりに中くらいの分厚さだった野川テキストも、今回は堂々1000ページ越えグループに入ってきました。
と、外形的な形状ばかりあげつらっているようですが、内容的にもいくつか特色があります。わかりやすいのは、第6章として「国際的観点から見た労働法制の展開」があり、EU労働法までかなり詳しく紹介したり、使用各国の労働法と称して、米独仏英の労働法制を概観したりしている点ですが、これは前の商事法務時代の延長線上とも言えます。
もう少し中身に立ち入った特色は、これは中の記述をある程度じっくり読むと感じられるのですが、いわゆる教科書的な記述というよりは、ある論点について論文でも書いているかのようにやや身を入れて突っ込んで論じているところがいくつもあるのですね。就業規則法理とか解雇法理とか、野川さんがこだわりのある論点では特にその傾向が強いようです。
はしがき
凡例第1部 総論
第1章 労働法の意義と特質
第2章 労働法の生成
第3章 労働法に関する憲法の規制
第4章 労働法の多角化と判例法理
第5章 労働法制におけるコントロールツール
第6章 国際的観点から見た労働法制の展開第2部 個別的労働関係法
1 総説
第7章 個別的労働関係法の体系と対象
第8章 個別的労働関係法の特質・効力・適用範囲
第9章 労働者と使用者
第10章 就業規則2 労働契約法
第11章 労働契約法総論
第12章 労働契約の成立・展開
第13章 労働契約の終了
第14章 非典型雇用
第15章 企業変動と労働法制3 労働者保護法
第16章 労働憲章と労働者の人権
第17章 男女雇用平等法制
第18章 育児・介護と次世代育成の支援
第19章 賃金の法規制
第20章 労働時間の法的意義と基本構造
第21章 年次有給休暇
第22章 安全衛生と労災補償第3部 日本の雇用政策
第23章 雇用政策の法的構造
第24章 特別な対象者に対する雇用促進政策第4部 集団的労使関係法
第25章 労働組合
第26章 団体交渉と労使協議制
第27章 労働協約の法的構造
第28章 団体行動の法理
第29章 不当労働行為救済制度第5部 労働紛争解決システム
第30章 労働委員会による労使紛争解決システム
第31章 多様な労働紛争解決システムの諸相事項索引
判例等索引
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