関めぐみ『〈女子マネ〉のエスノグラフィー』
おりしも選抜高校野球大会も明日決勝という今日この頃、テレビ画面に映る女子マネージャーたちの姿を見ながら、そもそもこの「女子マネ」って何なんだろう、とふと思ったあなたにぴったりの本・・・というような売らんかなの宣伝文句はいらないでしょう。関めぐみさんから『〈女子マネ〉のエスノグラフィー 大学運動部における男同士の絆と性差別』(晃洋書房)をおおくりいただきました。ありがとうございます。
http://www.koyoshobo.co.jp/book/b353292.html
現在の日本の〈女子マネ〉制度は性差別問題を抱えている。しかし、女子マネージャーたちの主体的な実践によって、活躍の場として作り変えられるのではないか。本書では彼女らの経験を参考に、制度の根底にある「異性愛男性中心社会」を問いなおす。
細目次はリンク先にありますが、正直、どうしてわたくしなどにお送りいただいたのだろうと、いささかよくわからない感がありました。
と思って、読んでいくと、私の本からの引用がされている部分がありました。
3.メンバーシップ型組織からジョブ型組織へ―めざす主体位置の再設定
解説の後、次のような記述が続きます。
・・・このメンバーシップ型の組織構造は、部活動文化にも応用できると考えられる。例えば、部活動においても、「入部」の時期は入学してすぐの「新規入学者定期採用制」となっており、「引退」の時期も学校卒業の時期に合わせて設定されている。また、部活動では選手もマネージャーも同じく「入部」し、「部員(メンバー)」として迎え入れられる。そして両部員ともに長時間の拘束が義務付けられており、特に選手が部活動に費やす時間はマネージャーに比べて長く、この長時間の活動が「まじめな部員」である証しとしてみなされる傾向にある。組織へのこのようなコミットメントは、義務教育を受けている年齢から「自由活動」であるはずの部活動を通じて学習されるもので、大学というさらに自由な教育環境となっても体育会系では継続されるのである。そしてそれが、就職活動において企業組織から高く評価されるのである。つまり、部活動と企業文化を貫く「メンバーシップ型」の仕組みによって、男性と同等にコミットできない女性は劣位に置かれるのである。・・・
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