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2018年4月19日 (木)

樋口美雄・石井加代子・佐藤一磨『格差社会と労働市場』

25070樋口美雄・石井加代子・佐藤一磨『格差社会と労働市場 貧困の固定化をどう回避するか』(慶應義塾大学出版会)をいただきました。

http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766425079/

日本の格差拡大現象をダイナミックに分析!

「一億総中流」時代が去り、日本でも所得、資産はもとより就業機会、教育から時間貧困、健康に至るまで、格差が拡がっている。
新たなパネルデータを使ってこの主因を解明し、不平等の拡大と固定化をストップさせるための方策を「雇用モデルの変容」「最低賃金や能力開発支援等の積極的雇用政策」「教育の機会均等」「税や社会保険・社会保障給付」などの労働経済学の視点から分析する本格的研究。
▼所得格差、資産格差のみならず、就業格差、、教育格差、健康(病気になったとき病院へいけるかどうか)に至るまで、持てる者と持たざる者、勝ち組と負け組みの格差はますます大きくなる一方である。このギクシャクした社会になった主因はどこにあるかを、新たなパネルデータを使って解明する。
▼不平等のさらなる拡大と固定化をストップさせるための方策を考察し、各章末に分析の結果得られた見解を「結論」として示す。

家計の所得の変動、労働市場の変容、就業形態と家族形態との関係、非正規労働者の賃金引き上げ、マクロの景気変動が家計に与えるショック、医療サービスへの接近可能度合い、「時間貧困」が家庭内に与える影響、格差が将来の教育にどう作用するか、格差と健康との関係など、労働経済学からの多面的なアプローチによって今日のわが国の現状をつぶさに解説。

目次は以下の通りですが、

第1章 日本の所得格差は拡大したのか
――固定化が進んでいるのか

第2章 労働市場はどう変わったか
――各国における雇用・就業率・失業率・生産性・賃金格差の変化とわが国の特徴

第3章 非正規労働者の増加は所得格差を拡大させたのか

第4章 非正規労働者の賃金引き上げに何が有効か
――最低賃金、同一労働・同一賃金、無期転換、能力開発支援
 
第5章 リーマン・ショックは所得格差にどのような影響を与えたか
――景気変動と有配偶世帯の所得格差

第6章 所得格差は医療サービスのアクセスビリティに影響しているか
 
第7章 時間貧困・経済貧困は生活の質と健康にどう影響しているか
 
第8章 教育は所得階層の固定化をもたらしているか
――求められる教育の機会均等諸施策

各章の最後の結論をその見出しを(若干書き換えも含め)並べる形で示せば。

1日本の所得格差と貧困は拡大してきた。

2日本の賃金は低下し、中間賃金層は減少してきた。

3世帯単位で見た場合、女性就業者の増加は所得格差を縮小させる。

ということになりますが、とりわけ重要なのは第4章の結論でしょう。

非正規労働者の賃金引き上げに何が有効か?

結論部分だけ引くと、

・・・この時期の最低賃金の引き上げは、非正規の低賃金労働者の賃金を引き上げ、賃金格差縮小に貢献したこと、また、これによる雇用削減は20歳以上の人に限定すれば観察されなかったことが確認できた。

また興味深いのは第8章の結論部分で、親の学歴と子供の学歴が強く相関し、世代間で格差が継承されているというのはよく言われていることですが、では家庭の経済状況による教育格差を解消するために何が有効な手段なのか、についてこう述べています。

・・・なかでも、日本学生支援機構による「予約採用型奨学金」という進学先が未定の状態で高校生のうちに申し込むことができる新しい制度に着目して、その効果について分析した。その結果、「予約採用型奨学金」は、低所得層の大学進学率を向上させる効果があることが確認できた。さらに、奨学金を得て大学進学をしたことで、大学進学を断念した場合よりも高い所得を得ていることも明らかになった。・・・

ここはもう少し突っ込んで知りたいところです。

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