白河桃子『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』
白河桃子『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』をPHPの編集者の方からいただきました。昨年7月に出た本ですが、いろんな意味で、きちんと読まれるべき本だと思います。
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83152-7
昨今「働き方改革」という言葉が叫ばれている。しかし、それによって悲鳴を上げている現場は少なくない。“残業削減しろ、予算達成しろ、あとはよろしく”といった「現場へムチャぶり」の「見せかけの働き方改革」では、社員は疲弊し、生産性は落ち、人が辞めていく。
政府の働き方改革実現会議で有識者議員を務めた著者は、真の働き方改革とは言わば「会社の魅力化プロジェクト」と説く。それは経営改革であり、「昭和の活躍モデル」からの脱却なのだ。
地に足のつかない威勢のよい議論と現場の苦悩とが切り離されたままの状態が健全なはずはありません。
そう、たとえば、紙面では威勢のよい新聞社。
・・・先日、全国の新聞社の経営トップが出席する会議で、「働き方改革」について講演をさせていただいた。その後の経営担当者会議にも出席したのだが、皆さんの表情がとても暗い。新聞社と言えば、長時間労働が当たり前という業界。そこに、法的上限規制が入ると言うことで拭いようのない「やらされ感」が漂っていた。しかし、何か改革をしないわけにはいかない。「実労働時間が把握できない」ということや、慢性的な長時間労働による新聞社自体の「人材不足」、新聞配達員の不足など、経営者は様々な経営課題を抱えていた。・・・・
いやまあ、当然そうだろうなと思いますが、その辺の経営組織体たる新聞社の悩みが、その商品たる新聞紙上には全然出てこず、完全に正義の味方が悪を討つかの如き商品化された売りもの言説ばかりが垂れ流されるという事態一つとっても、なかなか問題の本質を論ずるのは難しいということなのでしょう。
新聞社自身が取り上げられないことに、本書は果敢にアタックしていきます。
・・・テレビや新聞といったメディア業界は、やりがいはあるが、マッチョで長時間労働が当たり前となっている職場の代表例だ。メディア業界で働く、女性記者たちの本音の座談会をお届けする。
好きな仕事に就いているのに、なぜ彼女たちは苦しいのか?そこには女性が活躍できない理由がたくさん潜んでいる。・・・
ということで、彼女たちの語る言葉は、紙面では長時間労働を偉そうに叱りつけるマスメディアの姿を浮き彫りにしてきます。
白河 メディアでの仕事は基本的に長時間労働ですよね。
山口 新聞は「24時間労働」がデフォルトです。
小関 テレビも、報道、バラエティ、ドラマ、どの部門も24時間労働です。
佐藤 24時間働けない人は「使えない人」認定されます。「B級労働者」扱い。
山口 ずっと「休みは悪」であるかのように教わってきました。
小関 私たち自身が「24時間がんばるマン」でオジサンに同化してやってきちゃったんですよね。
・・・
白河 今後メディアは、働き方改革や女性活躍に向けて変わっていくでしょうか。
小関 完全に義務化しない限り、メディアが一番変わらないかもしれない。
佐藤 「メディアは例外」と思っているんです。「テレビや新聞だから、しょうがないじゃん」って。
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