河合薫『残念な職場』
河合薫さんの『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83793-2
なぜ無責任な人ほど出世するのか。職場の「暇な50代」をうまく生かすためには? 研究結果と具体例を挙げて問題の本質と解説策を説く。
出てくる「残念な」人たちの姿が、あまりにも残念なので、ちょっとだけ紹介しておきますね。
まず軽く、プロローグに出てくる社長さん。
講演にきた河合さんに対して、
「私はね、常々これからは女の時代だって、部下たちに言い聞かせているんです。
女性の方が優秀だし、男たちはめっきり弱くなっちゃいましたからね。結婚式にいったって、新郎の方がわんわん泣くんだものね。困っちゃうよね。
なんでうちの会社には女性の役員がいないのかね。私は、女性を積極的に登用しなさいって、さんざん言ってきたつもりだけどねえ」
ところが、その後講演会場に向かうエレベーターで、この社長さん曰く:
一緒に乗り合わせた女性社員が先に降りたときに、こう言い放ったのです。
「あれはうちの社員か?女は3歩下がってついてくる、という言葉を知らんのかね」
たぶん、自分では矛盾したことを言ってるつもりなんかけらもないんでしょうね、この社長さんは。
も少し深刻な話は本の中盤に出てきます。
「責任感や几帳面さは、昇進にマイナスに作用する」「業績と昇進は関係ない」というだけでなく、「業績を上げたことが仇となり、飛ばされる」という意味不明も起こります。
「モリさん(仮名)は死んでいた部署を再生させた。僕たちもものすごくお世話になりました。多くの社員がモリさんのおかげで、仕事の面白さを知り、成功体験をさせてもらった。そのモリさんが外されるのはショックです。結果を出しているんだから評価されて当然なのに」
なぜそういうことが起こるのか、そのあとに出てくるモリさんとの対話で、モリさん自身がこう絵解きをしてくれます。
・・・ただね、会社は部下を育てる上司も、チーム業績を上げた上司も評価しない。600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです。
・・・つまり、上の方針や考えていることをうまく汲み取って動いた人が評価される。うちの会社は、IT系に事業展開したかった。5億はその赤字だったのでお咎めなし。
・・・それができる人が上から認められる。逆に下ばかり見ていると、上を見る余裕がなくなって、上から嫌われてしまうんです。
なるほど。
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