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なぜ、障がい者と健常者は交ざり合うことができないのか

Worksリクルートワークス研究所より『Works』147号をお送りいただきました。特集は「インクルージョンにはテクノロジーを」で、障害者のインクルージョンがテーマなんですが、おそらく編集者が意図した「テクノロジーを活用せよ」以前の問題があるのではないかという印象を持ちました。

http://www.works-i.com/publication/works/backnumber/w_147

■第1特集
インクルージョンにはテクノロジーを

●すべての人をインクルージョンするとはどういうことか
・障がい者にも権利と配慮と責任を
・障がい者が能力を発揮する障壁となるのは何か
・なぜ、障がい者と健常者は交ざり合うことができないのか
・障がい者と健常者が交ざり合って働く組織では何をしているのか
・Column: 障がい者が望む配慮やテクノロジーとは

●能力を補い、拡張する技術、すべての人を交ぜる技術
・ FILE 1:全身や四肢の機能障がいを支援する
・ FILE 2:足の障がいを支援する
・ FILE 3:視覚障がいや識字障がいを支援する
・ FILE 4:聴覚障がいを支援する
・ FILE 5:人々の意識を変える
・ Column:高齢者をインクルージョンするテクノロジー

●すべての人をインクルージョンするために私たちはどう変わるべきか
為末 大氏 × 石原直子(リクルートワークス研究所 人事研究センター長)

まとめ:テクノロジーが、“標準であること” を無価値化する

というのは、「なぜ、障がい者と健常者は交ざり合うことができないのか」という問いに、「なぜ、健常者同士は「交ざり合う」ことができるのか」、いやそもそも健常者同士は「交ざり合」っているのか、と感じたからです。

実を言うと、日本の職場では、健常者の正社員はお互いに「交ざり合」っているどころか、「溶け合」っているのではないか。一人一人に職務が明確に規定されている訳ではなく、そのときの状況に応じて臨機応変に仕事の範囲が拡大収縮し、集団全体としてうまく回るようにみんなが動き合う世界。そんな世界に、それができない障害者が放り込まれれば、「交ざり合う」ことすらできなくなり、結局障害者は面倒くさいから、特例子会社でまとめて面倒を見ようということになりがちなのではないか。

障害者問題を考える上で実は重要なのは、「溶け合」わずに「交ざり合う」ことができるのかということなのではないかと思うのです。

第2特集の「執行役員制度改革という新・人事課題」も、なかなか面白い問題を提起しています。

宮島英昭さんが述べるこの言葉は、なかなか耳にいたい所もあるのではないでしょうか。

「長期雇用を前提とし、年功的な処遇が行われる日本企業では、その期の賃金をインセンティブとして機能させるのは難しい。そのため、能力が高く、会社に対して忠誠を尽くした従業員に対するインセンティブとして、昇進という形での処遇が必要になりました。昇進の究極の形である取締役は、日本的雇用慣行を支えるうえで欠かせない存在だったのです」(宮島氏)
 その取締役の数を減らすとなると、昇進というインセンティブが効かなくなってしまう。「取締役は減らしたい。一方で日本的雇用慣行は維持したい。その両方を実現するのに、会社法上は役員ではないが、取締役に次ぐポジションである執行役員は、魅力的な選択肢でした」(宮島氏)
 多くの企業は、制度を導入するにあたって、それまでの取締役のうち、いわゆる“ヒラ”取締役をそのまま執行役員に移行させた。そのため処遇を見直したり、序列を組み替えたりするような大きな変化もなく、企業も従業員も抵抗なく執行役員制度を受け入れることができたともいう。
 こうした理由で、日本企業には執行役員制度が浸透した。だが一方で、これらの運用上のメリットは、現在につながる大きな課題の温床ともなったのである。

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コメント

濱口先生、ご高覧いただき感謝申し上げます。
先生のご指摘どおり、日本の企業では、正社員(もっと言ってしまえば、「新卒入社・大卒・日本人・男子・健常者の」正社員)は、交ざり合うどころか溶け合っているのかもしれません。溶け合っている中で、横目で「同期」の中での自らの出世の速い遅い、あるいは評価の高い低いを異様なほどに意識し、平均(より上)であることに安心を見出す、この構造の中では、異質なものは目障りでしかなく、秩序を乱すものとなりますね。引き続きよろしくお願いいたします。

投稿: 石原直子 | 2018年4月12日 (木) 17時48分

僻目からのコメントをしてしまい恐縮です。

以前、生産性新聞にこういう文章を寄稿したことがあり、障害者雇用と日本型雇用というテーマはずっと気になっています。

https://www.jpc-net.jp/paper/zokunihonjinji/20160225zokunihonjinji.pdf

投稿: hamachan | 2018年4月12日 (木) 20時24分

上記のままのURLですと見る媒体によっては記事が見られないので短縮URLを作成しました。
https://goo.gl/Ep43BF

投稿: Dursan | 2018年4月13日 (金) 19時22分

「交ざり合う」ことはいくらでも可能ですよ、もっともジョブ型組織がベースになりますが…。そこでは、各人の「職務」は限定されますので、(健常者も含めて)そもそも自分に務まりそうもない(スキルのない)タスクはマネジャーからアサインされませんし。例えば、聴覚障害者がプログラマーとして(職場の余計なオーラルコミニュケーションに邪魔されずに)メールベースで正確に職務を遂行するなど、ジョブ型組織であればいくらでも対処の仕方はありますね。

濃密な人間関係をベースにした日本企業の「溶け合う」仕事の進め方や働き方に実存的な違和感やアイデンティティの危機を感じてしまうセンシティブな方には、思い切ってジョブ型組織で働かれることをお勧めしています(〜たまに若者からキャリア相談を受ける際に)

投稿: ある外資系人事マン | 2018年4月14日 (土) 10時59分

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