三浦まり編『社会への投資』
三浦まり編『社会への投資 〈個人〉を支える 〈つながり〉を築く』(岩波書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.iwanami.co.jp/book/b352584.html
〈社会への投資〉とは,個人への投資に加えて,人びとのあいだの信頼・協調関係への投資を行うことである.人びとが安心し,信頼しあって暮らしていける社会をつくるための新たな「社会的投資」のあり方を,諸外国との比較を通じて提言する.執筆者=三浦まり,濵田江里子,金成垣,水島治郎,千田航,大沢真理,駒村康平,井手英策,宮本太郎
ということで、例によって生活経済政策研究所の研究会の成果をとりまとめた論集です。目次は下記の通りですが、
ヨーロッパや韓国の動向を踏まえつつ、日本のこれからのポスト福祉国家戦略としての社会的投資戦略を構想しています。
はじめに …………… 三浦まり
第Ⅰ部 社会への投資,その世界潮流
1 社会的投資戦略の総合評価 …………… 濵田江里子・金成垣
2 自律・参加・コミュニティ──オランダにおける社会的投資戦略への転換 ……………水島治郎
3 フランスの社会的投資と家族政策・最低所得保障 ……………千田 航
4 子どもの貧困対策にみるイギリスの社会的投資戦略の変遷 ……………濵田江里子
5 社会的投資戦略に求められるもの──韓国の経験と教訓 …………… 金成垣
6 日本における社会的投資戦略の静かな浸透? ……………三浦まり・濵田江里子
第Ⅱ部 日本はどうするべきか
7 「社会への投資」としての貧困削減 …………… 大沢真理
8 長寿社会における基盤整備としての人的資本政策 …………… 駒村康平
9 変革の鍵としてのジェンダー平等とケア …………… 三浦まり
10 「社会への投資」を支える税の構想──分断,そして租税抵抗との闘い …………… 井手英策
終 章 「社会への投資」に向けた総合戦略 ……………三浦まり・宮本太郎・大沢真理
あとがき ……………三浦まり
この社会的投資、90年代にそれまでの福祉国家が新自由主義に批判されたときに、それに変わる新たなモデルとして颯爽と登場し、イギリスのブレアやドイツのシュレーダーらにとどまらず、EUの戦略としてももてはやされたし、私も当時その驥尾に付して「出羽の守」商売をやっていただろう、といわれればその通りです。
それがその後、投資に当たらない消費的支出の削減、劣悪な雇用環境への追い込み、貧困の連鎖等々といった諸問題が指摘され、もう一段深めた社会的投資の考え方を構築しなければいけない、というのがイマココということなのでしょう。
だいたいこういうのではキーノートスピーカー的役割の宮本太郎さんは今回はやや後方に下がり、三浦まりさんが前面に出ているのは、ジェンダーとケアが変革の鍵だというメッセージなのでしょうか。
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