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2018年4月 9日 (月)

連鎖する貧困@週刊東洋経済4月14日号

04051444_5ac5b7d90b332『週刊東洋経済』4月14日号をお送りいただきました。特集は「連鎖する貧困」です。

https://store.toyokeizai.net/magazine/toyo/20180409

【第1特集】連鎖する貧困 
日本には平均年収が186万円の層「アンダークラス」が約900万人。非正規労働者を中心に、低収入から抜け出せない人たちが多数いる。さらに懸念されるのが子どもの貧困。相対貧困率で見れば7人に1人が貧困状態だ。貧困の固定化をどう防ぐか? 分断社会にしないための方策とは?

・アルマーニ騒動が浮き彫りにした子ども格差
・前川喜平(前文科次官) × 湯浅誠  (社会運動家) 「子どもの貧困は看過できない」
・「幼児教育の無償化」より「待機児童の解消」が優先されるべき
・都心名門校に群がる富裕層 知られざる公立小格差
・親の所得の高い番町小学校(千代田区)、佃島小学校(中央区)、南山小学校(港区)…
・階級社会を図示 ニッポンの所得ピラミッド
・「新・日本の階級社会」を書いた橋本健二・早大教授インタビュー
・生活保護費切り下げで、アンダークラスはどうなる

一方で、アンダークラスの人々の絶望的な姿をえぐり出しながら、他方で「平均年収が高い学区ランキング」とかを並べて、そういう劣情を適度に刺激するテクニックも見事です。いや皮肉です。

もちろん、問題意識は概ね的確。とりわけ、「幼児教育の無償化より待機児童の解消が優先だ」ってのは、百万遍繰り返してもいいくらいでしょう。

一点だけやややぶにらみ気味の文句を言うと、前川喜平さんと湯浅誠さんの対談で、前川さんが

高校中退を防ぐのも貧困対策の大事なテーマだ。私が行っていた出会い系バーでも女の子はほとんど中退で・・・

と、言い出したその後に、

中退をなくすには数学の必修を廃止するのがいい。・・・

その一番の要因は数学にあると思っている。・・・論理的思考力を養うために必要というが、それは国語の授業でやったらいい。

などと、ヘタレ文系丸出しの議論を展開してしまっていること。

いやいや、それって、中教審で数学が役に立ったためしがないとかのたまわった某作家女史といっしょじゃない。

世の中には様々な人が、子供が居るという基本を忘れていけません。むしろ、国語で作者の気持ちとか無理矢理やらされて意味わかんないと思っている生徒もいっぱいいるわけで。

アカデミックコースだけしか目に入らない教育論が、かえって事態をこじらせているようにも思います。文部科学事務次官までやった人の言葉の中に、職業高校というコースの積極的意義を語る一言もないのは、現在の教育論の貧困を象徴しているのではないでしょうか。

(追記)

https://twitter.com/tcy79/status/983840760167481344

高校での数学が論理的思考の学習に最適とは言いがたいのではないか。単なる思い込みだろう。

余計なことながら、そもそも数学を勉強する意味は、必ずしも「論理的思考力を養うため」というわけではありません。そういう発想で国語で代替できるとか言い出すこと自体が「ヘタレ文系」の典型なのであって、数学は世の中で生きていく上で有用な技術でもある、というより、圧倒的に多くの人にとってはそういうものであって、そこが目に入らないこと自体が、アカデミック偏見というべきでしょう。

上述した職業高校というコースでは、たとえば工業高校では工業数理という科目がありますし、文科系だってほんとはいっぱい使うんだけどね。そういう所がすとんと抜け落ちてるからヘタレ文系と言われるわけで。

 

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コメント

政府の会合で、”L型大学では経営学や流体力学ではなく会計ソフトや工作機械の使い方を教えるべきだ” と仰った経営者がいらっしゃいましたが、この方なら "L型高校(?)では(中学レベルの数学で十分だから)数学ではなく別の事を教えるべきだ"と仰るのでしょうか?

この号は立ち読みしただけなのですが、数学が原因で高校を中退する生徒は(中学の数学は理解しているが)高校で数学が理解できなくなったのではなく、それ以前の数学も理解できていない(九九も怪しい)人が多いそうです。ですから数学が原因で中退する人を減らすには、数学の必修を廃止するより中学以前の数学を復習できる仕組を作るほうが有効だと思います。学生にbe動詞や反比例の講義を行っている大学があるそうですが、できれば大学以前にそのような教育をする場所があればと思います。前川氏は退官後は学習支援組織で教えているそうですが、そのような仕組が増えればいいと思います。

中学までの数学(算数)は、自転車や逆上がりと同じで繰り返し練習すればほとんどの人が理解できると思います。落ち着いて学校で習った事を復習できる環境自体が贅沢であるような状況の子供が増えているのでしょうか

投稿: Alberich | 2018年4月17日 (火) 21時55分

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