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2018年3月14日 (水)

榎一江編著『戦時期の労働と生活』

9784588625398_0大原社研の金子良事さんより、 榎一江編著『戦時期の労働と生活』(法政大学出版局)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-62539-8.html

戦時統制下の日本において戦争遂行のために推進された政策や運動はいかなる論理をもって展開され、人々の日々の営みと労働のありかたをいかに変えたのか。産業報国会に関する貴重な資料の調査プロジェクトを軸として、経済史・労働史・政治史・法制史・女性史・思想史の専門家らが、多様な文脈をふまえて総力戦体制を論じ、社会の構造的変化を明らかにする。

というわけで、私の問題関心からも大変興味深い本です。

とりわけ、産業報国会を扱った

第二章 産業報国運動は手段か目的か──鮎澤巌の視点から(松田 忍)

第三章 産業報国会とドイツ労働戦線(DAF)──形成過程の比較と日本におけるDAFに対する認識(枡田大知彦)

はとても面白かったです。というか、実は枡田さんの使っている森戸辰男『独逸労働戦線と産業報国運動』はJILPTの図書館にも置いてあり、結構熱心に読んだ記憶もあったりします。

ただ何というか、全体としてやや散漫な感があり、全体を貫く問題意識がよく読み取れない感も受けました。

いや、それがまさに終章で提示されている「勤労イデオロギー」だということなのでしょうが、

終 章 勤労イデオロギーに包摂される労働と生活(松田 忍)

金子さんの論文は、とりわけ協調会の時局対策委員会に注目して人口政策確立要綱に至る流れを概観しています。私の関心とはややずれる分野ではありますが、この時期の社会政策の動きの人的構造がかなり明確に示されていて、興味深かったです。

第四章 戦時「人口政策」の水脈(金子良事)

あとまあ、やはり、『働く女子の運命』でかなり紙数を割いた戦時期女性労働政策については、堀川さんの論文が現代的関心から鋭く突っ込んでいます。

第七章 戦時期における女性労働政策の展開──総動員体制下の健康と賃金に焦点をあてて(堀川祐里)

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コメント

濱口先生、早速、ご紹介していただき、ありがとうございます。堀川さんとは学会報告も一緒にやって、いろいろ議論したので、彼女の論文をほめていただき、とても嬉しいです。

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