中野円佳『上司の「いじり」が許せない』
中野円佳さんより『上司の「いじり」が許せない』(講談社現代新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884693
「いじめ」と「いじり」の最も大きく違うのは、「いじめ」は被害者に対して悪意を持って行われるものですが、「いじり」は加害者側が被害者に対し「愛ゆえの行為」「良かれと思ってやっている」点です。しかし、「いじり」の被害者は、加害者の思いも寄らないほど精神的にダメージを受け、「線路に飛び込みそうになった」り(取材した某一流企業勤務総合職女性のコメント)します。
本書では、日本でおそらく初めて職場における「いじり」について真っ正面から向き合い、実態調査し、問題提起します。「いじり」の被害者はもちろん、「自分も加害者かもしれない」と思い当たる節のある多くの読者の方に手に取っていただけたらと思います。
『育休世代のジレンマ』で一気に働く女子たちの代弁者としてブレイクした中野さんの新著は「いじり」がテーマです。
本書のもとは、ちょうど1年近く前にネットメディアの「現代ビジネス」に書かれたこの文章で、
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51374(「コイツには何言ってもいい系女子」が密かに我が身を切り刻んでる件)
これに対する反響が余りにも大きかったことから、遂にこの本にまで結実することになったようです。
いじりはいじめに劣らず被害者の心をさいなむにもかかわらず、いじめのように取り上げられることがありません。
電通の高橋まつりさんの事件を、もっぱら長時間労働問題というストーリーでのみ論じること自体が、たとえそれが長時間労働に対する正当な批判意識からくるものであったとしても、結果的に、「女子力がない」と彼女をいじり続けた上司の行為から目を背けることになってしまっているのかも知れません。
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