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2018年3月16日 (金)

ポスドク問題@『DIO』335号

Dio 『DIO』335号をお送りいただきました。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio335.pdf

特集は「科学技術立国日本を支える若手研 究者育成に向けて〜現状と課題〜」です。

日本の科学技術系人材育成政策(1990-2017) 綾部 広則

日本の若手研究者育成はどこを目指せばよいのか? 永野 博

ポスドクと任期付研究員の就業環境とその実態 後藤 新悟

問題意識は日本の若手研究者の不安定なキャリアにあります。

綾部さんの論文は、出口問題を考えずに量的拡大路線にまい進してきたうえに、任期制の導入で、将来展望を描けなくなったというこの間の流れを描き出しています。

任期制は、研究者の流動化促進と業績向上の一石二鳥を狙ったものだったようですが、結果的に若手研究者がそのしわ寄せを受けたということですね。

後藤さんは長くポスドクの職を渡り歩き、40歳になってようやく任期なし研究員の地位を得た方ですが、そのポスドク時代の描写は、いろいろと考えさせます。

・・・国の研究機関でポスドクをしていたときに は高度な研究設備と研究支援者らのサポート をうけ研究環境としてはとても充実してい た。当時の上司の計らいで雑用もほとんどな かったため、研究に専念できる環境であった。 また、同年代で優秀なポスドク、任期付研究 員が同じ研究室に数名所属しており、彼らと 常日頃からディスカッションを繰り返すこと で研究者として大きく成長できた。さらには、 上司とのディスカッションの経験は今の研究 者としての礎になっている。これら研究機関 で知り合った研究者とのコネクションは任期 なしの研究職を得る上でも今後の研究活動に おいても大切であると痛感している。こうし たことからポスドクや任期付研究員の経験は 研究者としてのとても重要なキャリアパスで あることは間違いない。

 しかし、一方で限られた任期の中で研究成 果を出さなければ、次の職を得ることができ ないプレッシャーは大きな精神的ストレスで あり、長時間労働の原因でもある。また、長 期的な展望をもった研究や挑戦的な研究をす ることができないことは日本のアカデミアに とって大きな損失である。さらには大きな研 究成果を出したとしてもタイミング等の影響 で必ずしも任期なしの研究職を得られるとは限らない。少なくともこのような厳しい状況 の中で、大きな研究成果をあげたポスドクや 任期付研究者を任期なしの研究職に採用する テニュアトラック等の制度をもっと幅広く運 用すべきである。また、ポスドクや任期付研 究員は日本の未来を支える貴重な人材であ る。彼らが民間会社、中学高校の教育職、科 学館職員などアカデミアの研究職以外でも活 躍できるよう国を挙げてのサポートを行って いく必要があるのではなかろうか。もちろん ポスドク自身もアカデミア研究職以外にも目を 向ける必要がある。

 

 

 

 

 

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