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2018年3月19日 (月)

非正規が消える@『週刊東洋経済』3/24号

03151648_5aaa25507adf5 東洋経済に戻った風間直樹さんより、彼が多くの特集記事を書いている『週刊東洋経済』3/24号をお送りいただきました。「非正規が消える」という特集です。

https://store.toyokeizai.net/magazine/toyo/20180319

今年、契約社員・パート・派遣の雇用ルールが一変する。4月開始の「無期転換ルール」の対象者は450万人。有期雇用で5年を超えて契約更新する人が希望すれば、無期雇用に転換しなければならない。経営者、管理職層は必読の特集。

・管理者必読、漫画でわかる「無期転換ルール」
・基礎知識Q&A「誰が対象に?」「今から雇い止めは?」
・先行企業に学ぶ実務対応のツボ
 (クレディセゾン、みずほフィナンシャルグループなど)
・今すぐ始められる「無期転換への対策」チェックリスト&フローチャート
・「同一労働同一賃金」を前に訴訟が頻発!
・9月に労働者派遣法の抜本改正で、派遣料金は2割上昇との見方も
・政労使のキーマンを直撃 厚生労働大臣&連合会長

5年で無期転換が目前に迫るいま、JILPTも労働政策セミナーをするのですから、東洋経済の特集は不思議ではありませんが、さすがに様々な観点からの記事をちりばめています。

面白かったのは、「人事部長覆面座談会」です。それも、最後のところの、同一労働同一賃金について懸念を述べているところが、本音を垣間見せています。

Cさん ・・・ただ悩ましいのが、今後この議論が正社員間での同一労働同一賃金へと踏み込んできたときの対応だ。確かに欧米では、同じポジション(ジョブディスクリプション=職務記述書)だったら同じ賃金になるジョブ型雇用が原則だ。職務範囲を明確に定めず年功序列を基にする職能給制度の日本のメンバーシップ雇用とは大きく異なり、ややこしいことになる。情報が少なく、人事担当者間の意見交換でもホットイシューになっている。

Aさん 海外の人事も担当してきたが、欧米では育成のための人事異動は本当にやりにくい。社内で人を育てるという発想がないし、自分の職域から出ていかない。

政府の議論を聞いていると、同一労働同一賃金の名の下、メンバーシップ型の雇用形態を否定しようとしているように感じる。両方に携わった身からすると、日本の強みを奪いかねないと懸念している。

AさんもCさんも製造業の人事担当者なので、日本型雇用のメリットが失われることに対してかなり強い不満を抱いていることが窺われます。

 

 

 

 

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コメント

>>欧米では育成のための人事異動は本当にやりにくい。社内で人を育てるという発想がないし、自分の職域から出ていかない。

しかし、日本企業が社内で育成した人材が何の専門性も持たず、外部労働市場で評価されないという事態をどう考えるかでしょうね。日本企業の社内における社員教育は社会全体で見ればほとんど人的資源の形成につながっていないのではないか。

結局日本企業の強みと言われるものの実態は、社員を企業のニーズに合わせて便利使いできるという程度のものではなかったのか。しかしその引き換えであった終身雇用や年功賃金による生活保障も危うくなりつつある昨今、長期的に維持できるものではないでしょう。

一方、政府の働き方改革も、欧米と同じように同一労働同一賃金を導入しようとするのであれば、欧米と同じように政府が生活保障を負担するしかないということも自覚すべきです。欧米の都合のよいところだけつまみ食いするような改革は必ず失敗するということは、この数十年に及ぶ経験から明らかでしょう。

生活保障、具体的には教育費や住宅費の政府負担を拡大するため、短期的には国債発行も辞さない大胆さが必要です。そうしなければ事態は進展しないでしょう。

あやしげな魅力を放つ、覆面座談会という名の本音トーク…。

記事全体をざっと拝読しましたが…、色々とご指摘がある中でも同一労働同一賃金への不満点は、配置転換や転勤(地方や海外赴任)を甘んじている人たち(いわゆる総合職)と、そうでない人たちとの間での負担感の違いですね。それが仮に純粋な同一労働同一賃金になると、そうした負担の差が全く考慮されずに「同じ仕事だから同じ賃金でしょう」ということになってしまうのではないかという懸念があるようです。

そこで私からは二点ほど。まず「日本型」同一賃金同一賃金では、上記のような(職務内容が同一でも人材活用の仕方が異なる)ケースでは、少なくとも現時点では両者の賃金差は容認されるはずです。というのも、キャリアコースの異なる場合の処遇差には合理性があるとされるからです。次に、純粋なジョブ型雇用の世界における同一職務従事者の処遇差ですが、やはり個々人の経験や能力によって一人ひとりの賃金は実のところだいぶ個人差があります。

すると、日本のメンバーシップ型あるいは外資系ジョブ型のいずれの雇用システムにおいても「同一職務についている労働者の賃金を全く同一にしなくてはいけない!」ということでは決してありません。人材活用の仕方にせよ、個人の経験や能力にせよ、その違いに経済合理性がある限り、異なる労働力の価値すなわ賃金はやはり異なってしかるべきものですし、実際に異なるのです。そうした「現実」を見ずして同一労働同一賃金のマントラに呪縛されてしまうのは、いわば「ツルツルとした氷の上に迷い込んだ」理想主義的な誤った観念かと…。

先生の新書にもあるとおり、工職身分差別撤廃、生産管理闘争など、製造業は日本型雇用の「源流」ですね。QC サークル等もこの流れで理解すべきものなのかとも思いますし、実際に日本の工場というのは独立性が高いように思います。機械設備の導入も工場が主導になることが多いですし。

しかし、同一労働同一賃金やホワイトカラー・エグゼンプションの導入等の流れを考えると、「工職身分差別」の復活が必要とされているのかもしれませんね。キャリアとノン・キャリアを明確に区別して人事管理を行っていく必要性が出てきているのかと思います。我が国にとっては、欧米型への接近であると同時に戦前日本への回帰でもあるというのが歴史の皮肉を感じますが。

もっとも、実際の雇用の有り様というのは、結局は労使が自らの意思で決めることですから、いくら法制度を用意しても労使双方が望まなければ実現はしないでしょう。「空文」の法制度が増えるだけに終わるでしょうね。

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