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« 『日本労働研究雑誌』2018年2・3月号 | トップページ | 『Japan Labor Issues』2/3月号 »

2018年2月27日 (火)

山本陽大『第四次産業革命による雇用社会の変化と労働法政策上の課題』

JILPTの若手研究員山本陽大さんのディスカッションペーパー『第四次産業革命による雇用社会の変化と労働法政策上の課題』が公開されました。

http://www.jil.go.jp/institute/discussion/2018/18-02.html

本体はこちら:

http://www.jil.go.jp/institute/discussion/2018/documents/DP18-02.pdf

主な事実発見

「IT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、ビッグデータ等の新たなデジタル・テクノロジーの利活用による産業構造の変化(いわゆる第四次産業革命)は、雇用・労働分野に対してどのような影響を及ぼすのか?またそれによって、どのような雇用・労働(法)政策が新たに必要とされるのか?」。本研究は、かかる問いについて、日本における問題状況を相対的に捉えるための一素材として、ドイツ連邦労働社会省が2016年11月に公表した『労働4.0・白書』を中心に、ドイツにおける上記・問題設定に対する議論状況および取り組みについて、分析・検討を行ったものである。

それによれば、①ドイツにおいては、職場も含めた社会全体のデジタル化について、既に政・労・使におけるコンセンサスが形成されており、国家による支援を受けて、労・使双方にとって利益となる形での雇用社会のデジタル化研究が行われていること、②また上記・白書を中心に、雇用社会のデジタル化によって新たな課題が生じる政策領域については、主に既存の雇用・労働法システムの骨格は維持しつつ、その部分的拡充や適用範囲の拡大・縮小によって対応するといった形での議論が行われていること、③更にクラウドワークについては、一部の労働組合によって保護や規制をめぐる積極的な取り組みが行われていること、等が明らかとなった。

政策的インプリケーション

我が国においても、一方においてドイツにおける議論や取り組みを参考にしながら、しかし他方において日・独における雇用・労働(法)システムの相違を踏まえつつ、第四次産業革命(ないしデジタライゼーション)という新たな波に適応するための雇用・労働(法)政策、およびその決定プロセスを考えてゆく必要がある。

特に、ドイツにおける“労働4.0”をめぐる議論・取り組みのうち、①労・使双方にとってwin-winとなる形での雇用社会・職場におけるデジタル技術の利活用について、国家が積極的に支援・助成を行っている点、②雇用社会のデジタル化、およびそれに伴って必要となる雇用・労働(法)政策のあり方をめぐる検討(“労働4.0”)が、あらゆるステークホルダーを参加させた集約的な議論の場(Forum)において行われている点、③第四次産業革命により変化した雇用社会においても「良質な働き方(≒ディーセント・ワーク)」を実現するために、集団的労使関係システムが重要なインフラとして位置付けられている点は、日本も学ぶべきところが大きいように思われる。

というわけで、現在世界的に注目を集めているデジタル化と労働というテーマについて、大変見通しのよい展望を与えてくれます。

なお、山本さんは既にあちこちに引っ張りだこで、昨年末12月25日には労政審労働政策基本部会でプレゼンしています。

これはその時のプレゼン資料。

Youta_2


その時の議事録も既にアップされているのでご参考までに。この話を聞いて疑問に思うことなどがいろいろと質疑されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000194783.html

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