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「人材と競争政策に関する検討会」報告書

本ブログでも何回かその動きを紹介してきましたが、公正取引委員会の「人材と競争政策に関する検討会」が本日報告書を取りまとめたようです。

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/feb/20180215.html

報告書の本文は:

http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.files/180215jinzai01.pdf

その要約は:

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/feb/20180215.files/180215_02.pdf

とりあえず、要約版をコピペしておきます。

発注者(使用者)の共同行為に対する独占禁止法の適用

○ 複数の発注者(使用者)が共同して役務提供者に対して支払う対価を取り決めることは,原則, 独占禁止法上問題となる。

○ 複数の発注者(使用者)が共同して役務提供者の移籍・転職を制限する内容を取り決めること は,独占禁止法上問題となる場合がある。

○ 移籍・転職を制限する内容を取り決める行為が役務提供者の育成に要した費用を回収する目 的で行われる場合であっても,通常,当該目的を達成するための適切な他の手段があることから, 違法性が否定されることはない。

○ 例えば,移籍・転職を制限する内容を取り決める行為が,複数のクラブチームからなるプロリー グが提供するサービスの水準を維持・向上させる目的で行われる場合,そのことも考慮の上で, 独占禁止法上の判断がなされる

発注者の単独行為に対する独占禁止法の適用

発注者(一部行為は使用者)により役務提供者に対してなされる,①秘密保持義務,②競業避止 義務,③専属義務,④役務提供に伴う成果物の利用等の制限,⑤事実と異なる取引条件を提示す る行為について,従来の判断枠組みに基づき,自由競争減殺,競争手段の不公正さ,優越的地位 の濫用の観点からの考え方を整理。

○ 自由競争減殺の観点からは,一般的には,商品・サービス市場において高いシェアを有する発 注者の制限行為が,同市場において競争関係にある他の発注者の供給や参入を困難とするお それを生じさせる場合に独占禁止法上問題となる。

○ 自由競争減殺の観点での独占禁止法上の評価においては,問題の行為について,競争促進 効果・社会公共目的の有無,手段の相当性の有無などについても総合的に考慮の上で判断され る。

○ 競争手段の不公正さの観点からは,発注者が役務提供者に対して実際と異なる条件を提示し て,又は役務提供に係る条件(例えば,他の発注者への役務提供の制限)を十分に明らかにせ ずに取引することで,他の発注者との取引を妨げることとなる場合に,独占禁止法上問題となり 得る。

○ 優越的地位の濫用の観点からは,役務提供者に対して取引上の地位が優越している発注者 が役務提供者に不当に不利益を与える場合に独占禁止法上問題となり得る。発注者が通常企業 であるのに対して役務提供者が個人で事業を行っていることが多いという人材獲得市場の事情 は,役務提供者の優越的地位の認定における考慮要素となる。

○ 優越的地位の濫用の観点での独占禁止法上の評価においては,問題の行為について,代償 措置が採られている場合には,そのこと及び代償措置の内容・水準の相当性なども考慮の上で 判断される。

競争政策上望ましくない行為

○ 対象範囲が不明確な秘密保持義務又は競業避止義務は,役務提供者に対して他の発注者 (使用者)との取引を萎縮させる場合があり,望ましくない。対策として,関係分野ごとに,範囲の 明確化に資する考え方を周知すること等が考えられる。

○ 発注者は,書面により,報酬や発注内容といった取引条件を具体的に明示することが望まれる。

○ 発注者が,合理的理由なく対価等の取引条件について他の役務提供者への非開示を求めるこ とは,役務提供者に対する情報の非対称性をもたらし,また,発注者間の競争を起こらなくし,望 ましくない。

○ 役務提供者の獲得をめぐって競争する発注者(使用者)が対価を曖昧な形で提示する慣行は 発注者が人材獲得競争を回避する行動であり,望ましくない。

この手の雇用類似の働き方に対する関心はここ1,2年の間に急激に高まりました。厚生労働省でもいま「雇用類似の働き方に関する検討会」を始めたところですが、労働法の武器をその外側に広げていくやり方と、労働法以外の武器をうまく組み合わせて使っていくやり方と両方あり得て、その後者の一つの戦略として、こういう独占禁止法を使うやり方もあるというわけです。

 

 

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