パワハラ対策立法化の現状@WEB労政時報
WEB労政時報に「パワハラ対策立法化の現状」を寄稿しました。
https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=727
現在、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」で、パワハラへの具体的な対応策の在り方が議論されています。この検討会は、昨年3月に策定された「働き方改革実行計画」において、「罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正」という節の中の一項目として盛り込まれたことを受け、開催されているものです。
同計画の中に「労働者が健康に働くための職場環境の整備に必要なことは、労働時間管理の厳格化だけではない。上司や同僚との良好な人間関係づくりを併せて推進する。このため、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行う」という文言が入ったのは、その基になった労使合意に盛り込まれたからですが、その背景としては、時間外労働の上限規制を強く後押しした電通の高橋まつりさんの過労自殺事件が、単なる長時間労働による過労自殺というよりも、上司によるパワハラが強く推認される事案だったこともあるように思われます。・・・・
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職場でのいじめや嫌がらせ(パワーハラスメント)は、受ける側にとっては健康を大きく害する心理的ストレス以外の何物でもありません。また個々の事案では業務関連性も高いでしょうから、被害者側からすればパワハラは一種の「労働災害」(労安法の領域)とみなすことも不自然ではないのかもしれません。とはいえ最初からパワハラを「労災=アクシデント」としてのみ捉えると、その違法行為性や加害者の責任がうやむやになってしまい何が何だか訳がわからなくなってしまいます。ただ、実のところ職場ではパワハラという比較的見えやすい現象の下に被害者側のサボタージュやロー・パフォーマンスという証明しづらい問題が隠れていることも多々あり(〜その場合は被害者からの申立て内容にバイアスが必然かかります)、事件の全体像すなわち何が真実であるかを人事が掴むのはひと苦労です…。ひと口に「パワハラ」といっても、その行為を客観的かつ公平に特定/判定すること自体かなり難しいと感じますね。
投稿: ある外資系人事マン | 2018年1月31日 (水) 17時36分